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2018年7月 7日 (土)

米国雇用統計に見る堅調な雇用は貿易戦争でどうなるか?

日本時間の昨夜、米国労働省から6月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+213千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190千人の増加という予想を上回った一方で、失業率は前月から0.2%ポイント上昇したものの4.0%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事の最初の7パラを引用すると以下の通りです。

June jobs report: U.S. economy adds 213,000 jobs but unemployment rises to 4%
Employment growth was strong for a second consecutive month in June as the economy added 213,000 jobs despite worker shortages and mounting U.S. trade tensions.
The unemployment rate, which is calculated from a separate survey, rose from an 18-year low of 3.8% to 4% as 600,000 Americans, including many discouraged workers on the sidelines, streamed into a favorable job market, the Labor Department said Friday.
Economists expected 195,000 payroll gains, according to a Bloomberg survey.
Many experts have expected job gains to slow because the low employment rate is making it harder for firms to find workers. Also, President Donald Trump has slapped tariffs on imports that have provoked tit-for-tat countermeasures by other countries in an escalating trade war that's starting to unnerve U.S. corporations.
But before Friday's report, monthly additions have averaged about 200,000 this year. And Goldman Sachs says the tight labor market tends to boost hiring in June as companies aggressively target students and graduates.
Average hourly earnings increased 5 cents to $26.98, keeping the annual increase unchanged at 2.7 percent. Pay hikes haven't picked up as much as anticipated in light of the historically low jobless rate, but economists expect annual gains to reach 3 percent by the end of the year.
An acceleration in pay increases could prompt the Federal Reserve to raise interest rates more sharply to head off a spike in inflation. The unchanged 2.7 percent rise in June helps keep the Fed on a gradual path of rate hikes.

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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繰り返しになりますが、6月の雇用は前月から+213千人増加し、5月の+244千人増と合わせて2か月連続で+200千人増を超え、最近3か月の4~6月の月平均で+200千人増を超えています。失業率は前月からやや上昇して4.0%を記録しましたが、引き続き低水準にあり、米国連邦準備制度理事会(FED)では年内にも3%台半ばにまで低下する可能性が取り沙汰されていると報じられています。要するに、目先のスコープでは米国の雇用は極めて堅調であり、雇用が悪化する見込みは議論されていません。ですから、現時点では今年から来年にかけて年間3回程度の利上げペースが見込まれていて、現状では雇用統計から利上げペースに変更を加える可能性はないと考えるべきですが、他方、貿易戦争と呼ばれるような輸入制限や関税率引き上げなどの通商制限的な政策が導入されれば、目先は米国内での生産が増加することから雇用がさらに拡大する可能性はあるものの、諸外国からの報復措置も考慮すれば、雇用への中長期的な影響は不透明と考えるべきです。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、6月は前年同月比で+2.6%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、+2%の物価目標を上回る賃金上昇が続いているわけですから、そろそろ金融政策で対応すべき段階であると考えるのが妥当かもしれません。

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