「OECD経済見通し」に見る日本経済の先行きリスクやいかに?
日本時間の昨夜、経済協力開発機構(OECD)から「OECD経済見通し」 OECD Economic Outlook が公表されています。ヘッドラインとなる実質成長率について、日本は昨年2017年の+1.7%の後、今年2018年が+1.2%、来年2019年も+1.2%と見込まれています。まず、パワーポイントのスライドから Key messages の画像を引用すると以下の通りです。
すなわち、世界経済は投資と貿易に支えられつつほぼ+4%の水準で成長を示しているものの、まだ金融政策と財政政策に支えられた成長であり、強くて自律的な成長には達していないと結論しています。ただ、雇用は拡大しており、OECD諸国の失業率は1980年以来の低水準にあることも事実です。先行き数年のリスクは石油価格の上昇によるインフレ、通商制限的措置による貿易の阻害、金融のボラティリティを上げています。
続いて、同じくパワーポイントのスライドから世界・G20と主要国の実質成長率を取りまとめた OECD Economic Outlook projections の画像を引用すると以下の通りです。
繰り返しになりますが、我が国の成長率は今年2018年と来年2019年ともに+1.2%と見込まれており、3月に公表された「OECD 経済見通し中間報告」OECD Interim Economic Outlook と比べると、2018年は▲0.3%ポイントの下方改定、2019年については+0.1%ポイントの上方改定となっています。日本経済に関する「カントリーノート」の冒頭では、引用はしませんが、賃金上昇率と政府のプライマリー・バランスのグラフを示し、構造改革と財政再建が優先課題 "Structural reforms and fiscal consolidation are priorities" と主張しています。人口減少と高齢化が進む中で、正規と非正規の二重労働市場 "dual labour market" において女性の低賃金非正規労働が広がっていると指摘し、ワーク・ライフ・バランスの改善とともに女性の働きやすい環境整備の必要性を示唆しています。加えて、かつてない水準に達した政府債務をリスクとして上げています。
最後に、本日、経済産業省から4月の鉱工業生産指数 (IIP)が公表されています。季節調整済みの系列で見て、前月比+0.3%の伸びを示し、3か月連続の増産となりました。製造工業生産予測調査では、5月が+0.3%の増産、6月は▲0.8%の減産を見込んでいます。いつものグラフは上の通りです。上のパネルは2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。
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