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2017年10月 2日 (月)

9月調査の日銀短観では景況感がさらに上昇し設備投資も上方修正される!

本日、日銀から6月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは6月調査から+5ポイント改善して+22を記録し、本年度2017年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+4.6%増と集計されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月日銀短観、大企業製造業DIは4期連続改善 07年9月以来の高さ
日銀が2日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス22だった。前回6月調査(プラス17)から5ポイント改善した。改善は4四半期連続。2007年9月(プラス23)以来、10年ぶりの高さ。半導体などの電子部品の出荷増加や電子機器、自動車関連を中心とした設備投資の改善などが景況感を押し上げた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。9月の大企業製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス18を上回った。回答期間は8月29日~9月29日で、回収基準日は9月12日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業製造業がプラス19と伸び悩む見通し。市場予想の中央値(プラス16)は上回った。北朝鮮情勢を巡る不透明感などから先行きの見方は慎重だった。
2017年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=109円29銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回と同じだった。卸売業や対事業所サービスで改善した一方、通信や宿泊・飲食サービスで悪化した。3カ月先のDIは1ポイント改善のプラス19だった。
中小企業は製造業が3ポイント改善のプラス10、非製造業は1ポイント改善のプラス8だった。先行きはいずれも悪化を見込む。
大企業全産業の雇用人員判断DIはマイナス18となり、前回(マイナス16)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、1992年3月(マイナス24)以来のマイナス幅となった。
17年度の設備投資計画は大企業全産業が前年度比7.7%増と、市場予想の中央値(8.4%増)を下回った。6月調査(8.0%増)からは0.3ポイント悪化した。
大企業製造業の販売価格判断DIはゼロと、前回(マイナス1)から1ポイント上昇。マイナス圏を脱するのは08年9月(プラス11)以来9年ぶり。販売価格判断DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、規模と製造業・非製造業を押しなべて、昨年12月調査や今年3月調査に続いて3期連続で今期も景況感が改善しつつ、しかし、先行きの来期はやや落ちる、という典型的な短観の統計としての「クセ」が出ています。さはさりながら、DIですので水準よりも方向性が重要ながら、水準もかなり高くなっています。ですから、このブログでも何度か強調している通り、企業部門の景況感はとても堅調で、ソフトのマインドだけでなく、ハードデータの企業業績もグングン改善を示しています。その一方で、設備投資増や賃上げなどの要素所得への波及が生じていませんが、前回調査の結果に続いて、個人消費の関連で小売業に着目すると、大企業では、3月調査で+5の後、6月調査では+10にジャンプした後、9月調査では天候要因などからやや低下したものの、+8と引き続き高い水準にあり、先行きも+13と上昇を示す可能性が示唆されています。中堅企業小売業でも、6月調査から9月調査にかけて+7と横ばいで、先行きも同じく+7と高い水準にあります。そして、中小企業小売業でも、6月▲9から9月には▲5とマイナス幅を縮小させ、先行きでは▲4と、まだマイナスながらそのマイナス幅がちゅく称する方向にあることは事実です。こういった小売業の企業マインドから、個人消費の今後の方向も透けて見える気がします。さらに、事業計画の前提となっている想定為替レートについては、3月調査でも6月調査でも1ドル108円台の後、9月調査でも109円台で極めて安定しており、為替の安定は企業の活動計画や見通し立案の際にはそれなりに重要だという気がします。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。9月調査の短観では新卒採用計画の調査項目がないんですが、就活は売り手市場が続きそうです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2017年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲1.3%減という高い水準で始まったんですが、6月調査では+2.9%増、9月調査では+4.6%と順調に上積みされています。グラフに見える通りです。日銀短観の設備投資計画は、統計のクセとして、12月調査でピークを迎え、結局、6月調査ないし9月調査の結果あたりで着地する、という実績になるようなんですが、人手不足や企業業績を考え合わせると、今年度の設備投資への期待は膨らみます。

先週、シンクタンクなどの日銀短観予想を取りまとめた際には、景況感についてはほぼ横ばい圏内の動きが予想されていましたが、円安や輸出の改善を背景に製造業の景況感が、予想を上回って一段と改善した点が注目されます。短観の統計としてのクセとして、先行きの景況感に対して企業は慎重姿勢を維持しているものの、現時点でのの内外の経済環境などを考慮すると、先行きの景況感の低下に対して過度の懸念は不要ではないかと私は考えています。

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