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2017年9月28日 (木)

国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」World Economic Outlook 分析編やいかに?

日本時間の昨夜、来月のIMF世銀総会に向けて、国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編が公表されています。今回の分析編は、先進国の賃金動向、気候変動の経済的影響、財政政策と3テーマを3章に渡って展開しています。章別のタイトルは以下の通りです。

Ch 2:
Recent Wage Dynamics in Advanced Economics: Drivers and Implications
Ch 3:
The Effects of Weather Shocks on Economic Activity: How Can Low-Income Countries Cope?
Ch 4:
Cross-Border Impacts of Fiscal Policy: Still Relevant?

国際機関のリポートに着目するのはこのブログの大きな特徴のひとつですし、いくつか画像を引用しつつ簡単に「世界経済見通し」World Economic Outlook の分析編について取り上げておきたいと思います。

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上のグラフは、IMFのブログサイトから引用しています。上のパネルでは失業率が低下し、労働需給がタイトになりながらも、2008-09年のグレート・リセッションから賃金上昇が鈍化していることが読み取れ、他方、下のパネルでは、労働時間が短縮化され、雇用がフルタイムではなく非自発的なパートタイムが増加していることが読み取れます。第3章では、先進国における賃金上昇が大きく鈍化した要因として、この非自発的なパートタイム雇用の拡大とそれに伴う労働時間の短縮を上げており、こういったパートタイム雇用の増加が遊休労働力を掘り起して、労働力市場のスラックが拡大するとともに、生産性の停滞や賃金上昇の鈍化が生じている可能性があると分析しています。その上で、賃金や生産性に影響する本来の労働スラックをヘッドライン統計の失業率から読み取ることは難しい可能性があり、金融政策運営においてはこの点に留意が必要と主張しています。

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上のグラフは、別のIMFのブログサイトから引用しています。縦軸は1度の気温上昇による産出へのダメージであり、横軸は気候変動の受け入れ可能なインデックスです。極めて大雑把ながら、赤いシンボルの低所得国がこの散布図の左下に位置して、気候変動への耐性が低い上に1人当たりGDPへのマイナスのダメージが大きく、逆に、日独英米といった青いシンボルの先進国は右上に位置して、気候変動の耐性が高い上に経済的ダメージも小さい、ないし、プラスの経済的効果がある。そして、新興国はその中間的な位置を占める、ということが読み取れます。従って、気候変動に伴う頻発する自然災害、海面上昇、生物多様性の喪失など、人類起源のこういった現象の緩和のための国際的な協力体制の構築の必要性を主張しています。

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上のグラフは、別のIMFのブログサイトから引用しています。財政政策、というか、財政ショックの大きさを上のグラフでは、国内経済状況により異なる、すなわち、国内経済にスラックがあったり、金融政策で25ベーシス以下の実質ゼロ金利政策(ELB)を取っている場合には大きく、また、下のパネルでは、減税よりも支出増の方が財政政策の効果が大きい、と示しています。当然ながら、貿易を通じて財政ショックは国境を越えて波及し、他国に恩恵をもたらします。我が国でもリフレ派の浜田教授が財政政策の必要性をより重視するような方向転換をしていますが、そろそろ、金融政策だけでなく財政政策も出番なのかもしれません。

最後に、IMFの「世界経済見通し」から目を転じると、9月26日付けで世界経済フォーラムから「世界競争力報告」Global Competitiveness Report 2017 が明らかにされています。首位は9年連続でスイスが維持し、2位は米国、3位はシンガポールなどとなっており、我が国の総合順位は137か国・地域中の9位と、香港に抜かれて前年の8位から後退しています。少し細かいコンポーネントを見ると、「マクロ経済環境」が前年の104位から93位へと改善した一方で、「健康・初等教育」は5位から7位へと悪化しました。アジア勢ではインドネシアとベトナムが大幅に順位を上げています。上のフラッシュは世界経済フォーラムのサイトからシェアしています。

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