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2017年5月19日 (金)

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「新入社員意識調査アンケート結果」やいかに?

とても旧聞に属する話題かもしれませんが、例年通り、三菱UFJリサーチ&コンサルティングから「新入社員意識調査アンケート結果」が5月9日に明らかにされています。一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたいという意味で、「自分ファースト」志向が高まるとともに、理想の上司は「寛容型」との結果が出ているようです。まず、リポートから【アンケート調査結果の概要】を4点だけ短く引用すると以下の通りです。

【アンケート調査結果の概要】
  • 一定時間は仕事から離れてオフを過ごしたい。「自分ファースト」志向が高まる。
  • 理想の上司は「寛容型」。
  • 今の日本は「曇り」。10年後についても悲観的な見方が広がる。
  • 女性は自身が出世する姿を具体的にイメージしにくい傾向がある。

ということで、例年の定点観測で、東京、名古屋、大阪において新入社員を対象としたセミナーを開催し、受講者に対してアンケートを実施した結果を取りまとめています。リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、リポート p.4 から 今の会社を選んだ基準 の問いに対する回答を引用すると上のグラフの通りです。雰囲気、やりがい、安定がトップスリーです。男女の性差でビミョーに違いがあり、男性はやりがいや安定を、女性は距離感を重視している傾向が少しだけ見受けられます。なお、グラフは引用しませんが、就活でブラック企業かどうかを意識した比率は昨年よりもジワリと高まっているようです。

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次に、リポート p.7 から 会社に望むこと のうちのいくつかのポイントについて、2004年以降の時系列をプロットした折れ線グラフを一挙に3枚引用すると上の通りです。見れば明らかなんですが、能力の発揮・向上はまだまだ高い水準ながら傾向的に低下を示しており、給料アップがほぼ安定しているのに対して、労働時間や私生活への不干渉などがまだ比率は低いものの一貫して増加の傾向にあります。理由や動機はすっかり忘れましたが、私はバブル末期にメガバンクの運動会で週末を潰された記憶があり、確かに時代背景もあって豪華絢爛な運動会だったんですが、ああいった社を上げてのイベントはもう流行らないんだろうという気がします。

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次に、リポート p.12 から 就労意識 、すなわち、転職したいか、定年まで働きたいか、ついて、2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。米国のサブプライム・バブル崩壊後は安定志向が強まって定年まで働きたいとの就労意識がと読まったように見えますが、2012年末の安倍内閣の成立とアベノミクスによる現在の景気拡大局面の継続で、再び転職志向が強まっているような印象です。

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最後に、リポート p.17 から 残業に対する考え方 、すなわち、残業かお給料かの二者択一について、これも2004年以降の時系列をプロットしたグラフを引用すると上の通りです。コチラは米国のサブプライム・バブル崩壊とは関係なく、傾向的にお給料アップよりも残業をなくす方向が選好されて来たんですが、今年の新入社員は反転の兆しを見せています。今年の新入社員だけの特徴なのか、今後のトレンドを示唆しているのか、現時点では何ともいえませんが、定点観測として少し注目しています。また、最初に引用した【アンケート調査結果の概要】の3点目で、10年後の日本経済に関する悲観的な見方が広がっている、とありますが、私のような経験豊かなエコノミストでも10年後の経済なんて判りはしませんから、新入社員の意識で論じても仕方ないような気がします。いかがでしょうか?

最後の最後に、生産性本部でも毎年新入社員の意識調査を実施しており、今年の新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」だそうです。Pokémon GO を強く意識したネーミングとなっています。昨年はドローンだった記憶があり、世間動向を意識しているだけなのか、それとも、新入社員がホントにそのタイプなのかどうかは疑問が残り、私のこのブログでは適当に既読スルーしているのが実情です。

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