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2018年7月 4日 (水)

我が国家計の資産分布は先進各国で比べて不平等なのか?

経済協力開発機構(OECD)から、先月6月21日付けで以下の学術論文が公表されています。

Balestra, Carlotta and Richard Tonkin (2018) "Inequalities in household wealth across OECD countries: Evidence from the OECD Wealth Distribution Database," OECD Statistics Working Papers 2018/01, OECD, June 2018

要するに、OECDの資産分布データベースを基に、加盟各国の家計資産の分布の不平等の度合いをリポートしています。一応、学術論文なんでしょうが、小難しい計量経済学の手法で分析を加えたというよりは、データベースから記述統計を抜き出したリポートに近いと私は受け止めています。OECDのデータベースを中心に置きながら、クレディ・スイスの Credit Suisse Global Wealth Report とか、World Inequality Report との比較も試みています。グラフを引用しつつ、国際比較で我が国の家計資産の不平等の度合いが先進各国と比較してどの程度かを簡単に見ておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、ペーパーの p.10 Figure 2.1. Mean net wealth per household and per person を引用しています。家計当たりの純資産残高でソートしてあり、ルクセンブルク、米国、英国の順となっていて、我が国における家計当たりの純資産残高はOECD加盟国27か国中の9番目であり、加盟国平均よりやや多くなっています。日本経済もやや落ちぶれたとはいえ、まだまだ資産残高では平均より上位につけています。

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次に、上のテーブルは、ペーパーの p.15 Table 2.1. Selected indicators of the distribution of household net wealth を引用しています。ボトム40%のシェアやボトム60%のシェアの起きさで我が国を上回る国はいくつかありますが、逆に、トップ10%のシェア、トップ5%のシェア、トップ1%のシェア、の3項目で見ると、OECD加盟国中で我が国家計はかなり資産分布が平等に見えます。トップ家計のシェアが我が国より低いのはスロバキアくらいで、同等なのもギリシアくらいです。このテーブルの次のページに Table 2.2. Top wealth shares across different international databases も示されていて、クレディ・スイスのデータベースによる比較も利用可能なんですが、いずれにせよ、我が国の家計資産の集中度は先進各国の中で比較してそれほど高くない、という結果が明らかにされています。

通常のエコノミストの感覚でいえば、フローの所得の不平等が積み上がって、このリポートに示されているようなストックの資産の不平等が出来上がるわけですから、フローの所得よりもストックの資産の不平等のほうがより不平等の度合いが大きいと考えるべきです。従って、本リポートの記述統計から、我が国のフローの所得の不平等の度合いは、ストックの資産の不平等とともに、歴史的に見て最近時点で格差や不平等はかなり高まってきている可能性は否定できないものの、繰り返しになりますが、他の先進各国と横断的に比較すれば、高齢化が進んでいる割にはそれほど我が国家計資産の不平等は大きくない、といえるのではないかと私は受け止めています。

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