エネルギー価格の上昇により消費者物価 (CPI) 上昇率は17か月連続でプラスを記録!
本日、総務省統計局から5月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。前年同月比上昇率でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月と同じ+0.7%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
5月の全国消費者物価0.7%上昇 伸び幅は横ばい
総務省が22日発表した5月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.0と前年同月比0.7%上昇した。原油高でガソリン価格や電気代が上昇したものの、携帯電話の通信料などが下落し、上昇幅は前月比で横ばいにとどまった。
生鮮食品を除く総合では、全体の53.7%にあたる281品目(4月は282品目)が上昇し、178品目が下落した。横ばいは64品目だった。上昇は17カ月連続となったものの、上昇の勢いは鈍い。
生鮮食品を含む総合は101.0と0.7%上昇した。まぐろやたこなど生鮮魚介類が値上がりした。
生鮮食品とエネルギーを除く総合のCPIは101.1と前年同月比0.3%上昇した。人件費などの上昇で、回転ずしや焼き肉など外食代が上昇した。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、コアCPIの前年同月比上昇率で+0.7%でしたので、ジャストミートし市場に何らサプライズはありませんでした。今年2018年2月にコアCPI上昇率が+1.0%に達してから、ジワジワと上昇幅が縮小し、4~5月には+0.7%にまで達しています。ですから、1~3月期には天候条件にともなう生鮮食品の価格上昇もあった一方で、現時点では一時ほどは物価上昇の痛みのようなものは家計は感じていない可能性もあり、消費に対しては家計の過度の節約志向の緩和を通じてプラスの効果を及ぼす可能性が十分ある、と私は考えています。ただ、同時に、日銀のインフレ目標である2%からはかなり遠いという実感もあります。

5月のコアCPI上昇率+0.7%は、あくまでマクロのレベルの話であり、家計の直面する物価の実感とはやや差がある可能性も私は感じ始めています。すなわち、上のグラフは上のパネルから順に、一番上が基礎的・選択的支出別消費者物価上昇率、そして、下の2枚は購入頻度別消費者物価上昇率なんですが、真ん中のパネルが月間1回程度以上と未満、一番下のパネルが頻繁(年間15回以上)とまれ(年間0.5回未満)のそれぞれのグラフです。見れば明らかなんですが、2017年以降くらいの最近時点では、選択的支出よりも基礎的支出の上昇率が高く、購入頻度の高い品目の方が上昇率が高くなっています。ですから、家計が実際に直面する買い物の際の物価上昇率の実感はマクロ+0.7%上昇より高い可能性が十分あります。それにしては、賃金上昇が物足りませんので、マクロの物価上昇が生鮮食品価格の高騰の落ち着きなど含めて、物価上昇率が低下し始めたにしては、家計の消費への効果がマクロの物価上昇率の落ち着きほどには現れない可能性も否定できません。日銀の物価目標に達しない現状も良し悪しかもしれません。
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