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2017年9月11日 (月)

7月統計で大きくリバウンドした機械受注の先行きをどう見るか?

本日、内閣府から7月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+8.0%増の8533億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の機械受注8.0%増、鉄道車両けん引 自動車は堅調維持
内閣府が11日発表した7月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)は、前月と比べ8.0%増の8533億円だった。4カ月ぶりに増加し、伸び率は2016年1月以来の大きさとなった。鉄道車両でまとまった受注が重なったことが大きく寄与した。自動車関連の堅調も続いた。QUICK算出の市場予想(5.1%増)を大きく上回った。内閣府は7月の大幅増は単月として目立つものの「増勢が定着するか見極める必要がある」と指摘し、基調判断を「足踏みがみられる」に据え置いた。
製造業が2.9%増と2カ月ぶりに増えた。自動車関連は0.8%増と伸び率は小さいが、2桁の伸び率となった前月(12.7%)の実績を上回った。その他製造業に含む合成樹脂加工機械にも関連した受注があったとみられ「自動車関連で好調が続いている」(内閣府経済社会総合研究所)。
非製造業は4.8%増と2カ月連続のプラスだった。運輸業・郵便業が64.9%増となり鉄道車両の寄与が全体を支えた面が大きく、内閣府は「想定された需要がようやく顕在化してきた」と指摘した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

機械受注統計は単月でのブレが大きいとはいえ、船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列の前月比・前期比で見て、1~3月期▲1.4%減、4~6月期▲4.7%減と、2四半期連続で前期比マイナスを記録し、月次ベースでも、4月▲3.1%減、5月▲3.6%減、6月▲1.9%減と3か月連続のマイナスの後の7月+8.0%増ですから、反動増の要因もあります。ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁の内閣府では基調判断は「足踏み」で変更していません。上のグラフを見ても理解できるように、コア機械受注はほぼ横ばい圏内にあり、引用した記事の最後のパラにあるような需要の顕在化かどうかは、やや疑わしいと私は考えていますが、足元ではなくもう少し先を見通せば、設備投資は緩やかながら増加の方向にあると考えられます。ひとつには稼働率の上昇です。鉱工業生産指数のグループの一環に稼働率データがあり、季節調整済みの四半期データで見て、製造工業の稼働率指数が2016年1~3月期の96.1を底に、2017年4~6月期の101.9まで緩やかに上昇の方向にあります。私が役所に入ったころは、稼働率指数が90を超えると設備投資が増加し始めるという経験則があったんですが、指数の水準はともかく、稼働率の上昇が設備投資を増加させる方向性は変わらないと考えるべきです。それから、言い古された気がするものの、人手不足と2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備に伴う需要の盛り上がりも見逃せません。加えて、企業の供給サイドでも、業績の改善・高水準とともに、維持更新投資の必要も高まっていることから、かつてのように爆発的に設備投資が増加するという局面は考えにくいものの、緩やかに設備投資は増加の方向を示し、設備投資の先行指標であるコア機械受注はその動きに先立って増加に転じるものと私は予想しています。

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