« 大きな減産となった鉱工業生産指数(IIP)とやや停滞を示す商業販売統計! | トップページ | ほぼほぼ完全雇用を示す1月の雇用統計からデフレ脱却を考える! »

2018年3月 1日 (木)

企業部門の好調さを示す法人企業統計と消費者マインドが落ち続ける消費者態度指数!

本日、財務省から昨年2017年10~12月期の法人企業統計が、また、内閣府から今年2018年2月の消費者態度指数が、それぞれ公表されています。まず、法人企業統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は5四半期連続の増収で前年同期比+5.9%増の358兆2061億円、経常利益も6四半期連続の増益で+0.9%増の20兆9410億円、設備投資は製造業で+6.5%増、非製造業で+3.0%増となり、製造業が牽引する形で、全産業では+4.3%増の11兆4000億円を記録しています。一般に内部留保と呼ばれる利益剰余金は前年同期比+11.2%増の417兆2895億円に上っています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資は前期比+3.1%増の10兆7928億円となっています。また、消費者態度指数は前月から▲0.4ポイント低下して2月は44.3を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10~12月期の設備投資5四半期連続プラス 法人企業統計
財務省が1日発表した2017年10~12月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比4.3%増の11兆4000億円だった。プラスは5四半期連続。国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で3.1%増と2四半期連続で増加した。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、製造業は6.5%増加した。スマートフォン(スマホ)に使う半導体の需要増などを背景に情報通信機械業で生産能力を増強する動きが旺盛だった。非製造業は3.0%増えた。運輸業で船舶や航空機の取得が増えたほか、物品賃貸業でリース資産が増加した。「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額の内訳は製造業が季節調整済み前期比7.7%増、非製造業が0.6%増だった。
全産業ベースの経常利益は前年同期比で0.9%増の20兆9410億円だった。増益は6四半期連続。製造業が2.5%伸びた半面、非製造業は0.0%減とわずかに前年実績を下回り、2四半期連続のマイナスとなった。建設業で好調だった前年の反動が出たほか、小売業で出店費用などコストが増えた。
売上高は5.9%増の358兆2061億円と5四半期連続で増収となった。製造業は4.7%、非製造業が6.4%それぞれ増えた。中国などで建設機械や半導体製造装置の売れ行きが好調だったほか、石油製品の値上がりも寄与した。小売業ではインバウンド(訪日外国人)需要を取り込んだ。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計。今回の17年10~12月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。
2月の消費者態度指数が低下 野菜・ガソリン値上がりで、基調判断引き下げ
内閣府が1日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は44.3と前月に比べ0.4%低下した。葉物野菜やガソリンが値上がりするなか、上旬の株価急落も重なって消費者心理が悪化した。内閣府は基調判断を「持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「足踏みがみられる」に下方修正した。
指数低下は2カ月ぶり。消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」が前月から低下。「収入の増え方」は上昇した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月比1.1ポイント低い81.3%となり、7カ月ぶりに前月を下回った。「変わらない」は6カ月ぶりに、「低下する」は2カ月ぶりに、それぞれ増加に転じた。
基調判断は前月、「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に下方修正したばかり。内閣府の経済社会総合研究所は「指数の水準自体は高く、悲観するような動きではない」と分析している。
調査基準日は2018年2月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5919世帯(回答率70.5%)だった。
態度指数は消費者の「暮らし向き」など4項目について今後半年間の見通しを5段階評価で聞き、指数化したもの。全員が「良くなる」と回答すれば100に、「悪くなる」と答えれば「ゼロ」になる。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、2つの統計を並べるとかなり長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整していない原系列の統計ながら、2017年10~12月期の売上高経常利益率は製造業が7.4%、非製造業が5.2%を記録しています。資本金別でも、10億円以上の上場企業クラスが8.0%に対して、1億円~10億円が4.4%、1億円以下でも4.2%と、低金利時代の利子率を軽く上回る水準を記録しています。国内経済も着実に回復・拡大を示している景気の現状に加えて、世界経済が順調に回復・拡大を見せていることから、製造業が非製造業よりも高い収益力を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については一昨年2016年年央くらいを底に明らかに上向きに転じ、昨年2017年は年間を通じてこの流れが継続していることが確認できたと思います。また、設備投資についてもかなり伸びが本格化して来た印象です。季節調整済みの系列で見て、全産業ベースの設備投資は2017年10~12月期に前期比で3.1%増でしたが、製造業で+7.7%増、非製造業で+0.6%増を示しており、利益率が高い製造業の方で投資の伸び率が高くなっており、為替がまだ円安水準にあったことも影響している可能性があります。もっとも、現下の人手不足の影響は非製造業においてより大きいと考えられますので、今後は非製造業でも設備投資が活発化する可能性が大いにあります。

photo

続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、2017年7~9月期に少し足踏みを見せたものの、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。また、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、春闘の賃上げを政府から要請することもさることながら、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。ですから、もしも裁量労働制が労働時間の短縮につながらずに企業利益を増加させるだけに寄与するのだとすれば、むしろ、労働時間を短縮して実効性の面から企業のキャッシュを雇用者に配分するような政策が必要なのかもしれません。

photo

続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、2月統計を前月差で詳しく見ると、上昇したのは「収入の増え方」だけで+0.3の上昇となったほか、「雇用環境」が▲1.0ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.5ポイント低下、「暮らし向き」が▲0.4ポイント低下をそれぞれ示しています。ただ、「雇用環境」については、前月差では最も大きく低下を示したものの、指数の水準では48.7であり、コンポーネントの中でもっとも高くなっています。直近のピークは2017年11月の44.9であり、そこからジワジワと指数は低下を続けており、2月統計の公表に当たって、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直しのテンポが緩やか」から「足踏み」に下方修正しています。先月1月統計の公表時には「持ち直している」から「持ち直しのテンポが緩やか」に下方修正したところですので、2か月連続の下方修正となります。その理由として、引用した記事のタイトルでは、野菜・ガソリン値上がりがクローズアップされていますが、むしろ、私は米国市場発の株安の影響の方が大きいんではないかと考えていて、どこまで消費者マインドの基調が変化したかは疑問だと考えていますが、内閣府では1月に続いて2月も消費者マインドの基調が変化した可能性が高いと考えているようです。

本日発表の法人企業統計などを基に、来週3月8日には内閣府から2017年10~12月期のGDP統計2次QEが公表される予定となっています。また、日を改めて取りまとめたいと思います。

|

« 大きな減産となった鉱工業生産指数(IIP)とやや停滞を示す商業販売統計! | トップページ | ほぼほぼ完全雇用を示す1月の雇用統計からデフレ脱却を考える! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/20840/73023420

この記事へのトラックバック一覧です: 企業部門の好調さを示す法人企業統計と消費者マインドが落ち続ける消費者態度指数!:

« 大きな減産となった鉱工業生産指数(IIP)とやや停滞を示す商業販売統計! | トップページ | ほぼほぼ完全雇用を示す1月の雇用統計からデフレ脱却を考える! »