商業販売統計の小売販売額は7か月連続で前値実績を上回る!
本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+0.6%増の11兆8370億円を、また、季節調整済みの系列の前月比は▲1.7%減を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
5月の小売販売額、前年比0.6%増 判断は据え置き
経済産業省が28日発表した商業動態統計(速報)によると、5月の小売販売額は前年同月比0.6%増の11兆8370億円だった。前年実績を上回るのは7カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」で据え置いた。
業種別では、燃料小売業が13.4%増と伸びが目立った。石油製品の価格上昇が要因。飲食料品小売業は0.8%増。肉類や総菜が好調だった。
一方、自動車小売業は2.8%減だった。普通車や小型車の販売が振るわなかった。織物・衣服・身の回り品小売業は4.1%減少した。5月上旬の天候不順で夏物衣服が伸び悩んだ。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.4%減の1兆5664億円だった。既存店ベースは2.0%減だった。コンビニエンスストアの販売額は0.1%増の9979億円だった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

小売販売額については、季節調整していない原系列で見て昨年2017年11月から7か月連続の前年比プラスを記録していますが、多くのエコノミストが注目している季節調整済みの系列については、今年2018年に入ってから1~3月期には悪天候に起因する生鮮食品の値上がりなどにより足踏み状態にあった一方で、4月には前月比で+1.3%増を記録し、4~6月期の四半期はいいスタートを切った、と先月のブログに書いたんですが、5月が▲1.7%減ですから、元の木阿弥です。ですから、原系列の前年比プラスにもかかわらず、季節調整済み系列の統計も見て、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断は「横ばい傾向」で据え置いています。特に、季節調整済みの系列の前月比で見て、5月の悪天候で衣類の販売が振るわず、織物・衣服・身の回り品小売業が前月比▲3.4%減を記録し、4月に前月比+5.3%増を見せた自動車小売業も5月は▲1.1%減と落ち込みました。国際商品市況における石油価格の上昇に伴って燃料小売業が前月比+1.6%とプラスになったほかは、軒並み前月比マイナスとなりました。
参考情報ながら、この商業販売統計ではサービスの比重が極めて低くなっていますので、本日公表の統計からは情報を得られませんが、5月のゴールデンウィークの天候条件、すなわち、雨と低温については、どこまでサービス消費に影響を及ぼしているか、また、6月中旬の大阪府北部地震の影響など、トピック的にはややサービス消費にはネガな要素が目につき、私は気にしているところです。
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