消費者態度指数の低下は何を意味するのか?
本日、内閣府から4月の消費者態度指数が公表されています。前月から▲0.7ポイント低下し43.2を記録しています。先月から、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正していますが、今月は「持ち直し」のまま据え置かれました。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
4月の消費者態度指数、前月比0.7ポイント低下の43.2 基調判断据え置き
内閣府が8日発表した4月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.7ポイント低下の43.2だった。足元の食料品の値上げなどを受けて物価上昇への警戒感が強まったことに加え、株価下落による資産価値の減少などで生活環境が悪化すると見込む消費者が増加した。
内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。消費者態度指数は5カ月ぶりに低下したものの、3カ月移動平均では前月を上回ったことを考慮した。
指数を構成する4つの意識指標のうち「暮らし向き」が1.2ポイント、「収入の増え方」が0.8ポイントそれぞれ低下した。「耐久消費財の買い時判断」も前月を1.6ポイント下回った。一方で「雇用環境」は0.8ポイント上昇と堅調に推移した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より7.4ポイント高い78.9%だった。上昇幅は比較可能な13年4月以降では最大となった。公共料金や食用油などの価格上昇に加え、今後控える宅配便の値上げも意識されたようだ。「低下する」との見通しは2カ月連続で減少したほか「変わらない」との見方も3カ月ぶりに減った。
調査基準日は4月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5654世帯(回答率67.3%)だった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、雇用環境だけは+0.8ポイント上昇し47.7となったものの、他の3つのコンポーネント、すなわち、耐久消費財の買い時判断が▲1.6ポイント低下の42.2、暮らし向きが▲1.2ポイント低下の41.5、収入の増え方が▲0.8ポイント低下の41.4と、それぞれ、算出されています。上のグラフを1変数だけのユニバリエイトに見ても、何となく「持ち直し」の動きに乗っているように見えますし、基調判断の変更は不要ではなかろうかと私も思っています。4つのコンポーネントのうちでも、もっとも基礎的な雇用環境が人手不足の中で改善を続けていますので、収入や暮らし向きといった他の項目も雇用が改善する限り、少しラグがあるかもしれないものの、決して悲観する必要はないものと私は受け止めています。
また、今日の今日で、この統計には反映されようもなかったわけですが、フランス大統領選挙の決選投票でEU加盟を堅持するマクロン候補が大差で勝利し、日本円は対ドルでも対ユーロでも円安に振れて、東証株価指数はこの結果を好感して450円の上昇を記録しています。米国の経済通商政策動向がまだまだ不透明ながら、昨年の英国国民投票でのBREXITや米国大統領選挙の結果と違って、安心できる結果に受け止められたような気がします。
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