マイナスを記録した法人企業景気予測調査に見る企業マインドやいかに?
本日、財務省から4~6月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は1~3月期の+1.3から下降して4~6月期は▲2.0を記録し、先行きについては、7~9月期は+7.1に、また、10~12月期は+6.7に、それぞれ上昇すると見通されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
大企業景況感 4期ぶりマイナス 4-6月、自動車など下げ
財務省と内閣府が13日発表した法人企業景気予測調査によると、4~6月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス2.0だった。新型車効果が一服した自動車メーカーなどが指数を押し下げ、4四半期ぶりにマイナスに転じた。財務省などは「緩やかな回復基調」自体は維持しているとみており、翌7~9月期以降は再びプラス基調が続く見通しだ。前回調査14~3月期はプラス1.3だった。
4~6月期は大企業のうち、製造業がマイナス2.9となった。自動車・同付属品製造業で、1~3月期と比べて新型車の投入効果が一服した影響などが全体の景況判断を押し下げた。受注減や原材料となる鉄の価格上昇が響いた船舶製造業なども低下に寄与し、1~3月期のプラス1.1と比べて悪化した。
非製造業はマイナス1.6となり、1~3月期のプラス1.5から悪化した。建設業で前年に工事完成が集中したことによる反動減が出たほか、金融機関の収益悪化などが響いた。
先行き7~9月期の見通しはプラス7.1で、製造業がプラス9.6、非製造業がプラス5.8だった。10~12月期は全産業でプラス6.7となった。財務省と内閣府の統括コメントは「企業の景況感は慎重さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として前回調査時から据え置いた。
17年度の設備投資は前年度比で3.8%増加する見込みとなった。スマートフォン向け電子部品の生産能力増強などが寄与する。前回調査時の4.6%減から上昇した。経常利益の見通しは0.4%減となり、前回調査(0.8%減)からは改善した。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は5月15日時点。
いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIをプロットしています。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

企業活動については、ハードデータの売上げや利益といった企業収益の部分が昨年年央から後半くらいに底を打ち、マインドのソフロデータについても昨年2016年10~12月期くらいから改善を示して来ていると受け止めています。やや遅れて消費者マインドも最近時点で改善を示しており、消費者マインド・企業マインドともに底を打って改善の方向を示していると考えるべきです。ただ、跛行性が見られるのも確かで、規模の大きな企業ほどマインドは改善し、非製造業よりも製造業の方が海外経済の恩恵を受けやすく、マインドは改善を示しています。個別項目では、人手不足感が広がっており、特に、中堅・中小企業では大企業よりも人材確保が困難になっている現状がうかがわれます。すなわち、6月末時点で大企業の人手不足感が過剰感を+15.4上回っているのに対し、中堅企業では+29.0、中小企業では+27.1に上っています。また、ソフトウェア投資額を含み土地購入額を除くベースの2017年度設備投資額については、引用した記事にもある通り、全産業で前回調査時の▲4.6%減から、今回調査では+3.8%の増加に大きく上方修正されました。日銀短観と同じで、年度開始前の慎重な投資計画から、年度が始まって各種の売上げや利益計画が固まる中で、設備投資についても企業活動の各種計画に応じた上方修正がなされるという通常のパターンに沿った動きと受け止めています。ただ、全産業で+3.8%の増加のうち、製造業が+8.7%増に対して、非製造業は+1.0%増にとどまっており、世界経済の回復・改善に比較した国内景気の出遅れ感がほの見える気がします。
7月に入れば、より詳細な企業マインドを調査した6月調査の日銀短観が公表される予定となっており、シンクタンクなどの日銀短観予想が出そろった段階で、このブログでも取りまとめたいと考えています。
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