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2018年3月 7日 (水)

CI一致指数が大きく下降した景気動向指数は景気拡大局面の終わりを示唆するのか?

本日、内閣府から1月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月比▲1.8ポイント下降して104.8を、CI一致指数は▲5.7ポイント下降して114.0を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の景気一致指数、4カ月ぶりマイナス 「改善」は維持
内閣府が7日発表した1月の景気動向指数(CI、2010年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比5.7ポイント下落し、114.0となった。4カ月ぶりのマイナスで、生産や出荷など企業部門の指標が悪化した。内閣府は景気の基調判断は「改善を示している」で据え置いた。
CIを構成する指標のうち、前月と比較可能な7つの指標すべてが低下要因になった。中でも鉱工業生産や生産財出荷指数の下落寄与度が大きい。自動車や機械など幅広い品目で前月まで高い伸びが続いた反動が出た。中国の旧正月(春節)が前年と時期がずれたことが要因とみられる。一部地域では大雪の影響も出たもようだ。
内閣府は一致指数の動きから機械的に判断する基調判断を、16年10月以降続く「改善を示している」との判断のまま据え置いた。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「現実の経済活動はこれほど落ち込んでいない。1~2月は春節などでもともと季節調整が難しい」と見る。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出し、月ごとの景気変動の大きさやテンポを示す。前の月からの指数の変化で景気の「向き」を示し、水準で「勢い」をみることができる。1月の下落幅は東日本大震災があった11年3月(7.0ポイント低下)以来の大きさだった。
数カ月先の景気を示す先行指数は前月より1.8ポイント低下し、104.8となった。前月と比較可能な9つの指標のうち、在庫など5つの指標が指数の低下要因となった

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

ということで、引用した記事にもある通り、東日本大震災が起きた2011年3月の▲7.0ポイントの下降以来、CI一致指数は最近にない大きな下降を示しましたが、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」に据え置いています。というのは、1月の鉱工業生産指数(IIP)が中華圏の春節の影響などにより、大きな減産を示したカレンダー要因を考慮しているのではないか、と私は想像しています。例えば、上に示したグラフのうちの上のパネルにプロットしたCI一致指数の形があまりに1週間前の鉱工業生産指数(IIP)に似ているのが見て取れるかと思います。前月統計から▲1ポイントを超える大きな下降の寄与度を示したCI一致地数のコンポーネントが3項目あり、生産指数(鉱工業)▲1.36、鉱工業用生産財出荷指数▲1.34、耐久消費財出荷指数▲1.22と、いずれも鉱工業生産指数のうちの生産、出荷の項目です。この3項目の寄与度を合計すれば、それだけで前月差▲5.7ポイントのうちの半分超の▲4ポイント近くに達してしまいます。また、CI先行指数の▲1.8ポイントの下降の、これまた半分超の寄与を示しているのが新規求人数(除学卒)であり、これだけで▲0.98の寄与があります。しかも、先週3月2日に雇用統計を取り上げた際に明記した通り、雇用の先行指標のうち新規求人数は大きく低下している一方で、新規求人倍率はそこまで大きな低下ではありませんでしたから、何か、統計のあやのようなものを感じてしまいます。
いずれにせよ、明日公表予定の昨年2017年10~12月期のGDP統計2次QEをはじめとして、昨年12月までの経済指標は明らかに景気の回復・拡大を示している一方で、今年2018年1月から一揆に景気拡大が終了して景気後退局面に入った可能性は、まあゼロではないとしても、まだかなり小さいのではないかと私は考えています。例えば、帝国データバンクのTDB景気動向調査では2018年1月の景気DIは8か月連続の改善を示した後に、2月の景気DIが悪化したりしています。もちろん、日本経済研究センターの景気後退確率などのほかの指標も見てみたい気がしますが、直観的には、景気動向指数のCI一致指数が1月に大きく下降したのは、中華圏の春節によるカレンダー要因の可能性の方が大きいような気もしますので、もう少し先の2~3月、あるいは、さらに先の4月以降の統計も見つつ、ならして景気を判断する必要がありそうに思えてなりません。

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