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2018年1月31日 (水)

鉱工業生産指数(IIP)と消費者態度指数から景気の現状と先行きを考える!

本日、経済産業省から昨年2017年12月の鉱工業生産指数 (IIP)が、また、内閣府から今年2018年1月の消費者態度指数が、それぞれ公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月から+2.7%の増産を示し、消費者態度指数は前月比横ばいの44.7を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産、17年12月は2.7%上昇 10-12月期は1.8%上昇
経済産業省が31日発表した2017年12月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は106.3と、前月に比べ2.7%上昇した。上昇は3カ月連続で、QUICKがまとめた民間予測の中央値(1.6%上昇)を上回った。自動車の生産が活発だったほか、建設機械も好調だった。経産省は生産の基調判断を「持ち直している」に据え置いた。
併せて発表した10~12月の生産指数は前期比1.8%上昇の104.3と、7四半期連続でプラスだった。17年通年の生産指数は4.5%上昇の102.1と3年ぶりに前年実績を超えた。
12月は全15業種のうち12業種で前月を上回った。もっとも上昇に寄与したのは輸送機械工業(6.3%上昇)だった。普通乗用車やエンジン、車体部品などがけん引した。汎用・生産用・業務用機械工業は4.8%上昇した。ショベル系掘削機械や金属工作機械、コンベヤーなどが伸びた。一方、低下したのは3業種で、もっとも押し下げたのは情報通信機械工業(1.4%低下)だった。ノートパソコンや固定通信装置などが落ち込んだ。
12月の出荷指数は2.7%上昇の103.9だった。在庫指数は0.4%低下の109.4。在庫率指数は0.5%低下の110.5だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では、18年1月が4.3%低下、2月は5.7%上昇となった。1月は輸送機械工業が大きく落ち込む。一方、2月は輸送機械工業が反動で持ち直すほか、汎用・生産用・業務用機械工業や電子部品・デバイス工業などがけん引役となる見通し。
経産省は10~12月が7四半期連続のプラスとなったことについて「後回しにされてきた生産設備の更新が活発なため」と指摘。「設備向けの機械から生産向けの機械に需要がシフトしている」と分析した。
1月の消費者態度指数、横ばい 物価上昇が重荷、判断引き下げ
内閣府が31日発表した1月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比横ばいの44.7だった。「雇用環境」が上昇したため指数は横ばいとなったが、物価の上昇が消費者心理を冷やしている。内閣府は基調判断を前月までの「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正した。下方修正は5カ月ぶり。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より2.4ポイント高い82.4%だった。上昇は6カ月連続。台風など天候不順でキャベツを中心に生鮮野菜の生育が遅れ、小売価格を押し上げた。内閣府の経済社会総合研究所は「ガソリンを含め、身近なモノの価格の上昇が背景」と分析している。
消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が前月から低下し、「雇用環境」は上昇した。
調査基準日は2018年1月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5937世帯(回答率70.7%)だった。

やや長くなりましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは前月比で+1.6%の増産でしたし、予測レンジの上限も+2.0%でしたので、私はちょっとびっくりでした。上のグラフのうちの生産の上のパネルを見ても、最近は強含みで推移しているのは、わけなく見て取れますが、特に12月増産のジャンプは大きいように見えます。ただし、その分、というわけでもないんでしょうが、中華圏の春節が2月に控えていることもあって、1月が大幅な減産を予想していますので、そのあたりは2か月あるいは3か月くらいをならして見る必要があるものと受け止めています。ということで、このジグザグの変動の原因となっているのは自動車です。鉱工業生産の産業別では輸送機械工業を見ると、12月実績は+6.3%の後、製造工業生産予測調査では、1月▲17.7%減、2月+9.8%増となっています。この我が国リーディング・インダストリーの動向に起因して、12月生産実績の+2.7%増産の後、製造工業生産予測調査の製造工業全体で1月▲4.3%減、2月+4.3%増の変動が生じています。さらにさらにで、このバックグラウンドとしては中華圏の春節があります。今年の旧正月元日は2月16日(金)であり、極めて大雑把ながら、2月15日(木)~2月21日(水)くらいがお休みになるんではないかと想像しています。毎年、1~2月の生産や貿易の動向はこの春節効果で変動を生じますので、頭に入れておきたいと思います。従って、この例年の変動を考慮に入れても、我が国生産動向はかなり堅調であり、先行きも緩やかながら増産傾向を続けるものと私は考えています。ただし、注意すべきポイントがひとつだけあり、iPhoneの1~3月期の生産計画変更です。製造工業生産予測調査において、電子部品・デバイス工業は前月比で1月+4.8%増、2月+13.5%と見込まれていますが、この予測には1月29日に報道があった新型iPhoneXの1~3月期の生産計画変更、すなわち、当初計画の4,000万台超から2,000万台への半減が反映されていない可能性が強いと私は受け止めており、これが下振れをもたらす可能性があるんではないかと懸念しています。もっとも、iPhoneXの販売不振も韓国のサムスンの経営ほどには我が国の生産に影響を及ぼすとは考えられず、この下振れを考慮しても、緩やかな増産傾向という大きなトレンドには変更ないものと考えています。

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12月のデータが利用可能となり、四半期データが更新されましたので、上にある通り、在庫循環図を書いてみました。上向きピンクの矢印の2013年1~3月期から始まって、直近の2017年10~12月期の下向き黄緑矢印まで、ほぼほぼ1周半の回転を見せています。内閣府のサイトにアップされている月例経済報告の付属資料に従えば、上のグラフの赤い点線で示した45度線が景気循環の転換点であり、現在のように第1象限のラインを左上から右下に越えると「意図せざる在庫増」と見なされて、景気の山を越えた可能性が指摘されます。この在庫循環図から考えるまでもなく、景気の現状は拡張局面の後半戦に入っていることは明らかであろうと私は考えています。そして、たぶん、景気拡大の前半期と考えているエコノミストは少ないものと想像しています。

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続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、1月統計を前月差で詳しく見ると、「暮らし向き」が前月差で▲0.3ポイント低下、「収入の増え方」も▲0.1ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」も▲0.1ポイント低下し、「雇用環境」だけが+0.7ポイントの上昇を示して指数全体を下支えしています。雇用については人手不足が広まっており、家計部門の国民生活をサポートする起点となる項目ですので、雇用に関するマインドが上向いているのは安心材料といえます。しかし、引用した記事にもある通り、1月統計ではガソリンをはじめとする身近な商品の値上がりが消費者マインドの低下につながりました。指数の水準としては40を超えて、それなりに高い状態が続いており、まだ悪くはないと私は考えていますが、11月指数の44.9から12~1月は44.7と、やや停滞していることも確かで、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直し」から「持ち直しのテンポが緩やか」と半ノッチ下方修正しています。先行きは、賃金と物価と株価の見合いで変化しそうな気もしますが、デフレから脱却する段階では賃金に先駆けて物価が上昇し、実質賃金が低下することから雇用が増加するという段階を経ますので、その先にある賃金上昇に到達するまで、少しラグがあることも考えられます。しかし、景気拡大局面が後半に差しかかっていることも事実であり、それだけに、早く本格的な賃上げが実現されて欲しいと願っています。

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2018年1月30日 (火)

雇用統計と商業販売統計から順調な景気拡大を確認しつつ賃上げの必要性を痛感する!

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、また、経済産業省から商業販売統計が、それぞれ公表されています。いずれも昨年2017年12月の統計です。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.8%を示し、有効求人倍率は前月から+0.03ポイント高い1.59倍まで上昇している一方で、商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.6%増の13兆9460億円を、また、季節調整済みの系列の前月比でも+0.9%増を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の失業率、23年ぶり3%下回る 雇用改善
雇用改善の流れが一段と強まってきた。総務省が30日発表した2017年の完全失業率は2.8%と、1994年以来23年ぶりに3%を割り込んだ。3%割れは、働く意思があれば職に就ける完全雇用の状態を示す。有効求人倍率も1.50倍と44年ぶりの高さだ。ただ消費回復の足取りはなお鈍く、春季労使交渉で賃上げを加速できるかがカギになる。
17年の完全失業率は、16年の3.1%から0.3ポイント改善し、93年の2.5%以来の低さ。バブル崩壊後の長期停滞で02年に5.4%まで上昇、リーマン・ショック後の09~10年も5%台だった。その後の息の長い景気回復で就業者数が増加し17年は6530万人と、前年より65万人増えた。
今まで働いていなかった女性などが職に就き、5年連続で増えた。女性の15~64歳の就業率は67.4%で比較可能な1968年以降で最高だ。
結果、企業の人材確保は難しさを増す。厚生労働省が発表した2017年の有効求人倍率は1.50倍と、前年より0.14ポイント上昇した。
求人に対して実際に職に就いた人の割合を示す充足率は15.2%で、1963年に統計を取り始めてから最低だ。ハローワークを通さないインターネットでの求職を含まないが「7人雇おうとしても採用できるのは1人」という計算になる。
企業は将来の人手不足を見越し、正社員の採用に力を入れる。17年は6月に正社員の有効求人倍率が1.01倍と04年の統計開始以来はじめて1倍を超えた。足元の17年12月は1.07倍となり、過去最高となった。
17年の正社員数は3432万人で前年比56万人増加した。一方で非正規社員は2036万人で13万人増えた。伸び幅では正社員が非正規社員を3年連続で上回った。
雇用環境がよくなる割に肝心の消費は一進一退が続いている。総務省が30日発表した17年12月の家計調査によると、2人以上世帯の1世帯あたり消費支出は32万2157円。物価変動の影響を除いた実質で前年同月を0.1%下回った。3カ月ぶりの減少だ。
天候不順で価格が高騰したホウレンソウやレタスなど生鮮野菜が2.7%減と落ち込んだ。「価格高騰の影響で葉物野菜の購買数量が減った」(同省)。魚介類も全国的な不漁で価格が上がったため5.2%減。このほか住宅関連でリフォームへの支出が3割以上減ったことも響いた。
一方、気温の低下でエアコンなど家庭用耐久財は14.7%伸びた。外食も3.6%増えた。名目の消費支出は1.2%増と8カ月連続で増えており、同省は「消費は持ち直してきている」との判断を据え置いた。
消費回復の動きがなお鈍いのは、賃金上昇のペースの緩さによる。厚労省によると11月の実質賃金は11カ月ぶりに前年同月を上回ったが、伸び率は0.1%どまり。春季交渉では政府の要請に応じて3%の賃上げに前向きな企業も多い。1994年以来の3%賃上げを実現できるかどうかが、消費を底上げし景気回復の裾野を広げる試金石になりそうだ。
17年の小売業販売額1.9%増 3年ぶり増加
経済産業省が30日発表した商業動態統計(速報)によると、2017年の小売業販売額は前年比1.9%増の142兆5160億円だった。3年ぶりに前年実績を上回った。新型車の販売が増えたほか、原油高による石油製品の価格上昇も販売額を押し上げた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で19兆6028億円と前年から横ばいだった。コンビニエンスストアの販売額は11兆7451億円と2.4%伸びた。
17年12月単月の小売業販売額は13兆9460億円と前年同月比3.6%増加した。前年実績を上回ったのは2カ月連続。けん引役は原油高の影響を受けた燃料小売業で、12.1%増えた。飲食料品小売業は2.4%増加した。天候不順で野菜が値上がりし影響が出た。
経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。14年4月に判断を公表し始めて以来初めての表現で、引き上げは16年11月以来となる。
百貨店とスーパーの合計は1.2%増の2兆919億円で、既存店ベースでは1.1%増だった。コンビニエンスストアの販売額は1.8%増の1兆279億円だった。

どうしても通年の統計に目が向きがちながら、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。

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いうまでもありませんが、失業率も有効求人倍率もかなりタイトな労働需給を示しています。加えて、グラフは示しませんが、正社員の有効求人倍率も前月からさらに+0.02ポイント上昇して1.07倍と1倍を上回って推移しています。ただし、今日の雇用統計には含まれていませんが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。逆から見ても、失業率が、引用した記事に見られる通り、ホントに3%が完全雇用なのだとすれば賃金上昇が生ずるハズですし、有効求人倍率がまだ上昇を続けているのも事実です。要するに、まだ遊休労働力のスラックがあるということで、グラフは示しませんが、性別年齢別に考えると、高齢男性と中年女性が労働供給の中心となっています。もっとも、定量的な評価は困難ながら、そのスラックもそろそろ底をつく時期が迫っているんではないかと思います。特に、採用しやすい大企業に比べて、中小企業では人手不足がいっそう深刻化する可能性もあります。加えて、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規職員が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、さらに、雇用面の不安や懸念が大きく軽減されていることから、株高ほどではないとしても、それなりに消費者マインドに寄与しているのではないかと私は考えています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。商業販売統計のヘッドラインとなる小売業販売額について、少し詳しく業種別に季節調整していない販売額の前年同月比増減率で見ると、燃料小売業がもっとも大きく伸びて前年同月比+12.1%増、続いて、機械器具小売業が+8.8%増、さらに、自動車小売業が+7.8%増、織物・衣服・身の回り品小売業が+6.1%増、などとなっています。燃料小売業の販売額については国際商品市況における石油価格の上昇に伴って販売単価が上がっていることから、物価上昇に伴う販売額の増加による部分も少なくないと考えられますが、電機製品などの耐久消費財を含む機械器具小売業や自動車小売業が伸びているのは、雇用者にボーナスが支給される年末12月のひとつの特徴でもありますが、当然に、前年12月も同じことであり、2017年12月統計でこれらの業種が伸びているのは、もちろん、ボーナスの支給額アップもひとつの要因であると同時に、耐久財の買い替えサイクルの復活も考えられると私は受け止めています。もちろん、低温によるエアコン需要などもあるんでしょうが、エコカー減税や家電エコポイントなどによって政策的に買い替えサイクルが歪められたのが復活しつつあるような気がします。ただ、直観的に長続きはしないだろうと思わないでもありません。また、織物・衣服・身の回り品小売業の販売増は寒波の影響かもしれません。気候条件として、夏は暑くて、冬は寒い、というのは衣類などの消費には増加要因です。なお、このブログでは着目していませんが、供給サイドの消費の代理変数である商業販売統計ではなく、需要サイドの消費の代理変数となる総務省統計局の家計調査でも12月統計の実質支出を季節調整していない前年同月比で見て、全体は3か月振りのマイナスなんですが、変動の大きな住居等を除くベースでは+2.9%の伸びを示しています。

何度か繰り返していますが、現在の消費者マインドは一定程度株高に支えられており、今春闘で3%以上の賃上げが実現すれば、消費はさらに伸びを高める可能性もある一方で、賃上げが渋いと所得のサポートなしのマインドだけでは消費は必ずしもサステイナブルでない可能性もあります。

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2018年1月29日 (月)

ピュー・リサーチによる米国の政策プライオリティに関する世論調査結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、米国の世論調査機関であるピュー・リサーチ・センターから先週1月25日付けで、米国の公共政策に関する世論調査結果が明らかにされています。経済や雇用は引き続きもっともプライオリティ高い政策のひとつながら、その重要性が低下している、ということで、Economic Issues Decline Among Public's Policy Priorities と題された調査結果が明らかにされています。もちろん、pdf の全文リポートもアップされています。ということで、いくつか、印象的なグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Downward trend in public views of economic issues as 'top priority' を引用しています。2008年のリーマン・ショックとその後のグレート・リセッションを経て、今では米国経済は絶好調で利上げも始まり、そういった好調な経済や雇用を背景に、これらの政策面でのプライオリティが下がっているのではないか、と私は受け止めています。私はまだ1980年代後半のバブル経済を記憶にとどめている世代であり、当時の経済政策の発動に対する必要性がとても低かったことは確かですし、1989年4月からは消費税が税率3%で導入され、それもあって財政再建が成し遂げられてしまったのも事実です。まあ、現在の米国経済がバブル経済期の我が国と同じとは決して思いませんが、経済が好調であればあるほど政策発動の必要性が低下するのは、どの国でもあり得ることだと認識しています。

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続いて、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Public's policy priorities for 2018 を引用しています。経済は引き続き71%を示しており、トップ・プライオリティの政策のひとつといえますが、テロ対策や教育政策の後塵を拝していることも事実です。また、先日、米国連邦政府のシャットダウンが短期間ながらありましたが、財政赤字の政策としてのプライオリティも、決して高くないような気がします。

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最後に、上のグラフはピュー・リサーチのサイトから Partisans agree on some policy priorities, differ on many others - especially climate change, environment を引用しています。トランプ政権の成立から1年を経て、米国内での分断が強まっているとの見方も示されていますが、グラフのタイトルにある通り、特に、与党の共和党と野党の民主党の間で気候変動などの環境問題に関する政策としてのプライオリティの差が大きいことが気がかりです。軍事政策は私の専門外でちょっと別途の議論が必要かもしれませんが、両党間で移民政策、人種問題、貧困対策なども政策的なプライオリティに差が見られます。現政権下で米国の分裂・分断が進むのかどうか、これらの両党間でプライオリティに差のある政策課題から注目する必要がありそうです。

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2018年1月28日 (日)

都心でも雪がとけず34年振りに7日連続で積雪を観測!

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東京のお天気や気温などの気象条件は、知ってる人は知っている大手町の気象庁で観測していて、まあ、バリバリの都心といえますが、7日連続の最低気温マイナスの冬日で、日中も気温が上がらず積雪が残り、これまた7日連続の積雪の観測は34年振りだそうです。気象協会のサイトから引用した上の画像の通りです。私は週末には自転車で移動することが多いんですが、路面に雪がいっぱい残っていて危険なために、自転車を下りて押して歩くシーンも昨日今日と多かったです。自転車を走らせていると気温が低いもので、つま先なんぞはスニーカーと靴下を通しても凍えるくらいでした。
先週は今シーズン最強の寒波だったのではないでしょうか。実は、私の所属する研究所では、先週月曜日には、前々からの予定通りに、アノ猛吹雪をついて研究成果を発表したりする経済政策フォーラムを開催し、私もプレゼンをしていたりしたんですが、フォーラム終了後の懇親会は中止になりました。みんなで早く帰ろうということなんだろうと思います。
今週はプロ野球のキャンプも始まり、上の倅と私は野球シーズン開幕を楽しみにしていて、もう少し気温が上がるような天気予報ですが、引き続き寒いことにはかわりありません。大学生の倅はともかく、私はもういい年齢に達して、寒さにはめっきりと弱くなりましたので、健康に気をつけて過ごしたいと思います。

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2018年1月27日 (土)

なかなかペースダウンできずに今週の読書はやっぱり7冊!

先週の読書は明らかにオーバーペースでしたが、今週もやや読みすぎたきらいがあり、計7冊に上りました。やっぱり、睡眠時間を犠牲にして読書しているんでしょうね。来週はペースダウンしたいと思います。

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まず、キャス・サンスティーン『シンプルな政府』(NTT出版) です。著者はハーバード大学教授であり、本来の専門分野は憲法だと記憶しているんですが、私の専門分野との関係では行動経済学にも深い見識を有しています。そのため、第1期のオバマ米国政権において米国大統領府の行政管理予算局のひとつの組織である情報・規制問題室長を務めています。この組織は本書でOIRAとして頻出しますし、主として、本書の内容はこの政府における活動を中心に据えています。ですから、2013年に出版された英語の原書の原題は、上の表紙画像に見られる通り、Simpler とされています。ただ、邦訳タイトルのように政府の規制のあり方だけを論じているわけではありません。ということで、政府規制を中心に据えつつも、幅広く行動経済学を論じています。もっとも、政府の公職を離れた後で上梓した本ですので、ハッキリいって、そうたいした内容ではありません。このブログでは取り上げなかったと記憶していますが、日本で本書の直前のこの著者の出版に当たる『賢い組織は「みんな」で決める』が、同じ出版社から出ており、コチラの方がレビューの星が多そうなきがします。もっとも、アマゾンの例では、『賢い組織は「みんな」で決める』はまだレビューがなく、本書『シンプルな政府』は星3つです。まあ、可もなく不可もなく、といった内容だという気がします。政府内での規制の実践が中心をなしていますので、そんなに突飛な実験もできないわけで、それはそれで仕方ない気もする一方で、行動経済学の政府における実践編としては貴重な実証記録なのかもしれません。繰り返しになりますが、本書の特徴をまとめると、行動経済学の新しい理論面を開拓するのではなく、米国政府における実践結果として評価すべきかもしれません。

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次に、ダニエル・コーシャン/グラント・ウェルカー『奇跡のスーパーマーケット』(集英社インターナショナル) です。著者の2人はビジネス・スクールでCERを専門とする研究者とこの本野部隊となるん米国ニューイングランドの地方紙のジャーナリストです。英語の原題は We Are Market Basket であり、日本では、フジテレビの「奇跡体験アンビリーバボー!」で11月に放送された米国ニューイングランドのそこそこ大手のスーパーマーケットの物語です。要するに、スーパーマーケットのファミリー・ビジネスの継承で、一方が典型的な日本的浪花節の世界の経営者アーサーT.で、顧客を大切にし、取引先のサプライヤーも地元から選んでムリをいうこともなく、従業員にも十分な利益還元や就業条件で報いていた一方で、ファミリー・ビジネスのもう一方の大株主の従兄弟アーサーS.はビジネス・スクールを出たエリートで、会社は株主のためにあるというガバナンスを信条に、顧客には売れるだけ高く売りつけ、納入業者を締め上げ、従業員はこき使う、という経営をしたわけです。アーサーT.のいかにも日本的なCSRを重視する経営者からアーサーS.のエリート経営者に経営の実権が移り、従業員はもとより、顧客、納入業者までが一致団結してデモを繰り返し、最後には州議会議員や州知事まで介入して、CSR重視の経営者アーサーT.にアーサーS.から株式が売却され、経営の実権が戻されるように取り計らい、めでたくも抗議行動が集結した、というものです。ただ、本書の著者たちは冷静で、「めでたし、めでたし」で終わるのではなく、返り咲いた経営者アーサーT.が株式を購入するに当たっての借り入れの資金コスト負担、従業員を大切にする長期雇用下で、今回の抗議行動の立役者などの昇進を望む圧力など、今後の先行きの経営の不透明さも浮き彫りにしています。日本的経営を手放しで賞賛するだけでなく、そのコスト面も視野に入れた冷静な分析結果が提供されています。そういった意味で、なかなかの秀作です。

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次に、ウォルフガング・シュトレーク『資本主義はどう終わるのか』(河出書房新社) です。著者はドイツ人の社会学者であり、マックス・プランク研究所やケルン大学をホームグラウンドにしています。前作の『時間かせぎの資本主義』(みすず書房)は私も読んでいて、このブログの2016年7月30日付けの読書感想文で取り上げています。ハッキリいって、前著の方が出来がよく、1980年代の米国レーガン政権や英国サッチャー政権から本格的に始まった新自由主義的な経済政策が最終的に今世紀のリーマン・ショック、というか、本書の表現では世界的により広く流布している「グレート・リセッション」で世界経済の停滞がピークを迎えたと分析し、銀行危機・国家債務危機・実体経済危機という三重の危機を迎えたとの認識が示されていましたが、本書ではどうもつながりのよくない単発の論文を合本したような印象で、特に、第6章以降はまとまりのなさが露呈していると私は受け止めています。第5章までの議論では資本主義と民主主義が近代の初めから「できちゃった結婚」により、手を携えて発展して来たものの、21世紀の現在では市民社会に根差した民主主義が大きく後景に退き、それが資本主義の矛盾を大きくするとともに、格差の拡大や危機の深化などの資本主義の終焉に向かう動きを強めている、という主張ではないかと忖度するんですが、当然のことながら、資本主義の後の経済体制に関する考察を欠きます。その昔のマルクス主義では、さすがに先進国での暴力革命による政権転覆は非現実的としても、また同時に、成熟した先進国の民主主義を経た現状では、プロレタリアート独裁も考えられないとしても、これらの暴力革命やプロレタリアート独裁に代わる成熟した民主主義を代替案と出来るとしても、市場経済に基づく資本主義にとってかわる社会主義、すなわち、中央指令に基づく集産主義的な経済体制については、マルクス主義的な将来像に対する何らかの代替案が欲しかった気がします。格差の是正や民主主義の徹底などは、マルクス主義でなくても、社会民主主義的な改良主義でも、ある程度実現可能と考えられるわけですから、社会民主主義を超えるマルクス主義の主張を正当化するための議論も必要ではないでしょうか。実は、私も資本主義は終わる方向に向かっていると考えているんですが、どう終わるかも重要ですが、その先に何が待っているのかも不可欠の議論の対象だと思います。

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次に、若森章孝・植村邦彦『壊れゆく資本主義をどう生きるか』(唯学書房) です。著者はマルクス主義の研究者であり、本書もマルクス主義の観点から資本主義の終焉や最終段階説を取っています。というのは、約100年前のロシア革命によりソ連が成立してから、資本主義の最終段階説が登場し、今にも世界各国で社会主義革命が起こる、といわれ続けて100年を経て、その前にソ連的なコミンテルン型の社会主義が先に崩壊したわけです。本書ではウォーラーステインの歴史観に基づきつつ、資本主義の最後の世界、特に、1980年ころに成立した英国サッチャー政権や米国レーガン政権以降の新自由主義主義的な経済政策の下で、成長率が向上しない一方で企業部門が利潤を上げながらも労働者にその成果は分配されず、格差が拡大し資本主義の腐敗が進し、同時に民主主義が崩壊に向かって、市民社会も危機に瀕する、という歴史観を共有しています。ただ、完全な共産党員である英国のホブズボームと違って、米国のウォーラーステインはより社会民主主義的であり、改良主義的です。ですから、私が常々疑問に感じている暴力革命とプロレタリアート独裁は必要ではないという立場のように見受けられます。同時に本書では、どうも、後づけのような気もしますが、米国トランプ政権の成立や英国のBREXITなどのポピュリズムの台頭を念頭に置きつつ、深刻化する世界的な分断と排除の根源にはナショナリズム/レイシズム/階級問題があると指摘します。この三位一体構造が私には理解できないんですが、流行を捉えているということは、決して悪いことではありません。ただ、本書の場合、各章の後半部分の対談の収録はカンベンして欲しかった気がします。別の表現をすれば、キチンとした学術書、でなくても専門書か教養書に仕上げて欲しかったと思います。

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次に、スティーブン・ジョンソン『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』(朝日新聞出版) です。同じ著者による同じ出版社からの『世界をつくった6つの革命』に続く第2段といえ、英語の原題は上野表紙画像に見える通り、Wonderland であり、2016年の出版です。著者はよくわからないんですが、ジャーナリスト出身のノンフィクションライターではないかと思います。前著の6つの革命は、ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光、で、とても判りやすくてよかったんですが、本書の6つの気晴らしは、ファッションとショッピング、音楽、特にひとりでに鳴る楽器、コショウや味覚、イリュージョン、ゲーム、レジャーランドなどのパブリック・スペース、となっています。本のタイトルも、章のタイトルも、邦訳はかなり苦しく、少しムリをしている嫌いがあります。特に、最後の章のレジャーランドについては、むしろ、公園なども含めたパブリックなスペースの意味なんですが、日本語では「パブリック」はプライベート=私的の反対で公共の意味をもたせる場合が多く、少し邦訳に苦労している様子がうかがえます。本書での気晴らしについても、第3章の食生活なんて、衣食住の人類の生活に不可欠な要素であって、決して気晴らしではないと思いますし、中身としても、このブログでは取り上げていなかったような気もしますが、前著の『世界をつくった6つの革命』の方が出来がいいような気がします。少なくとも併せて読むべきではないかと思います。どちらか1冊だけ、ということであれば、本書ではなく前著の『世界をつくった6つの革命』の方を私はオススメします。

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次に、今村昌弘『屍人荘の殺人』(東京創元社) です。作者は新人ミステリ作家であり、この作品は第27回鮎川哲也賞受賞作です。小説のタイトルとなっている「屍人荘」は作品中では、どこかの大学の映画サークルが合宿をする「紫湛荘」であり、主人公は大学1年生で、多くの登場人物も大学生というてんでは、いわば、青春小説でもあったりします。しかし、他方で、クローズド・サークル内での殺人事件に対する本格的なミステリとなっています。そして、きわめて独創的なのがクローズド・サークルの発生であり、通常のような吹雪などの気象条件とか、がけ崩れなどの事故とかではなく、生物兵器的なテロによって一種の細菌がばらまかれ、特に伏字とするべきxxxが発生して、一部の登場人物の大学生などもこれに感染してxxx化した中で、その紫湛荘への襲撃を防止しつつ、クローズド・サークル内の殺人事件を解決する、という立てつけとなっています。しかもしかもで、伏字としているxxxも単にクローズド・サークルを形成しているだけでなく、もっと積極果敢な(謎?)役割を果たしたりしています。ホラーとミステリの要素を合体させた作品ですから、この両者の合体自体は江戸川乱歩にさかのぼるまでもなく、決してめずらしいわけではありませんが、xxxの発生によりクローズド・サークルを発生させるというのは、管見の限りなかったような気がします。xxxの駆除、というか、撲滅、というか、何というか、については詳細は明らかにされていませんが、クローズド・サークル内の殺人事件の謎解きは本格的なミステリ作品ですし、私から見ればなかなかのミステリに仕上がっている一方で、読み手によっては評価は分かれる可能性があります。特に、キャラの設定が工夫はしているものの、ややありきたりな印象です。アマゾンのレビューでは星5ツから1ツまで、大きく評価が分かれていますが、私はこの本を買って読みましたが、先々週の読書感想文で取り上げた辻村深月『かがみの孤城』と貴志祐介『ミステリークロック』に比べれば、新人作家ながら「買ってよかった感」を強く持ちます。

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最後に、ロナルド A. ノックス/アントニイ・バークリーほか『シャーロック・ホームズの栄冠』(創元推理文庫) です。論創社から2007年に出版されていた同名の単行本が創元推理文庫で昨年に出版されましたので読んでみました。なお、単行本が出版された折に、2007年はホームズ生誕120年であるとされていましたので、昨年2017年は生誕130年、というか、登場から130年なのかもしれません。本書は5部構成となっており、第1部王道篇、第2部もどき篇、第3部語られざる事件篇、第4部対決篇、第5部異色篇です。未訳の短編作品を中心に、まさに、ホームズのパスティーシュといえるものから、ジョークでしかないものまで、ホームズの物語が取り上げられています。必ずしもミステリだけではありません。第1部はジョークもないわけではないものの、文字通りの堂々たるパスティーシュが多く収録されており、第2部はホームズ・ワトソンのコンビになぞらえた推理探偵と語り部のコンビによるミステリが中心となり、第3部では、ドイル著のホームズ小説で事件名のみが取り上げられて、中身の不明な事件について明らかにされており、第4部ではホームズ以外の著名な探偵であるデュパンや007ジェームズ・ボンドとの対決があり、最後の第5部では雑多な短編が収録されています。

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2018年1月26日 (金)

ともに+1%近い上昇率を続ける消費者物価指数(CPI)と企業向けサービス物価(SPPI)!

本日、総務省統計局から消費者物価指数 (CPI)が、また、日銀から企業向けサービス物価指数 (SPPI)が、それぞれ公表されています。いずれも昨年2017年12月の統計です。消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は+0.9%と先月と同じ+1%近い上昇率を示し、企業向けサービス物価(SPPI)の前年同月比上昇率も前月と同じ+0.8%を記録しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の全国消費者物価0.5%上昇 12月は0.9%上昇
総務省が26日発表した2017年12月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.7と、前年同月比0.9%上昇した。プラスは12カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.9%上昇)と同水準だった。ガソリンなどエネルギー価格上昇の影響が大きかった。
生鮮食品を除く総合では全体の55.6%にあたる291品目が上昇し、174品目が下落した。横ばいは58品目だった。
生鮮食品を含む総合は101.2と1.0%上昇した。エネルギー価格上昇のほか、レタスなど葉物野菜の生育遅れと、ビールの値上がりなども押し上げ要因だった。一方で携帯電話料金や家電価格は下落しており、生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.0と、0.3%の上昇にとどまった。
同時に発表した2017年の全国の生鮮食品を除く総合は100.2と前年比0.5%上昇し、2年ぶりにプラスとなった。生鮮食品を含む総合は0.5%上昇の100.4で、こちらも2年ぶりのプラスだった。
併せて発表した東京都区部の1月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が99.8と0.7%上昇し、7カ月連続で上昇した。生鮮食品を含む総合は100.8と1.3%の上昇だった。
12月の企業向けサービス価格、前年比0.8%上昇 前月比0.2%上昇
日銀が26日発表した2017年12月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は104.3で、前年同月比で0.8%上昇、前月比で0.2%上昇した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、やや長くなってしまいました。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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コアCPIの前年同月比上昇率は昨年2017年12月の月次統計で+0.9%、2017年通年では+0.5%となりました。単純に見ると、コアCPI上昇率は昨年6月+0.4%から7月+0.5%、8~9月+0.7%、10月+0.8%、11~12月+0.9%と緩やかながら上昇幅の拡大を続けており、加えて、全国の先行指標となる東京都区部でもコアCPI上昇率が全国から4か月遅れて昨年2017年5月にプラスに転じ+0.1%を記録した後、10~11月の+0.6%、12月の+0.8%まで順調にプラス幅を拡大していましたが、今年2018年1月にはやや上昇幅を縮小して+0.7%となっています。金融政策というよりもエネルギー価格の影響を受けた物価上昇ではないかと私は考えており、全国CPIのエネルギー上昇率は高止まりしているものの、前年同月比で見て、昨年2017年10月に+8.6%でピークを付けた後、12月+8.5%、今年2018年1月+7.7%と、ジワジワと上昇幅を縮小させています。しかし、先行きの消費者物価(CPI)上昇率を考える場合、エネルギーではなく国内要因を考慮する必要もあり、要するに、いわゆる需給ギャップと賃金動向です。現時点で、これらはともに、物価を上昇させる方向にあると考えるべきであり、少なくとも、需給ギャップは文句なしですが、賃金動向はまだ本格的な上昇に至っておらず、デフレ脱却にはさらなる賃上げが必要です。現在、春闘のシーズンに入り、何と、経営者団体である経団連から3%賃上げのかけ声が響き渡っていたりします。エコノミストの間では、ボチボチ、デフレ脱却の声が出始めていますが、政府が本格的なデフレ脱却宣言を発するためには、今春闘での賃上げは必要不可欠です。果たしてどうなりますことやら?

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続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)と国際運輸を除くコアSPPIの上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。SPPIとPPIの上昇率の目盛りが左右に分かれていますので注意が必要です。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。ということで、SPPIも引き続き堅調な推移を見せています。特に、昨年2017年12月には景気動向と密接な関係を持つと考えられる広告が、9月統計から3か月振りに前年同月比でプラスを記録しています。テレビ広告、新聞広告などが前年比寄与度前月差で見てもプラスになっています。また、同様に、ソフトウェア開発などの情報通信も前年比寄与度前月差でプラスを示しています。引き続き、人手不足を背景として企業向けサービス物価もプラスを続けそうです。

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2018年1月25日 (木)

リクルートジョブズによる非正規雇用の賃金動向調査結果やいかに?

来週の雇用統計の公表を前に、ごく簡単に、リクルートジョブズによる非正規雇用の時給調査、すなわち、アルバイト・パートと派遣スタッフの募集時平均時給の12月の調査結を見ておきたいと思います。

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ということで、上のグラフを見れば明らかなんですが、アルバイト・パートの平均時給は引き続き2%台で堅調に推移していて、特に12月統計では1,030円と2006年1月の統計開始以来の過去最高水準を記録し、3か月連続で最高記録を更新し続けています。一方で、派遣スタッフの平均時給は、一昨年2016年9月から昨年2017年8月までの12か月ではマイナスを記録する月の方が多いくらいですが、昨年2017年9月からはふたたびそれなりのプラス幅を記録しています。引き続き、非正規雇用の求人は堅調と考えてよさそうです。

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2018年1月24日 (水)

貿易統計に見る輸出は着実に増加し我が国産業の競争力を示す!

本日、財務省から昨年2017年12月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+9.3%増の7兆3021億円、輸入額も+14.9%増の6兆9431億円、差引き貿易収支は+3590億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

アジア向け輸出が過去最大 貿易黒字17年2.9兆円
財務省が24日発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、2017年の輸出額は16年比で11.8%増え78兆2897億円だった。2年ぶりに増加した。中国を含むアジア向けにスマートフォン(スマホ)に使う液晶デバイスなどを製造する半導体製造装置が大きく伸びた。年間の輸出額は中国、中国を含むアジアともに過去最大だった。
輸出額から輸入額を差し引いた17年の貿易収支は25.1%減の2兆9910億円。2年連続で黒字を確保したものの、黒字幅は縮小した。
中国を含むアジア向け輸出は15.7%増の42兆9252億円、中国向けは20.5%増の14兆8914億円と、ともに2桁の伸びを確保した。けん引役は半導体製造装置で、アジア向けで3割超、中国向けで5割近く伸びた。高機能なスマホやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及に伴い、中国や韓国などで半導体の生産能力増強や高度化が進んだ。
米国向け輸出は6.8%増の15兆1110億円で2年ぶりに増加した。大型の自動車の輸出が伸びた。欧州連合(EU)向けも自動車が伸びて8.5%増の8兆6572億円だった。
17年の輸入額は全体で14%増の75兆2986億円となり3年ぶりに増加した。原油価格の上昇を背景に、原粗油の輸入額が29.3%増と4年ぶりに伸びた結果、輸入額を押し上げた。
17年12月単月の輸出額は前年同月比9.3%増の7兆3021億円。日系のメーカーが現地生産を終了した影響で、オーストラリア向けの自動車輸出が増えた。輸入額は14.9%増の6兆9431億円。貿易収支は3590億円と7カ月連続の黒字だが、黒字額は43.5%減った。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、通年の統計が出ると、ソチラに焦点が移り、12月統計は最後のパラで報じられるにとどまっています。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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通年の年次貿易統計にまず着目すると、よく知られている通り、2011年3月の震災から原発が停止し始め、発電向けも含めて石油やLNGの輸入が量的に増加するだけでなく、当時の国際商品市況の動向も石油価格上昇の地合いにあったことなどから、2011-15年まで貿易赤字が続きました。最大の赤字を記録したのは2014年の▲12.8兆円でしたが、その次の2016年には赤字はわずかに▲2.8兆円に縮小し、2016-17年は貿易黒字に戻り、2016年+4.0兆円、2017年+3.0兆円を記録しています。引用した記事にもある通り、2017年は輸出額が+11.8%増加した一方で、輸入額はこれを上回る+15.8%の増加を示しましたので、貿易黒字は2017年には前年から縮小しました。要するに、国際商品市況における石油価格の上昇などから輸入額が増加した結果であると私は受け止めています。アジア向けの輸出が+15.7%増加し、中でも中国向けは+20.5%増ですし、米国向けも+6.8%増、EU向けも+8.5%増を示しており、我が国の輸出は堅調に推移しています。また、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは貿易黒字5300億円でしたので、実績はこれを下回りましたが、特段の懸念材料とも思えません。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、繰り返しになりますが、2017年通年の輸出の統計を見ると、引用した記事にもある通り、アジア向けの輸出が+15.7%増加し、中でも中国向けは+20.5%増ですし、米国向けも+6.8%増、EU向けも+8.5%増を示しており、世界で我が国の競争力が示されていると考えるべきです。満1年を迎えた米国のトランプ政権についても、いきなりTPPからの離脱を決めるなど、我が国からの輸出などの貿易を阻害する可能性ある通商政策に対する懸念がありましたが、逆に、減税法案の議会通過により米国景気が上振れて、我が国からの輸出の増加が期待される様相を呈していますし、少なくとも現時点で、未実現だったTPP離脱のほかにトランプ政権の政策が通商阻害要因になっていないと考えるべきです。もっとも、先の話は判りません。アメリカ・ファーストで通商疎外的な政策が台頭する可能性もあります。ただ、それを別にすれば、我が国からの輸出については、先行きも、国際通貨基金(IMF)から示された「世界経済見通し改定」などを見る限り、世界経済も我が国経済も引き続き順調な成長経路をたどると見込まれており、為替動向も安定的に推移していることから、所得面からも価格面からも我が国の輸出は緩やかに増加を示すと期待してよさそうです。

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2018年1月23日 (火)

MF World Economic Outlook Update, January 2018 やいかに?

昨日、ダボス会議にて国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」 World Economic Outlook Update, January 2018 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、成長率の総括表をIMFのブログ・サイトから引用すると以下の通りです。

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見れば明らかなんですが、昨秋2017年10月時点の見通しから全般的に成長率については上方修正されています。2017年の世界経済の成長率は昨年10月時点の見通しからさらに+0.1%ポイント上方改定されて+3.7%と見込まれている上に、2018-18年はともに前回見通しから+0.2%ポイント上方修正されて+3.9%が見込まれています。
日本については、今年2018年の成長率は+1.2%と前回見通しから+0.5%ポイントも上方修正されています。ただ、2019年については消費税率が8%から10%に引き上げられることから、成長率は+0.9%に鈍化すると予想されています。この上方改定には、外需予測の上方修正を反映しているほか、2018年の補正予算や、予測よりも活発だった最近の経済活動の効果が持ち越されることを反映している "reflecting upward revisions to external demand, the supplementary budget for 2018, and carryover from stronger-than-expected recent activity" ことを理由に上げています。
先行きリスクとしては、短期には上振れリスクと下振れリスクがおおむね均衡している一方で、中長期的には下振れリスクの方が大きく、最大のリスクは融資条件が現在の緩和的な水準から引き締められていくこと "tightening of global financing terms from their current easy settings" であると指摘しています。そして、そのための政策対応としては、第1に構造政策による潜在成長率の向上、特に高齢化が進む先進国では労働参加率の向上も潜在成長率を高める施策として用いるべき "structural reforms to lift productivity and, especially in advanced economies with aging populations, enhance labor force participation rates"、第2により積極的な金融規制などを通じてレジリエンスを高めること "to increase resilience, including through proactive financial regulation"、とされており、先行きの金融緩和の終了やテイパリング、さらには金利引上げなどへの対応を求めています。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げの
影響を除くケース
 2017年度+1.8~+2.0
<+1.9>
+0.7~+1.0
<+0.8>
 10月時点の見通し+1.7~+2.0
<+1.9>
+0.7~+1.0
<+0.8>
 2018年度+1.3~+1.5
<+1.4>
+1.3~+1.6
<+1.4>
 10月時点の見通し+1.2~+1.4
<+1.4>
+1.1~+1.6
<+1.4>
 2019年度+0.7~+0.9
<+0.7>
+2.0~+2.5
<+2.3>
+1.5~+2.0
<+1.8>
 10月時点の見通し+0.7~+0.8
<+0.7>
+2.0~+2.5
<+2.3>
+1.5~+2.0
<+1.8>

最後に、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合で「展望リポート」が明らかにされています。政策委員の大勢見通しは上の通りです。+2%の物価目標の達成時期については、「19年度ごろ」とした従来の見通しを維持しています。

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2018年1月22日 (月)

世界経済フォーラムによる The Global Risks Report 2018 やいかに?

ダボス会議を主催する世界経済フォーラムから先週水曜日の1月17日に The Global Risks Report 2018 が明らかにされています。もちろん、pdf の全文リポートもアップされています。

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上のグラフはリポート冒頭のグラフをいくつか並べた最初のグラフ、Figure I: The Global Risks Landscape 2018 を引用しています。やや縮小して見にくくなっていますので、クリックすると別タブにてリポートの当該ページだけを抜き出したファイルが開くようにしてるつもりです。なお、いつもの通り、上のグラフの縦軸は Impactであり、横軸は Likelihood です。散布図ですから、インプリシットに横軸が縦軸を決めるという関数形ではありません。右上に位置するイベントほど、発生する確率が高くダメージも大きい、という意味だと私は理解しています。
その意味で、青でプロットされている経済的なリスク要因はかなり後景に退いたように見えます。右上に位置しているトップスリーはすべて環境リスクであり、Extreme weather events、Natural disasters、Failure of climate-change mitigation and adaptation となっています。一見したところ、緑色の環境リスクのほかでは、紫色の技術リスク、レンガ色の社会的リスク、黄色っぽい地政学的リスクなどに比較して、ブルーの経済的リスクでは Asset bubbles in a major economy、Unemployment or underemployment、Fiscal crises なんでしょうが、生じる確率もダメージも、ほかのカテゴリーのリスクに比較して大きいとはいえないように受け止めています。ダボス会議は明日の1月23日から始まり26日までです。

また、国際通貨基金(IMF)が「世界経済見通し改定」World Economic Outlook Update をダボス会議で公表しています。かなりの上方修正がなされていますが、日を改めて取り上げたいと思います。

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2018年1月21日 (日)

久し振りのエコノミスト誌のビッグマック指数やいかに?

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最新号のエコノミスト誌で、久し振りに、購買力平価を算出するビッグマック指数が取り上げられています。上のグラフの通りです。見れば判ると思いますが、グラフの上方に置かれている国ほど米ドルに対して自国通貨が割高に評価されていることになります。青でポイントされているのが昨年7月時点の評価であり、赤が今年1月時点です。下の方に置かれている通貨の過小評価国は、トルコなどの一部の例外を除けば、軒並み右にポイントがシフトし、市場評価の為替レートがビッグマックで計測した購買力平価に近づいたことになります。すなわち、エコノミスト誌では、"Since last July, cheap currencies have narrowed the gap against the dollar" と表現しています。しかし、グラフの上の方に置かれている為替の過大評価国もご同様であり、これは、購買力平価から遠ざかっています。すなわち、全般的なドル安が進んだ、ということなのではないかと私は考えています。ご参考まで。

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2018年1月20日 (土)

今週の読書は専門の開発経済学をはじめ多岐に渡り大量に計8冊!

先週末に図書館からかなり大量に借りてしまい、今週の読書は開発経済学や日本経済などの高度成長期研究などの私の専門分野、さらに教育や医療といった経済に大きく関連する分野の専門書、さらに直木賞候補に上げられた小説まで含めて、以下の通りの計8冊です。来週はもっとペースダウンしたいと考えています。

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まず、デイビッド・ヒューム『貧しい人を助ける理由』(日本評論社) です。著者は英国マンチェスター大学の開発経済学の研究者であり、邦訳にはJETROアジ研のグループが当たっています。英語の原題は should Rich Nations Help the Poor? であり、著者や私を含む多くの読者は Yes の回答を持っているものと想像しています。原書は2016年の出版です。ということで、本書ではまったく触れられていませんが、英国マンチェスター大学といえば、唯一黒人でノーベル経済学賞を授賞されたアーサー・ルイス卿が米国のプリンストン大学に移る前に在籍し、かの有名な二重経済を論じた "Economic Development with Unlimited Supplies of Labor" はマンチェスター大学の紀要論文として取りまとめられていると私は記憶しています。開発経済学を専門とする私としても、印刷物の実物は見たことがありませんが、何度も論文で引用していたりします。その著者が本書で論ずるに、豊かな国が貧しい人々を助ける理由として2点上げており、第1点目は倫理的な理由です。本書では正義感と表現しているところもあります。いかなる観点からも文句のつけようのない理由です。第2点目が、少し議論が必要かもしれませんが、日本的な表現をすれば「情けは人の為ならず、回り回って自分の為」というような観点ながら、要するに自国ないし自国民のためという理由であり、広く自分のためといいつつも、より正しく表現すれば、共通利益の実現、ということになります。ですから、豊かな国が援助するとしても、いろんな手段があるわけで、無償のヒモ付きですらない援助、償還を前提とする借款、人的な技術援助、そして、市場外の政府間の援助ではなく市場ベースで行われる直接投資や何らかの資本流入、その他、いろいろな先進国や豊かな国からの開発援助や市場ベースの技術や資金の流入があります。その上で、先ほどの共通利益の実現として、典型的には地球環境の保護、不平等の是正などを目指した活動があります。私は、本書では過去のものと見なされている「ビッグ・プッシュ」による開発促進はまだ有効であると考えており、ほかにも、必ずしも「フェア・トレード」を促進することが開発につながるかどうかには疑問を持っていたりします。開発初期には、クズネッツの逆U字カーブを持ち出すまでもなく、また、我が国などの女工哀史のような歴史に言及せずとも、何らかの開発に伴う犠牲は考えられます。こういった私の見方も含めて、開発経済学にはいろんな考えがあるんですが、それらを包含して、幅広い開発への合意形成もこういった著作から目指すのもとても意味あることだと私は思います。


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次に、マイク・レヴィンソン『例外時代』(みすす書房) です。著者はドイツ生まれの英国「エコノミスト」誌の編集者であり、本書の英語の原題は An Extraordinary Time であり、2016年の出版です。本書では、戦後1950-60年代の世界的な高度成長期を例外時代と見なし、現在の低成長の時期こそがノーマル、というか、普通=ordinaryなのだと主張しています。まあ、当然です。戦後の高度成長期に関しては、私も開発経済学の観点から研究対象とし、一昨年に "Japan's High-Growth Postwar Period: The Role of Economic Plans" と題する学術論文を役所の同僚と共著で取りまとめ、昨年には所属学会である国債開発学会の年次大会にて学会発表しています。私の論文は高度成長期における経済計画の重要性に着目した内容ですが、本書でも、第1章の最後の方で経済計画の役割、特に、明記はしていませんが、我が国では通産省の産業政策と経済企画庁の経済計画の組み合わせによる行政指導を含む助言と指導が高度経済成長に大きな役割を果たした点を明らかにしています。ただ、本書では1973年の第1次石油危機により世界的に高度成長が終了したと示唆しており、私の理解とは少し違っています。すなわち、私はこれも役所の同僚、何と、今では日銀政策委員までご出世された先輩との共著で「日本の実質経済成長率は、なぜ1970年代に屈折したのか」 と題する学術論文を取りまとめており、この論文では、1970年代に高度成長を終了させ、その後の成長率を屈折させたものは、石油ショックや技術格差の縮小のような外的な要因ではなく、外的なショックに対して日本経済が反応する力の弱くなったことにある、と結論しています。そして、この論文では定量的な分析は提示できていないものの、アーサー・ルイス卿による二重経済の解消過程における労働力のシフトが高度成長をもたらした、と私は考えています。ですから、高度成長は戦後経済における1回限りの経済現象であったわけです。それは日本に限らず、欧米諸国でも同じことが当てはまります。同じことは本書の著者も理解しているようで、p.304 には、「戦後すぐに生産的な仕事へと移行していた未活用の膨大な労働力は、もうあてにできなかった。」と表現されています。おそらく、中国でも同じことでしょう。

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次に、高田創[編著]『異次元緩和脱出』(日本経済新聞出版社) です。編著者はみずほ総研に3人いるチーフエコノミストの1人であり、著者人はみずほ総研の研究者で固めているようです。本書では、現在の5年近く続いた黒田総裁の下での日銀の異次元緩和の出口について、テーパリングではなく金利引上げの観点から、いくつかのシナリオを考えた上でシミュレーションを行い、異次元緩和の出口戦略の考察を進めています。ということなんですが、出口に達する前に、まず、出口を判定する基準のようなものについて考えており、3つほどのケースを取り上げています。私はその中では、本書でいうところの「OKルール」なんだろうという気がします。すなわち、コアCPIの+2%上昇に達しないながらも、景気も含めて総合的に判断すればデフレを脱却した、という名目の下で出口戦略を開始する、というものです。ただ、本書で触れられていないのは為替に対する影響です。すなわち、私のような単純な頭で考えれば、物価上昇が+2%に達しなければ、もしも、米国や欧州が+2%の物価上昇を達成しているならば、購買力平価の観点から円高に振れかねない、という懸念があったんですが、どうも、米国もユーロ圏欧州も物価上昇率は必ずしも安定的に+2%に達しているわけでもなく、「まあいいか、OKか」という雰囲気が広がるのも理解できるところです。そして、この異次元緩和の出口に対応して、8つのシナリオを本書では用意しています。本書の p.125 に並べられています。債務超過に陥らないように日銀財務の収支を考慮するとともに、金利水準そのものに加えて、イールド・カーブの傾き、すなわち、長短金利差も含めた8つのシナリオです。その上で、日銀財務、政府債務残高と金融機関経営の三位一体の影響をシミュレーションしています。テーパリングではなく金利引上げを出口戦略の主たる対象としてますので、貯蓄投資バランス次第という気もしますが、伝統的な経済学では企業部門は投資超過、家計部門は貯蓄超過、政府と海外は適宜、と考えられている一方で、現時点では、事業会社を中心とする企業部門は、かなりの程度に投資超過を解消しており、貯蓄超過の企業も少なくなく、家計は伝統的に貯蓄超過となっていて、政府部門が大きく投資超過となっています。単純に考えると、金利が上昇すれば投資超過主体から貯蓄超過主体に所得が移転されます。ですから、金利上昇でもっとも大きなダメージを受けるのは、現時点の日本では政府です。そして、金利の絶対水準が上昇すれば、利ザヤを抜きやすくなるという意味で銀行をはじめとする金融機関の経営には朗報といえます。もちろん、本書で用意されたいくつかのシナリオで違いはありますが、基本ラインはこの通りではないかという気がします。そして、そこは金融機関から独立したシンクタンクらしく、というか、何というか、みずほFGのシンクタンクとして本書では金融機関の経営にも目配りし、少なくとも、私のような少数派のエコノミスト以外は多くの見方が一致する可能性のある「永遠のゼロ」は最もリスクが大きい、と結論しています。私は本書で指摘されている「悪い金利上昇」、すなわち、リスク・プレミアムによる金利上昇が最悪のケースではないかと考えていますので、半分とはいわないまでも、いくぶんなりとも金融機関のポジション・トークを本書は含んでいる気はしますが、現在の日銀の異次元緩和の出口戦略を考えるアタマの体操、ということで何らかの参考にはなりそうな気もします。

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次に、エリック・ホブズボーム『いかに世界を変革するか』(作品社) です。著者は著名な英国のマルクス主義歴史学者であり、数年前に亡くなっています。原書の英語タイ トルは "How to Change the World" であり、2010年の出版です。日本語版では解説のたぐいや編集後記などを含めて、ラクに600ページを超える大作に仕上がっています。単純な2部構成となっており、第1部ではマルクスとエンゲルスの人物像を明らかにし、第2部で彼らの思想というか、マルクス主義について考察を進め、最後の方ではマルクス主義の歴史、特に欧州での共産主義の歴史が焦点となっている、という印象です。特に、イタリア共産党のグラムシについて注目しており、その後の欧州におけるユーロコミュニズムの展開や、逆に、ソ連型社会主義の崩壊まで視野に入れて歴史を論じています。そして、ホブズボーム教授によれば20世紀は短いようですので、その対となる21世紀は長そうだ、という予感めいたもので締めくくられています。社会科学の分野におけるマルクス主義の影響については、もっとも影響力が大きかったのは歴史学であり、経済学はマルクス主義に対して「冷淡」と評価されています。私自身はその中間領域、というか、大学生のころは経済史を専攻していて、その後は経済発展の歴史を基に開発経済学を発展途上国や新興国に適用しようとしているわけですが、いずれにせよ、歴史をマルクス主義的に発展論として解釈すれば、本書でも何度か指摘されている通り、アジア的、古典的、封建的、そして近代ブルジョワ的な生産様式となり、その後に、マルクス主義では社会主義と共産主義がやって来る、という歴史観になっています。しかし、少なくとも、暴力革命とか、プロレタリア独裁とか、中央指令経済、とかはかなりの程度に、それこそ「冷淡」にエコノミストから見られていることは確かです。社会運動としてのマルクス主義の歴史としても、戦前期に反ファシズム、反ナチスとしてコミンテルンで統一戦線理論が発展し、戦後は、本書でも指摘されている通り、1970年代にユーロコミュニズムとして、この場合、ユーロコミュニズムには発達した先進国としての日本も含めて、特に大陸欧州で共産党が選挙の場を通じて躍進する時代もありましたが、1980年代の米国のレーガン政権と英国のサッチャー政権を経て、1990年代には大きく退潮していますし、21世紀に入っても飛躍的な復活がなされているとは、少なくとも私は考えていません。資本制生産様式が生産力の桎梏となりつつあるかに見え、いくつかの危機が先進国を襲う中で、かつてのソ連や中国のような暴力革命はもはや考えられませんし、マルクス主義的なプロレタリアート独裁や中央指令経済に代わる何かを提案できる段階にあるとも、私は考えていません。資本主義の次なる時代を残り少ない寿命で私は見ることができるのでしょうか?

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次に、ルーシー・クレハン『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』(早川書房) です。著者は英国の中学校の理科の教師であり、OECDのPISAの結果を受けて、その高スコア国5か国を巡る旅の資金をクラウド・ファンディングで集めて本書を仕上げています。英語の原題は Cleverlands であり、2016年の出版です。東大の苅谷剛彦教授が巻末に解説を寄せています。邦訳タイトルは、不正確であるともいえますが、出版不況の中で売上げを伸ばすための方便と受け止めておきます。ですから、PISA高スコア国5か国のうちに日本を含むのは当然ですが、英国は含まれておらず、日本以外の4国はフィンランド、シンガポール、上海、カナダとなっており、いわゆる西欧諸国は含まれていません。5歳児から学校教育を開始して教育課程の早い段階で分岐させる英国スタイルと違って、7歳児から学校教育を初めてかなり遅い時点まで高等教育と職業訓練の分岐点を設けずに包摂的な教育を特徴とするフィンランド、グループの集団責任や横並びの教育を重視し、フィンランドと同じように15歳時点まで高等教育=大学進学と職業訓練の分岐を設けない日本、12歳の小学校卒業時点でその名も小学校卒業試験(PSLE)という大きな分岐点を設けて競争の激しいシンガポール、しかも、シンガポールでは優生学的に優秀な遺伝子を持つ子供の誕生の促進までやっているそうです。加えて、中国では18歳時点で大学入試統一試験として実施される高考における競争の激しさが特筆され、カナダでは移民も含めた多様性な人口構成が高成績につながるシステムが紹介されます。各国3章が割かれており、計15章あって、冒頭の章に加えて、最後にもコンクルージョンの章を置き、そして、何よりも本書の特徴は最終章でPISAの高スコアの背景で犠牲になったものがあるかどうかを考察していることです。ただ、私がもっと知りたかった点が2点、残された課題があると考えています。すなわち、PISAというのは典型的に認知能力、平たくいえば学力を測定する目的で実施されていますが、非認知能力、例えば、途中で諦めずに粘り強くやり抜く能力、周囲と協調して何かを進める能力、マシュマロ・テストのような我慢強さなどなど、今までは認知能力に資する範囲でしか論じられてきませんでしたが、本書でも非認知能力はそれほど注目していません。そして、エコノミストの関心として教育が生産性に及ぼす影響、すなわち、教育と就業のリンケージです。この2点はもう少し掘り下げた分析が必要かという気がしますが、まあ、本書のスコープ外なんでしょうね。

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次に、武久洋三『こうすれば日本の医療費を半減できる』(中央公論新社) です。著者はリハビリ医であり、リハビリなどの慢性医療系の病院を多数経営する経営者でもあります。本書では一般病院たる急性期病院と慢性期病院を区別し、リハビリ医らしくリハビリにより早期の回復を目指すことにより、高齢化が進むわが国の医療費の軽減を図る方策について検討を加えています。冒頭章では寝たきり高齢者は病院における不適切な食生活や長過ぎる入院期間によって生じるとされ、その代替案として著者の専門領域であるリハビリの重視が提示されます。その後、厚生労働省などによる不適切なインセンティブ付与などにより病院経営が歪められ、入院期間の長期化や過剰な投薬、あるいは、ベッドでの安静の強要などが、かえって寝たきり高齢者の増加を招いている実態が明らかにされます。残りは、ご高齢のリハビリ医ですので、自慢話やリハビリ中華思想、あるいは、リハビリ帝国主義の開陳に終わっている部分も少なくないんですが、足腰が立たなくなって車椅子生活になっても、自己嚥下による食生活の充実と下の世話にならない排泄の自己処理の重要性については、高齢者の入り口である還暦を迎える身として大いに同意するところがありました。何か別の本で読んだ記憶がありますが、地下鉄や電車に乗っていると、「お客様ご案内中です」という、いかにも車椅子乗車の補助をしたことを自慢するかのようなアナウンスを聞く場合がありますが、車椅子の補助は駅員さんが喜んでやってくれる一方で、トイレに連れて行って下の世話をしてくれるかどうかは不安が残ります。ですから、とても共感できる部分がありました。また、自力か車椅子かは問わずに、出歩けるかどうかについて、私はこの2~3年位前から、特に自転車でできる限り出歩くようにしています。その昔のステレオ・タイプのテレビドラマなんぞで、年寄りが元気なころは自宅でゴロゴロしている一方で、車椅子生活になった途端に××に行きたいといい出した挙句に、車椅子を押してくれない家族に冷たく当たる、といったシーンが思い出されて、その逆をする、すなわち、出歩けるうちに自力で出歩いておいて、足腰が不自由になれば自宅でごろごろする、というのを実践すべく予定しています。もっとも、予定はあくまで予定なので、そのとおりに実行できるかどうかは不明だったりします。

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次に、柚木麻子『BUTTER』(新潮社) です。直木賞候補作に上げられましたが、惜しくも受賞は逃しました。実は、まったくの根拠ない直感で、この作品が直木賞を受賞するような気がしたので延々と待つのを覚悟の上で図書館に予約しましたが、読んでみて、『月の満ち欠け』のような完成度はないと実感させられました。結婚詐欺の末に男性3人を殺害したとされる容疑者、というか、すでに裁判になっていて地裁段階の一審判決は出ているので、被告、というべきかという気もしますが、この取材対象者に対して、30代女性の週刊誌記者が拘置所に通ってインタビューにこぎつけながら、取材を重ねるうちに欲望と快楽に忠実な被告の言動に翻弄されるようになって、結局、他社のアテ取材にされてしまって、記事が捏造に近い扱いを受けて、記者としての生命を絶たれ、友人との関係も一時的ながらマズくなる、というストーリーであり、題材は10年近く前の木嶋佳苗事件ではないかと思われます。その取材対象の被告の最大の結婚詐欺の武器だったものが料理であり、特に、フランス料理系のバターを多用する料理、しかも、取材対象者の新潟の郷里の近所に住む幼なじみが酪農を営み、濃厚な乳製品を小さいころから愛用していた、というのがタイトルになっているようです。『小説 新潮』の連載が単行本として出版されています。ということで、かなりしっかりした長編小説であって、女性心理を主人公と取材対象者はいうまでもなく、主人公周辺の母親、大学の同級生、職場の新入社員、などなどのさまざまに異なるキャラクターから描写し、もちろん、正常な女性心理とともに犯罪者の女性心理も余すところなく取り上げています。同時に、大学時代の友人夫婦の不妊治療などを題材にして、男女間の昔ながらの役割分担、特に、家庭内の専業主婦の役割観、若い女性の体型に対する厳しい見方、身長は努力でどうにかできる範囲が小さいのに対して、体重や体型は努力の余地が大きいことから、そういった努力不足に対する非難めいた見方など、特に、そういった見方が若い女性に集中する社会的な風潮などについても、決してそれが犯罪の情状材料になることはないとしても、そういった社会的な歪みをそれなりに違和感を持って描き出しています。ただ、れっきとした犯罪行為に対する倫理観というものが、私の見方からすればやや不満が残りました。同様に批判されるべき行為だとしても、犯罪とギリギリであっても犯罪でない行為には、もちろん、思想信条の自由から思考として持っている場合はいうに及ばず、社会的に許容する範囲は違う、と私は考えています。論評ではなく小説ですので、それはそれなりに解釈すべきですが、私の見方からすれば、やや得点を落とした気がします。逆に、なかなかのボリュームの長編でありながら、行きつくヒマもなく読み切らせる構成力と表現力は、小説家としての力量を感じさせます。

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最後に、滝田洋一『今そこにあるバブル』(日経プレミアシリーズ) です。著者は為替関連の著作も少なくない日経新聞のジャーナリストです。ということで、冒頭から1980年代終わりにバブル経済期を思わせる六本木でのタクシー乗車のシーンなどから始まり、日米欧の先進各国の金融当局による大規模な金融緩和に伴って、いわゆるカネ余りで資産価格の上昇が生じているように見えるいくつかのシーンをトピック的に紹介しています。その中心はREITであり、バブル経済期の土地神話を思い起こさせますが、本書の著者も認めているように不動産価格の高騰は今のところ生じている気配はありません。むしろ、すでに落ちてしまいましたが仮想通貨の高騰は、本書が出版された昨年2017年年央には見られていたかもしれません。本書では金融政策に対して、それなりにバブル警戒の視点を持ちつつも、同時に、翁教授を名指しで批判し、リーマン・ショック後の大きな景気後退期にイノベーションによる経済成長なんて非現実な対応を否定的に紹介しています。ただし、私のようなリフレ派の官庁エコノミストから見れば、なかなかにナローパスの経済政策運営を強いられている印象があり、現状の潜在成長率を少し超えたくらいの+1%少々の経済成長では物足りない感が広くメディアなどで表明され、同時に、不平等感の上昇もあって、国民の間で景気拡大の実感が乏しいとも聞き及ぶ一方で、本書のようにバブル警戒の意見もあるとすれば、一体全体、国民の経済政策運営のコンセンサスがどのあたりにあるのか、まったく視界不良に陥ってしまいます。もっと成長率を高くし、景気拡大の実感を強める方向の意見がある一方で、そろそろ引き締めを視野に入れた政策運営が求められるとすれば、方向感覚としては大きな矛盾を抱えることになります。中央銀行たる日銀は物価上昇をターゲットに、おそらく、景気循環の1循環くらいの時間軸で金融政策運営を行っているのに対して、政府の経済政策のスタンスはもっと長期の視野を持っています。教育なんぞで「国家100年の大計」とまではいいませんが、景気循環の秋季を超えたもう少し中長期的な経済政策のあり方を模索するわけですが、いろんなご意見を聞くうちに混乱しそうで少し怖い気がします。

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2018年1月19日 (金)

本気象協会による「2018年 春の花粉飛散予測 (第3報)」やいかに?

昨夜に続いて、この時期にどうしても気になる花粉症の話題で、日本気象協会から今週火曜日の1月16日付けで「2018年 春の花粉飛散予測 (第3報)」が明らかにされています。まず、日本気象協会のサイトから各地のピーク予測、2018年シーズンの花粉飛散傾向、そして、2018年シーズンの飛散開始時期、と、サイトに置かれている画像を一気につなげて引用すると以下の通りです。

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関東や東京に着目すると、花粉飛散の時期も量も例年並みであり、おそらく、2月の建国記念日から本格的な花粉飛散が始まり、大雑把にゴールデンウィークまで、ピークはスギが3月でヒノキが4月、飛散量も例年並み、といったところですが、上の画像のうちの真ん中の3枚目のパネルを見ると、東京・神奈川は真っ赤っかで、昨年比の花粉飛散量は激増するという見込みのようです。それだけ、昨年がラクだったわけで、私の実感とも合致しますが、今年は時期も量も例年並みとはいえ、昨年から比べればツラい花粉の季節を迎えるようです。心して対策を講じたいと思います。

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2018年1月18日 (木)

マクロミル・ホノテ「花粉症患者1,000名にきく、症状と対策に関する調査」結果やいかに?

今週火曜日の1月16日にマクロミル・ホノテから「花粉症患者1,000名にきく、症状と対策に関する調査」の結果が明らかにされています。そろそろ花粉が飛び始める季節を迎え、重篤な花粉症患者である私は大いに興味あるところです。まず、マクロミルのサイトから調査結果のTOPICSを6点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 全国の花粉症率は40%
  • "都道府県別 花粉症率ランキング"、高い県1位「群馬県」2位「山梨県」3位「滋賀県」、低い県1位「沖縄県」2位「北海道」3位「宮崎県」
  • つらい症状トップ3は「鼻水」40%、「眼のかゆみ」23%、「鼻づまり」21%
  • 花粉対策に利用されるもの、「マスク」が最多で7割が利用。5位の「ヨーグルト」は3割で食品・飲料商品の中ではトップ
  • 花粉症対策の開始時期は、スギ花粉の飛散開始に比例? "症状が出てから対策"も全エリアで3割
  • スギ花粉対策の平均予算は4,730円。最多の予算帯は「1,000円以上~3,000円未満」で46%

ということで、多岐に渡る調査結果なんですが、私の興味に応じて主として症状と対応策につきグラフとともに簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、グラフは引用しませんが、花粉症患者が多い都道府県は1位「群馬県」51.7%、2位「山梨県」50.0%、3位「滋賀県」49.7%となっており、少ない順では1位「沖縄県」6.9%、2位「北海道」20.9%、3位「宮崎県」22.7%だったようです。なお、ボリュームの大きい東京都については都庁の福祉保健局が「花粉症患者実態調査報告書」を昨年2017年12月に取りまとめており、島しょ地域を除く都民のスギ花粉症推定有病率が48.8%と公表されています。そして、上のグラフは、マクロミルのサイトから引用しており、スギ花粉の飛散シーズンに最もつらい症状上位5位を示しています。私もそうですが、何といっても、目よりも鼻です。鼻水が出始めると止まらないことがあります。

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次に、上のグラフは、マクロミルのサイトから引用しており、2018年のスギ花粉症対策で利用するもの上位5位を示しています。マスク、目薬、処方薬、市販薬、ヨーグルトの順となっています。私は基本的に市販薬は用いず、処方薬に限定しているんですが、目薬だけは一般の薬局で売っているのを使っているものの、花粉症の季節だけは処方箋をもらって目薬も処方薬で対応しています。主として2~3月です。なお、6位以降は明らかではないんですが、マクロミルによれば、食品や飲料関連ではヨーグルトが他の商品を引き離しているようです。判る気がします。私も、今月末か来月初めには医者に行って処方箋をもらう予定にしています。

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2018年1月17日 (水)

堅調な伸びを示す機械受注!

本日、内閣府から昨年2017年11月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+5.7%増の8992億円と2か月連続でプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

機械受注5.7%増 11月、非製造業の発注伸びる
内閣府が17日発表した2017年11月の機械受注統計は、民間設備投資の先行指標とされる「船舶・電力除く民需」の受注額(季節調整値)が前月比5.7%増の8992億円だった。増加は2カ月連続。受注額は08年6月以来、9年5カ月ぶりの大きさとなった。非製造業からの受注が伸びた。内閣府は基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
非製造業の発注は4808億円と9.8%増えた。車両を発注した運輸業・郵便業が伸び、卸売業・小売業では流通設備の大型案件が発生。省力化投資が続く建設業も建設機械を注文した。
製造業は0.2%減の4206億円だった。減少は2カ月ぶり。化学工業が前月に発注を増やした反動が出た。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、船舶・電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの前月比で▲1.6%減と予想されていましたし、前月統計では前月比で+5.0%の伸びを示していましたので、2か月連続の+5%に達する伸びにはちょっとびっくりしました。引用した記事にもある通り、製造業で前月比マイナスなんですが、10月統計で前月比+7.4%増と大きく伸びた後、11月統計の▲0.2%減ですから、水準としてはかなり高いものがあり、マイナスだからといって悲観する必要はないものと考えています。10月に前月比+82.1%増と大きなプラスを記録した化学工業が11月には反動減もあって▲43.3%を記録し、同様に、10月に+88.9%増だった石油製品・石炭製品が11月に▲26.3%減と落ちています。非製造業は卸売業・小売業で10月+10.0%増に続いて11月も+59.6%増を記録し、建設業でも10月▲4.1%減を盛り返して11月+24.9%増、運輸業・郵便業でも10月+26.2%増に続いて11月も+5.0%増など、いかにも人手不足の影響が大きいと見られている産業で受注が伸びている印象です。
先行きについても、上のグラフに見られる通り、コア機械受注の外数ながら先行指標となる外需の伸びが、世界経済の順調な拡大を背景に、堅調な伸びを見せており、製造業の設備投資や機械受注に追い風となっていますし、非製造業では人手不足の影響からの設備投資の増加が期待されます。もちろん、積極的な能力増強投資が実施されるとは考え難く、伸びは緩やかなものにとどまる可能性が高いものの、引き続き堅調な推移となるものと見込んでいます。

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2018年1月16日 (火)

企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価は+3%超の上昇を続ける!

本日、日銀から昨年2017年12月の企業物価 (PPI) が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は前月統計からやや上昇幅を縮小して+3.1%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年の企業物価、3年ぶり上昇 世界景気拡大がけん引
日銀が16日に発表した2017年通年の企業物価指数(2015年=100)は98.8で16年比2.4%上昇した。前年比での上昇は14年(3.1%上昇)以来3年ぶり。14年の消費増税の影響を除くと上昇率は08年(4.5%上昇)以来の高水準だった。米国・中国を中心とする世界景気の拡大に伴う需要増が国際商品価格の上昇を通じて国内の企業物価を押し上げている。
企業物価指数は企業間で売買するモノの価格動向を示す。品目別では石油・石炭製品や非鉄金属、化学製品が指数の上昇に寄与した。世界的な需要増や産油国の減産で原油相場が上昇するなど、国際商品市況の回復や外国為替市場での円安の進展が影響した。このほか都市部での再開発や東京五輪に向けた建設需要を背景に国内の鉄鋼価格も上昇している。
公表している744品目のうち、前年比で上昇したのは367品目、下落は315品目で、上昇した品目が下落を52品目上回った。16年では前年から下落した品目が上昇を224品目上回っていた。
同日発表した17年12月の企業物価指数(2015年=100)は100.1で前年月比で3.1%上昇した。前年比での上昇は12カ月連続。前月比でも0.2%上昇した。昨年末の原油高で石油・石炭製品などの価格が上昇したことが寄与した。

12月統計が出て2017年通年データが利用可能となりましたので、ついつい年データに重点を置いた報道となっていますが、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは以下の通りです。上のパネルから順に、上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、PPIのうちヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率で+3.2%と予想されていましたので、ほぼジャストミートしたと受け止めています。12月統計の前年同月比で見て、石油・石炭製品は+14.8%と11月統計の+19.3%から上昇幅を縮小させたものの、引き続き高い上昇率を示しています。国内物価の11月統計と12月統計を比べると、非鉄金属11月+17.3%、12月+11.2%、また、鉄鋼11月+9.7%、12月+8.9%と、石油をはじめとする資源や素材系が上昇幅を縮小させつつも大きな上昇を続けています。ただし、報道で注目されている年統計については、石油・石炭製品は2016年の▲16.4%下落から2017年には+18.2%の上昇であり、非鉄金属も2016年▲12.9%、2017年+12.6%ですから、2017年の企業物価(PPI)の国内物価農地の資源関連品目の上昇率は2016年の下落分を取り戻しただけ、という見方も出来ます。もっとも、総平均では国内物価は2016年▲3.5%の下落から2017年は+2.4%でしたので、2017年の上昇幅は前年の下落幅に届かなかったことになります。この先も、金融政策よりも国際商品市況における石油などの資源価格に敏感な物価動向が続きそうな気もします。

最後に、昨日、見逃していたんですが、日銀支店長会議にて2018年1月の「地域経済報告」、すなわち、「さくらリポート」が明らかにされています。以下の通りいくつかの地域では景気判断が上方修正されています。「足取りをより確かなものとしつつ」をつけると景気判断の引き上げとなるなど、独特の日銀文学は私には理解不能なものもありますので、念のため。

 【2017年10月判断】前回との比較【2018年1月判断】
北海道回復している回復している
東北緩やかな回復基調を続けている緩やかな回復を続けている
北陸緩やかに拡大している拡大している
関東甲信越緩やかに拡大している緩やかに拡大している
東海拡大している拡大している
近畿緩やかに拡大している足取りをより確かなものとしつつ、緩やかに拡大している
中国緩やかに拡大している緩やかに拡大している
四国緩やかな回復を続けている緩やかな回復を続けている
九州・沖縄緩やかに拡大している緩やかに拡大している

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2018年1月15日 (月)

1月も半ばを迎えて正月太りはそろそろ解消されたか?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、1月4日付けでウェザーニュースから正月太り全国平均1.6kg増の調査結果が明らかにされています。調査そのものは2014年のお正月に実施されているところで、決して最新ではないんですが、中年にはとても気になるトピックであり、グラフを含めて簡単に取り上げておきたいと思います。

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まあ、お正月は食べてばかりで、私なんぞは家でゴロゴロしているだけですので、当然に太りがち、というか、体重の増加が容易に生じがちになります。「太った」と実感した人が52%、「太ってない」が48%となり、全国平均で1.6kgの体重増加の申告があり、年代的には中年で「太った」と実感した人が高い比率を占めているようです。

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2018年1月14日 (日)

先週の読書は大量に読んで計7冊!

先週の読書は私のとっても気にしている子供の問題に関する専門書をはじめ、京都本も含めて計7冊です。昨日、自転車で近隣の図書館を回って予約の本を回収に当たったんですが、今週の読書も1日1冊のペースくらいで、どうも大量になりそうな予感です。そのうちに、ペースダウンしたいと思います。

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まず、末冨芳[編著]『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店) です。編著者は日大勤務の研究者であり、京都大学教育学部の出身ですから、たぶん、教育関係がご専門だと受け止めています。本書は、研究者と実務者の合計十数名からなる執筆陣により、タイトルの通り、子どもの貧困に対する対応策としての教育支援をテーマに議論を展開しています。2部構成であり、第1部が教育支援の制度・政策分析をテーマとし、主として研究者の執筆によっており、第2部では当事者へのアプローチから考える教育支援をテーマとして取り上げ、主として実務者の視点から議論しています。どうしても第1部と第2部で差があって、第2部は物足りない、というか、やや視野の狭さを感じてしまうんですが、それはそれで、現場の実情を把握するという意味もあるような気がします。ということで、我が国に置いてはいっわゆるシルバー民主主義のために、社会福祉の財政リソースが大きく高齢者や引退世代に偏っており、家族や子供に対する社会福祉の政策がそのしわ寄せを受けているのは広く知られています。特に、子どもの貧困については親の責任のように主張されることも少なくなく、高齢世代への手厚い社会保障給付の言い訳にされたりしています。私の従来の主張ですが、平均余命を考えても考えなくても、貧困な高齢者は社会保障で支援されても10年後も貧困な高齢者のままである可能性が高いのに対して、貧困な子どもはしっかりと支援すれば10年後は納税者になることができます。本書では生活面というよりは、学習面、特に学校に子どもたちを包摂する先進的な事例や最新の取組みも紹介し、子どもの貧困に関する多角的な視点を提供してくれています。最後に、日経新聞に掲載された斯界の権威である阿部彩教授による本書の書評へのリンクを置いておきます。

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次に、デヴィッド・ハーヴェイ『資本主義の終焉』(作品社) です。著者は英国生まれで米英の大学で研究者をしていた地理学者なんですが、明確にマルクス主義に基づく研究を行っています。2008年には『資本論』の講義の動画がアップされ、世界中からアクセスが殺到したと記憶しています。なお、私は2012年のゴールデンウィークに同じ出版社から邦訳が出ている『資本の<謎>』を読んで、このブログに読書感想文らしきものをアップしています。ということで、かなりしっかりしたマルクス主義経済学による現在の資本主義の分析といえます。3部構成となっており、第1部が資本の基本的な矛盾、第2部が運動する資本の矛盾、第3部が資本にとって危険な矛盾、とそれぞれ題されています。見ても明らかな通り、「矛盾」がキーワードとなっており、本書の冒頭でマルクス主義的な矛盾や物心論に関する簡単な解説がなされています。そして、私にとって感激的であったのは、フランス的なポスト構造主義が階級構造の分析を避けているとして批判されている点です。ソーカル事件を持ち出すまでもないでしょう。ただ、矛盾をキーワードとし資本の運動をひも解こうとしているんですから、マルクス主義経済学の視点から何が最大の矛盾であるかについては指摘が欲しかった気がします。すなわち、マルクス主義的な唯物史観において最大の矛盾とは、生産様式が生産力の桎梏、ないし、制約条件となる、というのが最大の矛盾と私は考えています。奴隷制から農奴による封建制へ、さらに、資本制へと生産様式を進化させてきたのは、それぞれの生産様式が生産力を制約するようになったからであり、その意味で、さらに生産力を資本制の制約から解き放つのが次の段階と考えるべきです。そして、その段階は19世紀的には社会主義ないし共産主義であろうと想定されてきたんですが、ソ連型社会主義の崩壊から生産手段の国有化と市場ではない中央司令型の資源配分による計画経済は資本主義の次の段階としては想定されなくなりました。マルクスやレーニンなどの想定ではなく、何らかの新しい生産様式が必要とされ、その生産様式を下部構造とする上部構造のあり方が議論される必要があります。私ごときでは計り知れない未来が待っていると期待しています。

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次に、永江朗『ときどき、京都人。』(徳間書店) です。著者は編集者であり、東京と京都の両方にお住まいを持つお金持ちのようです。ただ、ご出身はどちらなのか、明記はされていませんが、何かで旭川出身との略歴を見た記憶があります。ということで、上の表紙画像に見える副題に「二都の生活」とありますが、本書の中身に東京はまったくといっていいほどかんけいしません。すべて京都だけの「一都物語」と考えるべきです。ただ淡々と京都の生活を追っているだけです。ですから、私が昨年12月に京都を訪れた際に気づいた東京の警視庁管内の自転車ナビマークと京都の府警管内のナビラインの違いについても、後者の写真が掲載されているにも関わらず、東京と京都の比較、というか、違いには一切触れられず、ひたすら京都事情だけに特化しています。それだけに、逆に、京都に関する記述は正確で豊富な内容を含んでいたりします。私も本書の著者とほど同様に今年還暦なんですが、人生の前半を京都で過ごし、後半は東京住まいです。ですから、35年以上も前の京都にしか住んだことがなく、本書絵及んで京都市動物園がリニューアルしたことを知ったりしています。年に何冊かは京都本を読んで京都に関する知識をアップデートしているつもりですが、なかなか追いつきません。昨年2017年は学会出席のついでと京大の恩師の偲ぶ会で2度上京しましたが、それくらいでは不足なんでしょう。最後に、本書を読んだ感想を2点だけ上げると、著者の京都通の度合いが本書執筆の間にも上昇しているのが手に取るように理解できます。例えば、前半では京都のお住いの近くらしいものの、「荒神口橋」なる珍妙な橋の名が出てきますが、終わり近くには正確に「荒神橋」と訂正されています。もう1点は京都の南が苦手そうだという点です。伏見こそ取り上げられていますが、天神さんの蚤の市は本書に収録されていても、東寺で開催されている弘法さんはご存じないようです。私自身は伏見で生まれて、宇治で育っていますので、鄙なる土地の洛外育ちで、中学高校と奈良の学校に通っていましたので南の方に親しみがあります。最後の最後に、本書でも触れられている井上先生の『京都ぎらい』には七条は「ひちじょう」である、と出て来ますが、本書では質屋の話題があり、京都人は「ひちや」と読みますし、少なくとも私の小学生くらいまでは質屋ののれんに平仮名で「ひちや」と書いてあるお店があったと記憶しています。何ら、ご参考まで。

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次に、辻村深月『かがみの孤城』(ポプラ社) です。何かのメディアで、『スロウハイツの神様』を超えた辻村深月の最高傑作、のように評価されていたので買ってみましたが、出版社の宣伝文句に踊らされただけなのか、やや物足りない思いをしました。私の感想としては、辻村作品をすべて読んでいるわけではありませんが、やっぱり『スロウハイツの神様』が現時点での最高傑作だと考えます。そして、それに次ぐのは『冷たい校舎の時は止まる』とか、『凍りのくじら』などの高校生から大学生にかけての青春小説だと思っています。もちろん、もっと小さい子が主人公ながら『ぼくのメジャースプーン』が捨てがたいのは理解しています。ということで、この作品では中学生が主人公です。そして、主人公の女子中学生と同じように、学校に行けない、というか、一般用語の不登校とは少し違うものの、要するに中学校に行けない子供達が鏡を通して移動して集まる、というストーリーです。私のような年齢に達した人間からすれば、不登校っぽく中学校に行っていない少年少女を主人公にしているだけで、少しばかり理解が届かなさそうな気もしますし、パラレル・ワールドでなくて、中学生たちの集められ方も不自然ですし、オオカミさまの正体や喜多嶋先生の実像などについても、なかなかよく考えられているとはいえ、ここまで作為的な構成やキャラの配置をしてしまうと、両極端の反応を生みそうな気がします。ものすごく感情移入が進んで感激して読むファンと、私のように辻村作品のファンでありながら物足りなさや違和感を覚える読者です。平たくいえば、当たり外れが大きい作品だと思いますし、それだけ何かを賭けているようにも感じなくもありません。デビュー作の『冷たい校舎の時は止まる』のように超常現象を盛り込んだファンタジーなんですが、不自然の度合いが大き過ぎるような気がします。この内容であれば、買うんではなくて順番待ちをしてでも借りておいた方がよかった気がします。期待が大きかっただけに、少し残念な読書でした。

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次に、貴志祐介『ミステリークロック』(角川書店) です。作者はなかなか売れているホラーやミステリの作家なんですが、我が母校の京都大学経済学部で私の後輩だったりします。それはさて置き、この作品は防犯探偵・榎本径のシリーズの最新中短篇集です。収録されているのは、「ゆるやかな自殺」、「鏡の国の殺人」、表題作の「ミステリークロック」、「コロッサスの鉤爪」の4作品であり、最初の短篇を除いて、残りの3作品は弁護士の青砥純子の視点からの記述となっています。すなわち、青砥弁護士がワトスン役を演じているわけです。ということで、まあまあの密室ミステリといえますが、実は、この作品も直前に取り上げた辻村深月『かがみの孤城』と同じく、借りたのではなく買いましたので、その意味では、少し物足りなかった気がします。特に、東野圭吾のガリレオのシリーズですっかり崩壊したノックスの十戒のうちの、一般にはそれほど理解されていない難解な科学的知識を要求する謎解きがいくつか含まれます。冒頭の短篇「ゆるやかな自殺」が飛び抜けて短いんですが、私は明らかに何かのアンソロジーで読んだ記憶があり、ミステリ作品の出来としては本書の中で最高です。この作品を読む限り、密室のトリックについては、この作家は限界という気がします。ですから、この榎本シリーズも最後に近づいているように思えてなりません。何だか、ミステリの謎解きというよりも、青砥弁護士のオチャメな仮説提示を笑い飛ばすコメディ小説のような気すらします。それなりに、榎本と青砥弁護士のかけ合いは小説としても楽しめるかもしれません。青砥弁護士はどんどんおバカになっていくような雰囲気で、私の記憶が正しければ、テレビドラマでは戸田恵梨香が配されていたわけですから、それはそれで合っているのかもしれませんが、弁護士なんですから、ペリー・メイスンのように、とまではいわないとしても、もう少し考えた方がいいように受け止めています。最後の最後に、どうでもいいことながら、一般の普通名詞のミステリー・クロックは、私はカルティエの時計しか見たことがないんですが、とても不思議なものです。ムーブメントなどの本体は下の土台部分に隠されているんでしょうが、どうやって針が、特に短針が動いているのか、文系の私にはまるで謎だったりします。

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次に、森博嗣『ダマシ×ダマシ』(講談社ノベルス) です。著者はご存じの新本格派のミステリ作家です。もっとも、新本格派は京都や大阪が拠点だと私は勝手に思っているんですが、この作品の作者は名古屋です。『イナイ×イナイ』、『キラレ×キラレ』、『タカイ×タカイ』、『ムカシ×ムカシ』、『サイタ×サイタ』と続いてきたXシリーズの第6話にして最終話になります。シリーズの主人公は本書でも小川令子という探偵社勤務の30代の女性探偵です。そして、この作品は結婚詐欺のお話です。で、今回のエピグラフがマインドコントロールについてみたいなことで、そこに書かれていることや作品に書かれていることから、人の心は難しいもので、どうしてもそうなっちゃうところはあるよね、とか、一般論ではなく結婚詐欺のお話に絞れば、他の人は騙されたけど、もちろん、私も騙されたけど、でもちょっぴり、あの人はまだ私を想ってくれていたかもしれない、みたいな話が書かれていて、私自身はバカなんじゃないの、と思ったりしつつも、女心の理解しがたさを思い浮かべたりしていました。シリーズ最終話ですから、いろいろとかっきてきなしんてんもあります、すなわち、椙田は小川に事務所を譲りますし、探偵社のアルバイトの留年大学生だった真鍋瞬市は大学を中退して、めでたくも就職し、そして、一足早く就職していた永田絵里子と結婚する予定です。オールスター・キャストで西之園萌絵も意味なく登場したりします。私はこの冊書の主要なミステリはすべて読んでいるつもりなんですが、こういったシリーズ最終話の終わり方は初めてではないかという気もします。もっとも、私のことですから忘れているだけかもしれません。


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最後に、伊藤公一朗『データ分析の力』(光文社新書) です。著者は米国シカゴ大学に勤務する研究者であり、副題は『因果関係に迫る思考法』となっています。本書はサントリー文藝賞を授賞されています。以前にこの読書感想文のブログでも取り上げた中室牧子・津川友介『「原因と結果」の経済学』と重複しますが、因果関係について今さら、という気もしつつ読み進みました。もちろん、因果関係を考える上でとてもよい入門書なんですが、本書の読者のレベルを考えてか、操作変数法が取り上げられていないのはまあいいとしても、2点だけ補足しておきたい事実があります。まず、ビッグデータの時代にあっては因果関係よりも相関関係が重視される可能性が高いという事実です。詳しくは、例えば、 ビクター・マイヤー=ショーンベルガー/ケネス・クキエによる『ビッグデータの正体』などに譲りますが、悉皆調査に近いビッグデータの分析では相関関係で十分、というのも考えられます。もちろん、そうでなく、やっぱり、因果関係が重要、という説が成り立つこともあり得て、例えば、薬効や医学治療では相関関係では許されない場合も考えられますが、政策分析やマーケティング調査くらいでは相関関係で十分な気もします。もうひとつは、対象者の独立性についてもう少し詳細に検討して欲しい気がします。最後の付録には少しだけ触れられているんですが、例えば、マーケティングのシーンでは、カスケード現象やバンドワゴン的な大流行を引き起こそうとしている場合もあるわけで、マーケティングでは消費者間の影響力も無視しえない、特に、SNSでの拡散を視野に入れると、対象者間の独立性がどこまで確保されるかは疑問ですし、独立でなくして大流行を狙う、というマーケティングもありだという気がします。

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2018年1月13日 (土)

今日から始まるセンター試験、がんばれ受験生!

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今日から2日間の予定で、大学入試センター試験が始まります。私は受験したことはありませんが、大学教授をしていた際に、試験監督をした経験はあります。なお、上の合格招き猫の画像はArtBankのサイトから借用しています。
我が家の下の倅も受験しています。大学全入はまだ先の話でしょうから、合格だけを祈念するのは無責任と考えますので、後悔のないように持てる実力のすべてを出し切ることを願っています。

がんばれ受験生!

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2018年1月12日 (金)

5か月振りに悪化した景気ウォッチャーと黒字が積み上がる経常収支!

本日、内閣府から12月の景気ウォッチャーが、また、財務省から11月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲0.2ポイント低下して53.9を、先行き判断DIも▲0.7ポイント低下して52.7を、それぞれ示し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+1兆3473億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

17年12月の街角景気、現状判断指数が5カ月ぶり低下 家計が悪化
内閣府が12日発表した2017年12月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比0.2ポイント低下の53.9と、5カ月ぶりに悪化した。家計動向のマインド悪化が目立った。内閣府は基調判断を「緩やかに回復している」で据え置いた。
指数を部門別にみると、家計動向が前月比0.4ポイント低下の52.3となった。小売り、飲食のほかサービスの悪化が目立った。雇用は60.7と引き続き高水準だったが、前月に比べると0.6ポイント低下した。一方で、企業動向は55.7と0.4ポイント上昇した。
街角では、家計動向について「前月まで好調に推移していた紳士及び婦人防寒衣料が若干失速している」(東北の百貨店)との声があった。「宝飾品や高級ブランド品、美術品といった高額品の販売単価が落ちてきている。さらに、販売量も減少している」(近畿の百貨店)、「イベントを実施したが首都圏のファミリー層の集客が弱い」(甲信越の遊園地)との指摘もあった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は0.7ポイント低下の52.7だった。悪化は2カ月連続。家計動向、企業動向、雇用の全てが低下した。企業動向について「運送業者の手配が困難である」(東海の化学工業)といった声があった。
17年11月の経常収支、1兆3473億円の黒字 貿易黒字は縮小
財務省が12日発表した2017年11月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆3473億円の黒字だった。黒字は41カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて795億円縮小した。対前年同月のマイナスは5カ月ぶり。輸入の増加で貿易収支が黒字額を縮小したことが響いた。
貿易収支は1810億円の黒字となり、黒字額が前年同月に比べて1591億円縮小した。原油価格の持ち直しで原粗油などの輸入が伸び、輸入全体で17.6%増加した。半導体製造装置などの好調で輸出も13.9%伸びたが、輸入の伸びが上回った。
サービス収支は417億円の黒字と、黒字幅が前年同月比218億円縮小した。昨年あった大口案件の受け取りがなくなり、「その他業務サービス」の赤字幅が拡大したことが響いた。旅行収支は1485億円の黒字と同月としては過去最高の黒字となった。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は1兆3298億円の黒字となり、黒字幅が1249億円拡大した。円安で海外子会社から受け取る配当金が増えた。米金利の上昇を背景に債券利子の受け取りも増加した。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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ということで、景気ウォッチャーの現状判断DIは昨年2017年7月以来5か月振りの低下を示しましたが、依然として50を上回って高い水準にあります。3つのコンポーネントのうち、家計動向関連が前月から▲0.4ポイント低下し、雇用関連も▲0.6ポイント低下しています。企業動向関連は製造業が+2.1ポイント上昇した一方で、非製造業は▲1.3ポイント低下し、全体として+0.4ポイントの上昇を見せています。現状判断DIが5か月振りに低下したとはいえ、まだ高い水準にありますので、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「緩やかに回復」に据え置いています。
ただし、注意すべき点を指摘すると、引用した記事にも強調されている通り、家計部門の停滞感です。最近の長期にわたる景気拡大において、国民の間での景気拡大の実感が伴わない要因のひとつとして、企業部門に比較して家計部門の消費が伸び悩んでおり、その大きな原因が低調な賃上げとそれに起因する所得の停滞にあると、昨日のブログでも指摘しましたが、この景気ウォッチャーの家計動向関連DIと企業動向関連DIの水準にも、かなり明確にこの傾向が現れています。すなわち、2015年11月から2年余りに渡って家計動向関連DIが企業動向関連DIを下回って推移しています。しかも、その2年余りの間で昨年2017年10月が家計と企業の差が最も大きく、▲6.2ポイントに達しています。好調な企業部門から賃上げという形で家計部門に購買力を移転しなければ、国民の間での景気の実感は上がらないおそれを指摘しておきたいと思います。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。そのひとつとして、経常収支は昨年2017年10月から11月にかけて、季節調整していない原系列の統計でも、季節調整済みの系列でも、いずれも黒字幅を縮小させているんですが、家に引用した記事ではいかにも、国際商品市況における石油価格の上昇による貿易収支の黒字幅の縮小のような印象を受けますが、季節調整済みの系列では貿易収支よりはサービス収支の赤字拡大の方が大きいことが上のグラフの緑色の積み上げ棒グラフから、やや細かいので見にくいものの、読み取れるんではないかと思います。詳細な季節調整済みの統計を見ると、むしろ、2017年10月の統計においてサービス収支のうちの知的財産権等使用料がイレギュラーにプラスになっていた、と指摘されています。それが、2017年11月には元のマイナスの赤字に戻った、ということのようです。いずれにせよ、経常収支は黒字幅が縮小したとはいえ、震災後のような形ではなく、特に懸念すべき材料ではないと私は受け止めています。

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2018年1月11日 (木)

11月の景気動向指数はさらに上昇し景気拡大はいざなぎ景気を越えて60か月に到達!

本日、内閣府から11月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月比+2.1ポイント上昇して108.6を、CI一致指数も+1.7ポイント上昇して118.1を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

景気一致指数、2カ月連続で上昇 11月、基調判断「改善」で維持
内閣府が11日発表した11月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.7ポイント高い118.1だった。上昇は2カ月連続。一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
鉱工業用生産財出荷指数や投資財出荷指数(輸送用機械を除く)などの改善が寄与した。有効求人倍率(学卒除く)は重荷になった。
数カ月先の景気を示す先行指数は2.1ポイント高い108.6と、3カ月ぶりに上昇した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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CI一致指数に対する寄与度で大きかった項目を上げると、プラス寄与では大きい順に鉱工業用生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)となり、CI先行指数では、これもプラス寄与の大きい順に鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)、中小企業売上げ見通しDI、新規求人数(除学卒)、新設住宅着工床面積、東証株価指数などが上げられています。少なくとも、統計的に確認できる範囲で、昨年中に景気の山が来ていたとはとても考えられませんから、景気動向指数が利用可能な範囲だけで見ても、昨年2017年11月までで現在の景気拡大は60か月に及ぶことになり、高度成長期のいざなぎ景気を超えたことは明らかであろうと考えるべきです。なお、いざなぎ景気は1965年11月から1970年7月まで57か月間続いています。また、戦後最長の景気拡大期間は米国のサブプライム・バブルに対応した期間であり、2002年1月を景気の底とし、2002年2月から2008年2月の山まで73か月間続いており、単純に計算すれば、来年2019年1月まで現在の景気拡大が続けば74か月に達するので、これを抜くこととなります。
おそらく、景気拡大期間が長くなった一方で、景気拡大の実感が薄い理由としては、企業部門中心の景気拡大であり、家計部門の消費の伸びが物足りないためではないかと考えられます。すなわち、企業部門の、例えば、法人企業統計に見る企業余剰金の大きな伸びに対して、11月統計の景気動向指数では商業販売統計のうちの小売業販売額や耐久消費財出荷指数が入っているものの、個人消費の伸びが不十分なためであろうと私は考えています。逆からいえば、高度成長期のような2ケタ成長は望むべくもありませんから、せめて、景気拡大の果実を国民に均霑するためには、企業サイドで内部留保を溜め込むのではなく、賃金上昇という形で国民に広く還元する必要が大きくなっている、といえるんではないでしょうか。

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2018年1月10日 (水)

マクロミルによる2018年新成人に関する定点調査結果やいかに?

今年の新成人やいかに。マクロミルによる2018年新成人に関する定点調査結果が昨年2018年12月28日に明らかにされています。まず、調査結果のTOPICSをマクロミルのサイトから7点引用すると以下の通りです。

TOPICS
  • 将来の夢がある新成人は、過去最低の54%
  • 「日本の未来は明るい」34%。2014年がピークで2015年からほぼ横ばい
  • 将来就きたい職業、2位の「わからない」が28%で、1位の「会社員」31%に迫る
  • スマホ所有率、「iPhone」が「Android」を大きく引き離し、その差は22%に
  • SNS利用率、1位「LINE」96%、2位「Twitter」80%で、いずれもこの6年で最高。「Instagram」が躍進、51%で「Facebook」の2倍に
  • 社会潮流に対する考え、"AI"は半数弱が不安を抱く、"グローバル化"は半数弱がグローバル人材になりたいが8割が「英語に不安」
  • >活躍を期待する2018年新成人ランキング 1位フィギュア「宇野昌磨」、2位モデル・タレント「藤田ニコル」、3位プロ野球「オコエ瑠偉」

包括的ながら、とても長くてアンケートの要約としてはいかがなものかという気はします。私の方ではトピックとして3つほどに絞りたいと思います。ということで、下のグラフは日本の未来が明るいか、明るくないか、の時系列的な推移を示しています

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ということで、上のグラフはマクロミルのサイトから、日本の未来は明るいか暗いか、に関して、最近10年間の時系列の推移を示しています。いわゆるリーマン・ショックの前後から「明るい」との回答は20%付近で低迷していた後、2014年の新成人は何があったのか、「明るい」が大きな比率を占めましたが、その後は今年に至るまで大雑把に⅓が「明るい」、⅔が「暗い」との回答になっているような気がします。グラフは引用しませんが、「将来の夢がある」かどうかについての問いがあり、これは2014年の新成人のような特異値もなく、傾向的に低下しているように私には見えます。まあ、いろいろあるんでしょう。

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次に、上のグラフはマクロミルのサイトから、デジタル端末所有率のグラフを引用しています。ここ数年では、パソコンについてはノートもデスクトップも傾向的に低下してきており、今年の新成人については iPhone の所有率がほぼほぼノートパソコンに並びました。また、最初のTOPICSにあった通り、iPhone の所有率が61%まで増加した一方で、Android は36%に減少しており、その差は25%ポイントまで開いています。また、これもグラフは引用しませんが、SNSの利用に関しては、1位がLINEで96%、2位がTwitterで80%となり、いずれもこの6年で最高を記録しています。3位はInstagramが大きく伸びて51%を占め、、4位のFacebookの26%の約2倍となっています。まあ、そうなんでしょうね。

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最後に、上のグラフはマクロミルのサイトから、AI(人工知能)化に対する考え/グローバル化に対する考えのグラフを引用しています。AI(人工知能)化の進展については、大雑把に、やや不安の方が強いのかもしれないと私は受け止めています。他方で、グローバル化については英語に不安があるという情けない回答がかなりの比率を占めています。ご本人たちの問題というよりも、日本の教育の問題なんでしょうが、グローバル化は否応なく進みそうな気もしますので、目を背けることなく対応する必要がありそうな気もします。

我が家では、上の倅が昨年の新成人で、下の倅は来年です。今年はそういう意味で、我が家については谷間の新成人のいない年なんですが、マクロミルの定点調査ですので、簡単に取り上げてみました。

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2018年1月 9日 (火)

やや低下したものの高い水準を示す消費者態度指数と久し振りに実質賃金が増加した毎月勤労統計!

本日、内閣府から昨年2017年12月の消費者態度指数が、また、厚生労働省から11月の毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。消費者態度指数は前月から▲0.2ポイント低下し44.7を記録した一方で、毎月勤労統計の名目賃金指数は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.9%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数0.2ポイント低下 17年12月、ガソリン高など重荷に
内閣府が9日発表した2017年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の44.7だった。低下は4カ月ぶり。ガソリン価格やレタスなど一部の生鮮野菜が上昇し、消費者心理を冷やした。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」が前月に比べて低下した。「収入の増え方」は前月と同水準だった。
消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は44.5と前月比2.3ポイント低下した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より1.4ポイント高い80.0%だった。上昇は5カ月連続。「低下する」は前月比0.3ポイント高い4.0%、「変わらない」は12.5%と2.0ポイント低下した。
調査基準日は17年12月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5841世帯(回答率69.5%)だった。
名目賃金、17年11月は0.9%増 4カ月連続プラス 毎月勤労統計速報
厚生労働省が9日発表した2017年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月に比べて0.9%増の27万8173円だった。4カ月連続で増加した。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.4%増だった。残業代など所定外給与は2.6%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.5%増と大きく伸びた。
物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%増加した。プラスは16年12月以来11カ月ぶり。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は0.7%上昇したものの、名目賃金の伸びが上回った。
パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比1.5%増の1109円だった。パートタイム労働者比率は0.27ポイント低下の30.69%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を示した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、12月統計を前月差で詳しく見ると、「収入の増え方」だけが前月と変わらずだったほかは、軒並み低下を示し、「暮らし向き」が前月差で▲0.3ポイント低下、「雇用環境」も▲0.3ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.2ポイント低下を示しています。9~11月の3か月連続で4項目すべてが上昇を示していて、消費者態度指数としては9月+0.6ポイント、10月も+0.6ポイント、11月が+0.4ポイントと大きく上昇を続けていましたので、12月統計ではガソリンや一部の生鮮食品などの値上がりが消費者マインドの低下につながりましたが、この3か月の反動もあって、指数の水準としては40を超えて、それなりに高い状態が続いており、まだ悪くはないと考えるべきです。ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直し」で据え置いています。先行きも、賃金と物価と株価の見合いで変化しそうな気もします。デフレから脱却する段階では賃金に先駆けて物価が上昇し、実質賃金が低下することから雇用が増加するという段階を経ますので、その先にある賃金上昇に到達するまで、少しラグがあることも考えられます。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。賃金に着目すると、名目賃金は前年同月比で上昇しています。ただ、本格的なデフレ脱却はまだながら消費者物価(CPI)が上昇していることから、実質賃金に引き直せば上昇幅は前年同月比で+0.1%増とわずかですが、それでも、ほぼ1年振りに近い11か月振りの実質賃金の上昇です。加えて、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性が大きいと私は受け止めています。もちろん、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。先行きに関しては、人手不足の進行とともに非製造業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。消費者態度指数に示されているマインドはかなり高い水準にあり、賃金上昇による所得のサポートあれば消費はさらに伸びを高める可能性があると私は期待しています。

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2018年1月 8日 (月)

花粉症は年齢とともに軽くなるのか?

とても旧聞に属する話題なんですが、ロート製薬から昨年2017年12月25日のクリスマスに花粉症に関するアンケート調査結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。私なんぞの聞いたことのない副鼻腔炎なるロート製薬が薬を出している炎症についても聞いていますが、中でも奇っ怪な問いは、「年齢を重ねるにつれて楽になってきたと感じる」に対して一定の割合で yes と回答されている点です。私は還暦を迎える今年まで、年々、花粉症が悪化することはあれ、症状が改善されたと感じたことはありません。専門医のアドバイスとして、「免疫」、「環境」、「食生活」が関係している可能性が指摘されています。私の症状もそのうちに改善されるんでしょうか。間もなく花粉症の季節を迎えて、戦々恐々としている今日このごろです。

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2018年1月 7日 (日)

ユーラシア・グループによる2018年のトップリスクやいかに?

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やや旧聞に属する話題かもしれませんが、イアン・ブレマー率いるユーラシア・グループから2018年のトップリスク10項目が明らかにされています。今どきのことですから、詳細な内容のpdfの全文リポートもアップされています。もうすぐ、1月23日からダボス会議が開催され、その少し前には「グローバル・リスク報告書」が明らかにされることとなろうかと思いますし、簡単に取り上げておきたいと思います。といっても、上のリポート表紙画像に10項目が明らかに読み取れるでしょうし、専門外のエコノミストとして、10項目を羅列するだけですので、悪しからず。

  1. China loves a vacuum
  2. Accidents
  3. Global tech cold war
  4. Mexico
  5. US-Iran relations
  6. The erosion of institutions
  7. Protectionism 2.0
  8. United Kingdom
  9. Identity politics in southern Asia
  10. Africa's security

それから、10項目の番外編として、Red herrings が上げられています。トランプ政権のツイッター発信などを念頭に置いているようで、ミスリードされないように、とのご注意かと私は受け止めています。繰り返しになりますが、エコノミストとしてコメントできそうなのは、7番目の新たな保護主義の台頭と8番目の英国のEU離脱、いわゆるBREXITくらいであり、主として地政学的なほかのリスクについては、何とか一般常識として理解している範囲にとどまります。1番目の中国については、米国のトランプ政権が世界的なリーダーシップを放棄しつつあり、その真空を埋めて世界のトップリーダーになるべく活動を活発化させる、ということなんでしょうが、2番めの偶発的衝突なんて、私にはサッパリ予想できません。でも、昨年の2017年のトップリスクには9番目に North Korea が入っていましたので、それなりに、信頼性は高そうな気もします。なお、取りあえず、我が国の財政破綻はアジェンダには上っていないように私は受け止めました。

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2018年1月 6日 (土)

年末年始の読書は新本格派の二階堂黎人作品を読む!

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すでに、昨年2017年12月29日付けの読書感想文のブログで明らかにしておいた通り、この年末年始の読書はポプラ文庫から出版されている江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ全26巻を読もうと決めていたところ、11月ころから早めに読み始めてしまったために、年末年始休みを待たずに読み切ってしまい、結局、ギネス級で世界最長の推理小説とも称される二階堂黎人の『人狼城の恐怖』全4巻、文庫本で2700ページほどの大作を読むこととし、1日1~2冊の予定で12月30日から読み始めましたが、やっぱり、というか、何というか、12月31日の大晦日で読み切ってしまいました。仕方がないので、半ば予想して借りておいた二階堂黎人作品のうち、二階堂蘭子シリーズの続編である『悪魔のラビリンス』と『魔術王事件』も続けて読みました。さらに、その後に続く『双面獣事件』以降については手配がかなわず、図書館の方が年末年始休みに入ってしまいました。
ということで、『人狼城の恐怖』は、第1部ドイツ編、第2部フランス編、第3部探偵編、第4部完結編から成る超大作なんですが、当然のように大量の殺人事件が起こります。2ダースくらいの人が殺されます。そして、私はその殺人事件について細かくチェックはしていませんが、おそらく、新本格派らしく論理的に解決されます。たぶん、ノックスの十戒とか、ヴァン・ダインの20則に則ったミステリなんだろうと思いますが、最後の最後に、この作者の作品らしくオカルト落ちのようなパートがあったりします。そして、その後の作品である『悪魔のラビリンス』と『魔術王事件』は、実は、発表順はこの通りなんですが、作品中の時系列では『人狼城の恐怖』の前に起こった事件という位置づけです。そして、ホームズにたいするモリアティ教授のように、二階堂蘭子が相手にするのは魔王ラビリンスと名乗る怪人、ということになります。しかしながら、魔王ラビリンスとの対決シリーズに入る前の作品の方が、私は好感を持てた気がします。というのは、魔王ラビリンスが起こすのはものすごく残忍な殺人事件であり、犠牲者も大量に上るからです。でも、もう少し読み進もうと思います。

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2018年1月 5日 (金)

米国雇用統計は堅調な動向を見せつつも1月の利上げは見送りか?

本日、米国労働省から昨年2017年12月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+148千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190~+200千人弱くらいの増加という予想には達しませんでしたが、失業率は前月と同じ4.1%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の5パラだけ引用すると以下の通りです。

Employers added disappointing 148K jobs in Dec.
The labor market slowed in December as U.S. employers added 148,000 jobs in a sign that worker shortages may crimp hiring in 2018.
The unemployment rate, which is calculated from a different survey, was unchanged at 4.1%, the Labor Department said Friday.
Average hourly wages rose nine cents to $26.63, leaving the annual increase unchanged at 2.5%. Pay gains have been stuck at about 2.5% for well over a year. Economists have expected a bigger spike because of the low unemployment rate that's making it tougher for employers to find workers.
Businesses added 146,000 jobs. Federal, state and local governments added 2,000.
Job gains for October and November were revised down by a total 9,000. October's was revised to 211,000 from 244,000 and November's was upgraded to 252,000 from 228,000.

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、非農業部門雇用者数の伸びは市場予想を下回ったとはいえ、失業率は引き続きほぼ4%の水準で推移しており、しかも、引用した記事にもある通り、ハリケーン後の11月は252千人増に伸び幅を上方修正している上に、直近3か月の増加幅は月平均200千人を上回っており、基本的に、米国の雇用は堅調と考えてよさそうです。これに、議会で可決された文も含めて大型減税が加われば、米国景気はさらに上振れする可能性すらあると私は考えています。ただ、要因は不明ながら、小売業が12月に▲20.3千人の雇用を減少させているのが懸念材料かもしれません。私が知る範囲では、米国のクリスマス商戦はかなり好調だったと認識しており、実店舗よりもサイバー店舗の伸びが大きいとはいえ、小売業の雇用が減少したのは少し謎です。もっとも、トランプ政権が重視するメインストリートの製造業は+55千人増と雇用を増加させており、引き続き、ヘルスケアなども雇用増に貢献しています。小売業だけが少し理解不能だったりします。いずれにせよ、次の米国連邦準備制度理事会(FED)の連邦公開市場委員会(FOMC)は1月30~31日に開催される予定であり、現在のイエレン議長の下での最後のFOMCですので、昨年2017年12月の利上げの影響を見極めるため、追加利上げを見送ることは確実であり、次のパウエル新議長の下での3月20~21日のFOMCが注目され、さらに、年3回といわれている利上げペースが加速するかどうか、も焦点のひとつとなっています。まあ、2か月半くらいは米国の金融政策に動きはないものと考えるべきですが、3月の利上げはありなんでしょうね

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、12月は前年同月比で+2.5%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、生産性の向上で賃金上昇を吸収して物価にそのまま波及させるには至っていないとはいえ、金融政策の発動が必要とされる場面なのかもしれません。

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2018年1月 4日 (木)

例年通りご用始めに出勤する!

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今日は役所などのご用始めです。例年通り、私も役所に出勤しました。
ご用納めが昨年2017年12月28日でしたから、まあ、カレンダー通りに休んでも6連休です。この年末年始休みは日本人特有のものらしく、私が南米はチリの日本大使館に勤務していたころは、ちょうど平日だったこともあって、月曜日から金曜日まで5日連続で午前と午後に18ホールずつ、キャディーだけ従えて、たった1人でゴルフしたことがありました。何と、ちょうど10ラウンドの合計スコアが1,001で、平均100.1だったものですから、私にはコンスタントに100を切る実力はないものとゴルフを諦めた記憶があります。
定年退官まで残りわずかとなり、今年も1年、国民生活と世界経済のため、がんばって政府のお仕事に邁進します!

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2018年1月 3日 (水)

今年こそ阪神タイガースの優勝を祈念する!

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今年2018年、阪神タイガースのチームスローガン「執念」だそうです。クライマックス・シリーズ勝ち上がりの日本シリーズ出場を別にすれば、2005年から10年余りリーグ優勝から遠ざかっています。今年こそ優勝目指して、私もまたまた阪神タイガースを応援します。

がんばれタイガース!

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2018年1月 2日 (火)

映画「シン・ゴジラ」を見る!

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お正月2日目は、映画「シン・ゴジラ」を鑑賞しました。もちろん、封切りは2016年7月と1年半も前ですから、映画館ではなく我が家のテレビで見たわけです。今さらながら、とても感激しました。日本という国の、そして、日本国民の、ついでながら、日本政府の、それぞれのレジリエンスを感じました。

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2018年1月 1日 (月)

近所の神社に初詣に行く!

改めまして、
あけましておめでとうございます!

穏やかないいお正月です。近くの神社に初詣に行きました。我が家は数年前まで一家そろって初詣に出かけていたんですが、すでに下の倅ですら選挙権を持つ年齢に達し、一昨年から一家バラバラで初詣に出かけています。近くの氏神様なんでしょうが、天神系の名称ではないかと想像しています。行きは昨年買い求めた破魔矢を持ってお焚きあげにお供えし、帰りは新しい破魔矢を買い求めていますので、行きも帰りも往復とも破魔矢を持っての初詣でした。下の写真の通り、おみくじは末吉でした。
下の写真は初詣に行った我が家の近くの神社とおみくじです。

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あけましておめでとうございます!

あけましておめでとうございます!

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新しい年2018年が先ほど数分前に明け、エコノミストの端くれとして、少しでも日本と世界の経済が上向き、国民生活が豊かになることを祈念しております。毎年、同じ願いだったりします。今年も国民とお国のためにがんばってお仕事します。
それでは、そろそろ寝ます。おやすみなさい。

なお、上の画像はART BANKのサイトから借用しています。

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