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2017年12月15日 (金)

日銀短観に見る企業マインドはまさに満月の欠けたるところもなし!

本日、日銀から12月調査の短観が公表されています。ヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査から+3ポイント改善して+25を記録し、本年度2017年度の設備投資計画は全規模全産業が前年度比+6.3%増と上方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月日銀短観、大企業・製造業DIは5期連続改善 06年以来11年ぶり高水準
日銀が15日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス25だった。前回9月調査(プラス22)から3ポイント改善し、2006年12月(プラス25)以来11年ぶりの高水準となった。改善は5四半期連続。好調な輸出が続く自動車関連や商品市況の回復による化学や鉄鋼・非鉄金属関連の景況感の改善が指数を押し上げた。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。12月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス24を上回った。回答期間は11月14日~12月14日で、回収基準日は11月29日だった。
3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス19と伸び悩む見通し。市場予想の中央値(プラス22)を下回った。海外の政治・経済情勢の不透明感などから先行きの見方は慎重だった。
17年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=110円18銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。
大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス23と前回と同じだった。消費は上向きつつあるが、天候不順による対個人サービスの業況感悪化や労働需給逼迫に伴う人件費の上昇などが重荷となり伸び悩んだ。3カ月先のDIは3ポイント悪化のプラス20だった。
中小企業は製造業が5ポイント改善のプラス15、非製造業は1ポイント改善のプラス9だった。先行きはいずれも悪化した。
大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス19となり、前回(マイナス18)から低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、1992年3月(マイナス24)以来のマイナス幅となった。
17年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比7.4%増と、市場予想の中央値(7.6%増)を下回った。9月調査(7.7%増)からは増加幅が縮小した。
大企業・製造業の販売価格判断DIはプラス1と、前回(ゼロ)から1ポイント上昇。プラスとなるのは2008年9月(プラス11)以来9年ぶり。販売価格判断DIは販売価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」と答えた企業の割合を差し引いたもの。

やや長いんですが、いつもながら、適確にいろんなことを取りまとめた記事だという気がします。続いて、規模別・産業別の業況判断DIの推移は以下のグラフの通りです。上のパネルが製造業、下が非製造業で、それぞれ大企業・中堅企業・中小企業をプロットしています。色分けは凡例の通りです。なお、影をつけた部分は景気後退期です。

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引用した記事にもある通り、日銀短観のヘッドラインとなる大企業製造業の業況判断DIは9月調査からさらに+3ポイント改善して+25に達し、大企業非製造業については9月調査から変化なかったものの、中堅企業・中小企業では製造業・非製造業ともに業況判断DIは改善を示しています。ただ、満月が欠けて行くはじまりであるように、先行きについては産業別に見ても、規模別に見ても、かなり慎重な見方が広がっています。株価などであれば、「高所恐怖症」と呼ばれる場合もあるようです。大企業レベルの製造業と非製造業で業況感の変化方向にビミョーな違いが出た背景としては、為替の円安方向への振れと世界経済の順調な回復・拡大がさらに広がりを見せている点に求められるんではないか、と私は考えています。非製造業については、特に、7~9月期のGDP統計に典型的に現れているように、ならして見れば何ともいえないものの、足元では好調な世界経済に対比させると、我が国の内需に勢いを欠いているのも事実ですし、人手不足が影を落としやすいのも非製造業かもしれません。
先行きについては、やや慎重な見方が広がっているものの、決して悲観する必要はない、と私は受け止めています。先行きのリスクで景況感に影を落としているのは、まず第1に、わけの判らない北朝鮮リスクです。北東アジアの地政学リスクについては、何とも予想できません。第2には米国の先行きリスクです。トランプ政権の政策方向の見極めが困難であることに加え、米国連邦準備制度理事会(FED)が本格的な利上げ局面に入り、さらにイエレン議長が退任しますので、今までにない局面を迎える可能性に懸念する向きもあるかもしれません。第3には、新興国の景気拡大と裏腹な現象ながら、石油をはじめとする資源価格の上昇です。昨日、帝国データバンクが「2018年の景気見通しに対する企業の意識調査」の結果を明らかにしているところ、やはり、先行きのリスクとして、人手不足、原油や資源価格の上昇、地政学リスクなどが上げられています。このリポートについては、来週にでも詳細は日を改めて通り上げる予定です。

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続いて、いつもお示ししている設備と雇用のそれぞれの過剰・不足の判断DIのグラフは上の通りです。設備については、後で取り上げる設備投資計画とも併せて見て、設備の過剰感はほぼほぼ払拭されたと考えるべきですし、雇用人員についても人手不足感が広がっています。特に、雇用人員については規模の小さい中堅企業・中小企業の方が大企業より採用の厳しさがうかがわれ、人手不足幅のマイナスが大きくなっています。新卒採用計画の調査項目は省略しましたが、就活は売り手市場が続くようです。

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最後に、設備投資計画のグラフは上の通りです。今年度2017年度の全規模全産業の設備投資計画は3月調査で異例の▲1.3%減という高い水準で始まったんですが、6月調査で+2.9%増、9月調査で+4.6%、12月調査で+6.3%と順調に上積みされています。上のグラフに見る通りです。日銀短観の設備投資計画は、統計のクセとして、3月調査はほぼほぼ必ず前年度比マイナスで始まり、12月調査でピークを迎え、結局、6月調査ないし9月調査の結果あたりで着地する、という実績になるような気がするんですが、人手不足や企業業績を考え合わせると、今年度の設備投資は期待してよさそうです。

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