6月調査の日銀短観予想やいかに?
来週7月2日の公表を前に、シンクタンクや金融機関などから6月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下の表の通りです。設備投資計画は今年度2018年度です。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、今回の日銀短観予想については、今年度2018年度の設備投資計画に着目しています。一部にとても長くなってしまいました。どうでもいいことながら、前回まで設備投資計画の予想を出していなかった三菱総研が、今回からページ数も倍増の2ページとして設備投資計画の予想も出すようになりました。私のような利用者サイドでは結構なことなんですが、一部のエコノミストが酷使されているのかもしれません。いつもの通り、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、html の富士通総研以外は、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 大企業製造業 大企業非製造業 <設備投資計画> | ヘッドライン |
3月調査 (最近) | +24 +23 <▲0.7> | n.a. |
日本総研 | +23 +23 <+4.5%> | 2018年度の設備投資額は、全規模・全産業ベースで前年度比+4.5%と、前回調査対比+5.0%の上方修正を予想。キャッシュフローが潤沢ななか、既存設備の維持・更新投資、人手不足を背景とした合理化・省力化投資を中心に、設備投資需要も引き続き堅調。とりわけ、中小企業・製造業では、6月時点としては異例のプラス計画となるなど、設備投資に対する前向き姿勢が鮮明に。 |
大和総研 | +22 +23 <+2.9> | 2018年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+2.9%と、前回の3月日銀短観(同▲0.7%)から上方修正されると予想した。6月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、高水準の企業収益が設備投資に対して引き続きプラスに作用する一方で、2018年に入ってからのグロ―バル金融市場の動揺や米中貿易摩擦の激化、さらには人件費などのコスト上昇を背景とする先行きの業績不透明感が重石となり、概ね例年の修正パターン並みの結果になると想定した。前年度比や修正パターンを総じてみると、6月日銀短観で見る日本企業の設備投資計画は堅調な内容になると想定する。 |
みずほ総研 | +22 +23 <+5.1%> | 2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比+5.1%と、3月調査(▲0.7%)から上方修正され、例年よりも高めの伸びを予想する。 製造業については、海外経済の回復に伴い老朽設備を切り替える更新投資が見込まれるほか、IoT化や人手不足などを背景に、半導体製造装置や産業用ロボットへの設備投資意欲も高まるとみられる。非製造業については、製造業と同様に人手不足を背景とした自動化・省力化投資需要が高まっていることに加え、オリンピックに向けた建設投資やインバウンド対応投資が引き続き行われていくだろう。 |
ニッセイ基礎研 | +22 +24 <+4.2%> | 2018年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比4.2%増と予想(前回調査時点では前年比0.7%減)。例年6月調査では、計画が固まってくることで大幅に上方修正される傾向が極めて強い。また、最近の設備投資関連指標は、良好な企業収益を受けた投資余力の改善や人手不足に伴う省力化投資などが追い風となり、概ね改善を示していることから、実勢としても底堅い投資スタンスが維持されていると見込まれる。従って、前回調査に続いて例年と比べて高めの伸び率が示されるだろう。 なお、貿易摩擦への懸念は設備投資計画の抑制要因になり得るが、事態は未だ流動的であり、今のところ計画への影響は限定的と見ている。 |
第一生命経済研 | +20 +21 <大企業製造業+13.8%> | 2018年度の設備投資は、3月調査の時点から底堅かった。大企業・非製造業は例年3月はマイナス計画なのに、3月は0.8%増であった。このプラス幅は、6月はより拡大するだろう。大企業・製造業は、元々2桁の伸びになる傾向があり、今回もその流れを引き継ぐとみられる。中小企業も、製造業がより好調となるだろう。 マクロの設備投資は、1-3月に少し弱めとなったが、相対的には企業のキャッシュフローが安定して増える中で、その一定部分が振り向けられるかたちになるだろう。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +23 +24 <大企業全産業+9.7%> | 2018年度の大企業の設備投資計画は、製造業では前年比+16.0%、非製造業では同+6.0%と、増加計画がさらに上方修正される見込みである。いずれもこの時期に年度の設備投資計画が確定することから上方修正される傾向があるが、それを勘案しても上積み額が大きい。製造業では、人手不足への対応や生産性向上のための投資に対するニーズが強く、足元でも機械受注が増加している。非製造業でも、人手不足への対応のための情報化投資の増加や、東京オリンピック関連需要の高まりが押上げ要因になっていると考えられる。 中小企業については、製造業は前年比+5.0%、非製造業が同-20.0%と、ともに上方修正が見込まれる。例年、計画は調査を経るごとに上方修正される傾向があるが、製造業の計画が6月調査時点でプラスとなるのは、前年の水準が低く、アベノミクスへの期待が高まった2013年度以来である。非製造業は例年並みのペースで上方修正されるであろう。 |
三菱総研 | +23 +23 <+4.2%> | 2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は、前年比+4.2%と予測する。生産性向上を目的とする情報化関連投資に加え、老朽化する設備の維持・更新投資、人手不足の深刻化を背景とする自動化・省力化投資などへのニーズの高まりが、企業の設備投資計画の押し上げ要因となろう。 |
富士通総研 | +22 +22 <+3.7%> | 2018年度の設備投資計画(全規模・全産業)は前年度比3.7%と、3月調査から上方修正されると見込まれる。高水準の企業収益が投資を支えており、設備投資の先行指標である機械受注、一致指標である資本財総供給とも、緩やかな増加基調を維持している。景気拡大長期化に伴い、能力増強投資が行われているほか、人手不足を補う省力化投資に対する企業の意欲も衰えていない。また、IoT関連の投資拡大も顕著になっている。2018年度の設備投資計画は、大企業を中心に3月調査で過去の平均を上回る水準からスタートしたが、6月調査もその傾向が続くと予想される。中小企業も例年並みに上方修正されると見込まれる。 |
ということで、多くの機関が企業マインドの低下を予測しています。そして、大企業に限ってなのかもしれませんが、非製造業よりも製造業の低下幅の方がより大きい、というのも緩やかながらコンセンサスがありそうです。大企業レベルでは非製造業の景況感の低下は見られない、むしろ上向く可能性すら示唆されているように私は受け止めています。大企業製造業の景況感の低下幅もそれほぼ大きいわけでもなく、どこまで悲観的な受止めをするかは、むしろ、受け止める方のスタンスを反映している部分も考慮すべきかもしれないと思うくらいです。そして、私の注目する設備投資については、ほぼほぼ一致して6月調査で大きく上方修正されると見ています。特に、大企業製造業では2ケタ増が見込まれており、短観の統計のクセとして6月調査での上方改定がありますが、例年並み、もしくは、例年を超える上方改定を見込む期間が多くなっています。
下の画像はニッセイ基礎研のリポートから全規模全産業の設備投資計画のグラフを引用しています。
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