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2018年3月 6日 (火)

明後日公表予定の2017年10-12月期GDP速報2次QE予想やいかに?

先週木曜日3月1日の法人企業統計をはじめとして、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の3月8日に昨年2017年10~12月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期から2018年の景気動向を重視して拾おうとしています。しかしながら、何分、2次QEですので、法人企業統計のオマケの扱いだったりして、明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くなく、みずほ総研と第一生命経済研だけでした。しかも、みずほ総研はタイトルこそ「2018年も緩やかな景気回復が続く見込み」としているんですが、ヘッドラインに取り上げた通り中身は1月の鉱工業生産指数(IIP)からお話が始まっていて、まあ、確かに今年に入っての足元の経済情勢なんですが、やや怪しげでした。いずれにせよ、この2機関は2パラずつ引用しているほか、他機関のリポートについてもより詳細な情報にご興味ある向きは一番左列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.1%
(+0.5%)
n.a.
日本総研+0.2%
(0.7%)
10~12月期の実質GDP(2次QE)は、公共投資が下方修正となる一方、設備投資、在庫変動は上方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+0.7%(前期比+0.2%)と1次QE(前期比年率+0.5%、前期比+0.1%)から小幅上方修正される見込み。
大和総研+0.3%
(+1.0%)
10-12月期GDP二次速報(3月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+1.0%(一次速報: 同+0.5%)と、一次速報から上方修正されると予想する。基礎統計の直近値の反映により公共投資のマイナス幅が縮小するほか、需要側統計の法人企業統計の結果を受けて設備投資は上方修正される見込みだ。
みずほ総研+0.1%
(+0.6%)
1月の鉱工業生産は前月比▲6.6%と大幅な落ち込みを記録したが、元々1月は自動車産業をはじめとする工場の稼働日数や中華圏の春節休暇の影響で、季節調整値でも振れやすい傾向があることに留意が必要だ。実際、2月の予測指数は、1月に大きく減産した輸送機械工業を中心に、前月比で+9.0%(補正値でも+4.7%)と大幅な増産計画となっている。IT関連財や一般機械類を中心に輸出が増勢が続き、設備投資は五輪関係や省力化投資も加わって回復基調を辿ると見込まれるなど、景気の回復基調は維持されるだろう。ただし、個人消費については、堅調な雇用・所得情勢が下支えする一方、食料品やガソリンといった生活必需品の価格上昇や、大雪などの天候要因が逆風となり、当面力強さを欠きそうだ。
株価の乱高下は足元では落ち着きつつあるが、為替が円高に振れるなど、金融市場発の下ぶれリスクには依然として留意が必要だ。中国における構造改革の足取りや、北朝鮮情勢を中心とする地政学リスクにも引き続き目配りが欠かせない。
ニッセイ基礎研+0.2%
(+0.8%)
3/8公表予定の17年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.2%(前期比年率 0.8%)となり、1次速報の前期比0.1%(前期比年率 0.5%)から若干上方修正されると予測する。設備投資は下方修正されるが、民間消費、民間在庫変動、公的固定資本形成の上方修正がその影響を上回るだろう。
第一生命経済研+0.3%
(+1.0%)
GDP以外の経済指標においても10-12月期は良好なものが多く、景気は好調な推移が続いていると判断して良いだろう。
先行きについても、世界経済の拡大に伴う輸出の増加と好調な企業業績を背景にした設備投資の持ち直し傾向は続くとみられる。景気を取り巻く環境は良好であり、今後も景気は改善を続ける可能性が高い。
伊藤忠経済研+0.2%
(+1.0%)
2017年10~12月期の実質GDP成長率は2次速報で前期比+0.2%(年率+1.0%)へ小幅上方修正されると予想。設備投資のほか、公共投資や民間在庫も若干上方修正される見込み。潜在成長率程度の成長となり、デフレ脱却に向けた底堅い拡大が確認されよう。引き続き円高の企業業績への影響が懸念されるが、労働分配率の底入れは明るい材料。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.2%
(+0.8%)
2017年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.2%(年率換算+0.8%)と1次速報値の同+0.1%(同+0.5%)からわずかに上方修正される見込みである。
三菱総研+0.1%
(+0.4%)
2017年10-12月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.1%(年率+0.4%)と8四半期連続のプラス成長を予測する。外需は若干のマイナス寄与となるものの、内需は消費・設備投資を中心に底堅く推移した。

上のテーブルを眺める限り、最終行の三菱総研を除いて、すべての機関で先月公表の1次QEの推計値である前期比+0.1%、年率+0.5%をやや上回る予想となっています。すなわち、三菱総研も含めて+0%台半ばから+1%くらいまでのレンジであり、ビミョーなところながら、潜在成長率並みといえそうです。法人企業統計のサンプル替えの影響を強調するニッセイ基礎研を除いて、設備投資は法人企業統計の結果を受けて上方改定される一方で、個人消費は1次QEから大きな変更なく、引き続き消費は冴えない展開ながら、設備投資の上振れが2次QEでの上方修正の大きな要因と指摘されています。下方修正を見込む三菱総研も含めて、8四半期連続、つまり2年間一貫してプラス成長が続き、第一生命経済研のリポートが指摘するように、GDP統計以外の経済指標も足元で好調を維持継続しており、設備投資が上向くのであれば、我が国経済の回復・拡大はもう少し続くものと考えてよさそうです。他方で、先行きリスクを考えると、上に引用したリポートではまったく触れられておらず、もちろん、目先のお話しではないかもしれませんが、米国トランプ政権の通商政策の動向が上げられます。鉄鋼やアルミに中国からの輸入品だけでなく日欧の同盟国からの輸入品にも高関税を課し、欧州政府も貿易戦争も辞さずとの姿勢と報じられています。減税政策が強く支持されてきた一方で、いよいよ、トランプ政権の通商政策リスクが顕在化するんでしょうか。
下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。ご参考まで。

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