1~3月期のGDP統計速報1次QEは潜在成長率を超えて年率+2.2%の高成長を記録!
本日、内閣府から1~3月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+2.2%を記録しました。潜在成長率をかなり超えて、なかなかの高成長といえます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
1~3月期GDP、年率2.2%増 個人消費がけん引
内閣府が18日発表した2017年1~3月期の国内総生産(GDO)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.2%増だった。プラスは5四半期連続。個人消費が持ち直し、輸出も伸びた。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.4%増で年率では1.8%増だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.0%減、年率では0.1%減だった。名目は5四半期ぶりにマイナスだった。
実質GDPの内訳は、内需が0.4%分の押し上げ効果、外需の寄与度は0.1%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.4%増と、5四半期連続でプラスだった。生鮮野菜の価格高騰が一服し、消費者心理が改善した。
輸出は2.1%増、輸入は1.4%増だった。アジア向けを中心に需要が堅調で輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。
設備投資は0.2%増と、2四半期連続でプラスだった。生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.7%増。公共投資は0.1%減。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.8%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.1%のプラスだった。
同時に発表した16年度のGDPは実質で前年度比1.3%増と、2年連続のプラス成長となった。生活実感に近い名目では同1.2%増となり、5年連続のプラス成長となった。
ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。
| 需要項目 | 2016/1~3 | 2016/4~6 | 2016/7~9 | 2016/10~12 | 2017/1~3 |
| 国内総生産GDP | +0.6 | +0.4 | +0.2 | +0.3 | +0.5 |
| 民間消費 | +0.3 | +0.2 | +0.4 | +0.0 | +0.4 |
| 民間住宅 | +1.1 | +3.1 | +2.7 | +0.4 | +0.7 |
| 民間設備 | +0.1 | +1.3 | ▲0.2 | +1.9 | +0.2 |
| 民間在庫 * | (▲0.3) | (+0.3) | (▲0.4) | (▲0.2) | (+0.1) |
| 公的需要 | +1.1 | ▲0.8 | ▲0.1 | ▲0.5 | +0.1 |
| 内需寄与度 * | (+0.2) | (+0.5) | (▲0.1) | (▲0.0) | (+0.4) |
| 外需寄与度 * | (+0.4) | (▲0.1) | (+0.4) | (+0.4) | (+0.1) |
| 輸出 | +0.5 | ▲1.4 | +1.9 | +3.4 | +2.1 |
| 輸入 | ▲2.0 | ▲1.1 | ▲0.2 | +1.3 | +1.4 |
| 国内総所得 (GDI) | +1.3 | +0.6 | +0.1 | +0.0 | ▲0.0 |
| 国民総所得 (GNI) | +0.9 | +0.3 | ▲0.0 | ▲0.1 | +0.2 |
| 名目GDP | +0.9 | +0.2 | +0.1 | +0.4 | ▲0.0 |
| 雇用者報酬 (実質) | +1.6 | +0.1 | +0.7 | ▲0.3 | ▲0.1 |
| GDPデフレータ | +0.9 | +0.4 | ▲0.1 | ▲0.0 | ▲0.8 |
| 内需デフレータ | ▲0.3 | ▲0.7 | ▲0.8 | ▲0.3 | +0.1 |
上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された1~3月期の最新データでは、前期比成長率が5四半期連続でプラスを示し、特に大きいものではありませんが、赤の消費と黒の外需がプラス寄与しているのが見て取れます。

引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前期比+0.4%増の年率+1.8%増でしたから、ほぼジャストミートしたことになります。しかも、5四半期連続のプラス成長ですから、2015年中が少し低空飛行したのと比べれば、順調な回復・拡大との印象を受けます。1~3月期については、消費と輸出が成長を牽引しています。消費については天候不順による『生鮮野菜の価格高騰などの生活に密着した商品の物価高をようやく脱し、マインドが改善しているのが要因と受け止めています。ただ、下のグラフに雇用者所得のグラフを掲げましたが、1~3月期はデフレを脱却してプラスの物価上昇率を記録し始めていますので、実質所得が伸び悩み始めています。ですから、4~6月期においてはベアを伴う賃上げや、さらに、恒常所得ではないと見なされる場合が多いものの、夏季ボーナスなどの所得増が実現できるかどうか、が重要になるような気がします。マインドだけで消費を支えるのはサステイナブルではありません。もうひとつの牽引役である輸出については、経済要因としては大きな懸念はありません。日銀の異次元緩和の下で為替が円高に振れることはありませんし、海外経済が先進国と中国をはじめとする新興国の足並みそろって回復ないし拡大に向かっていますので、我が国からの輸出も順調に伸びると見込まれます。ただ、エコノミストには理解できないような経済外要因は不安が残ります。ひとつは北朝鮮の動向であり、エコノミストの予想を軽く超える可能性が高いと考えられます。もうひとつはトランプ政権下での米国の通商政策の動向が不透明です。ロシアゲートをチラチラと見ている限り、まともな政策運営が期待できかねる可能性すらあり、現在の米国政権の通商政策がどちらに向かうかはまったく不透明で、直接に、あるいは、為替相場における円高を通じて間接に、我が国の輸出に何らかの影響を及ぼす可能性もなしとしません。

最後に、上のグラフは実質の雇用者所得を年率換算でプロットしています。このブログでも何度か主張した通り、消費は所得とマインドなんですが、最近時点ではマインドを反映する貯蓄率は順調に低下している一方で、実質雇用者所得が上のグラフの通りやや伸び悩んでいます。特に、1~3月期については消費者物価(CPI)が上昇に転じましたので、この先、名目ではなく実質で所得がさらに伸び悩む可能性が懸念されます。家電エコポイントや消費増税などの政策効果で耐久消費財の買い替えサイクルが大きく歪められたんですが、ようやく今年あたりから白物家電の買い替えサイクルが到来したとの見方が出始めています。短期的にはマインドで消費が拡大することは十分あり、それが景気の起爆剤になるケースも少なくありませんが、消費がさらに拡大を継続するためには所得の裏付けが必要です。
最後の最後に、GDPデフレータが前年同期比▲0.8%とマイナス幅を拡大し、1~3月期から消費者物価(CPI)が上昇に転じたのと逆の動きを示しています。基本的には、国際商品市況における石油価格の上昇などで控除項目の輸入デフレータが上昇しているためであると私は認識しています。国内需要デフレータはCPI上昇率に歩調を合わせて1~3月期からプラスに転じており、デフレ脱却の方向はCPIとGDPデフレータで整合的と考えるべきです。
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