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2018年6月11日 (月)

大きく増加した4月の機械受注をどう見るか?

本日、内閣府から4月の機械受注が公表されています。変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注の季節調整済みの系列で見て前月比+10.1%増の9431億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の機械受注10.1%増、9年10カ月ぶり高水準 基調判断は上方修正
内閣府が11日発表した4月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶、電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比10.1%増の9431億円だった。製造業の受注が大きく増え、リーマン・ショック前の2008年6月以来の高水準となった。
内閣府は基調判断を「持ち直している」に上方修正した。上方修正は17年8月以来。
4月の受注額は、製造業が22.7%増の4479億円だった。17業種のうち、13業種が増加した。前月の大幅減の反動に加え、内燃機関の受注などがあった造船業が大きく増えた。クレーンや金属加工機械の受注が増え、「はん用・生産用機械」は分類が始まった11年4月以来で過去最高となった。「自動車・同付属品」も08年3月以来の高水準だった。
非製造業は0.4%増の4778億円だった。電力業や情報サービス業が増加した半面、3月に受注が増えた反動で、「運輸業・郵便業」や「建設業」は減った。
前年同月比での「船舶、電力を除く民需」の受注額(原数値)は9.6%増だった。
4~6月期の「船舶、電力を除く民需」の季節調整値の見通しは前期比7.1%増となっている。

いつものグラフは以下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

繰り返しになりますが、コア機械受注が前月比+10.1%増の9431億円でしたので、上のグラフを見ても6か月後方移動平均のトレンドが上向いているようにも見受けられますし、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に半ノッチ引き上げています。受注額としては、引用した記事にもある通り、リーマン・ショック前の2008年6月以来の高水準を記録しています。先月の統計公表時に4~6月期の見通しは前期比+7.1%の増加だったんですが、4月のコア機械受注の受注額水準は1~3月期を+8.0%上回っていますから、かなり高い受注水準であることは明らかでし、そもそも、1~3月期のコア機械受注は前期比で+3.3%増でしたので、4~6月期も続けて前期比での増加になる可能性は高いと私は受け止めています。基本的には、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、人手不足が非製造業を中心に広範に観察され、省力化投資需要は引き続き機械受注を押し上げる方向にあり、製造業も能力増強投資はともかく、設備投資をかなり抑えてきた期間が長くなり、更新投資の需要も見込めることから、こういった設備投資需要を背景に機械受注は、足元から目先、緩やかな増加基調を続けると私は期待しています。ただし、今週末のG7でも明らかになったように、米国の通商政策がかなり保護主義に傾く可能性があり、少し長い目で見ると米国通商政策リスクは無視できないと考えるべきです。

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