世界経済の成長率見通しが下方修正された OECD 「中間経済見通し」やいかに?
昨日、経済協力開発機構(OECD)から「中間経済見通し」OECD Interim Economic Outlook が公表されています。副題は High uncertainty weighing on global growth となっており、5月に公表された「経済見通し」と比較して、世界経済の成長率がやや下方修正されています。しかし、我が国経済については今年2018年と来年2019年とも+1.2%成長で据え置かれています。もちろん、pdfの全文リポートもアップロードされています。まず、プレゼンテーション・スライドの p.2 から Key messages を引用すると以下の通りです。なお、どうでもいいことながら、p.24 の最後のスライドも同じ Key messages になっています。
Key messages
- Global growth is peaking and is less synchronised
- Global growth should plateau at 3.7% in 2018 and 2019
- The job market has recovered but slack remains and wage growth is disappointing
- Risks are intensifying, uncertainty is widespread
- Rising trade restrictions risk hurting jobs and living standards
- Tightened financial conditions increase stress on a number of EMEs
- Political risks could prevent Europe from thriving
- Ten years after the crisis, some financial risks have built up again
- Policies should aim to enhance resilience, productivity and inclusiveness
- Reduce policy uncertainty, especially for trade, to support confidence and investment
- Review fiscal policy to react in case of a downturn and prioritise investment
- Implement reforms to boost long -term productivity and opportunities for all
やや長くなりましたが、利上げを継続する米国金融政策の動向や米中間の貿易摩擦の高まり、さらに、雇用を増加させ生産性を向上させるための構造政策など、いろいろな論点が提示されているんですが、私のブログは国際機関のリポートに着目するのもひとつの特徴であり、景気局面と成長率見通しに関してグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、スライドの順番は前後しますが、「中間経済見通し」のプレゼンテーション・スライド p.5 から成長率見通しの総括表を引用すると上の通りです。今年5月の「経済見通し」と比較して、世界各国がおしなべて成長率の下方修正されている中で、我が国と中国については成長率見通しが据え置かれています。サウジアラビアが上方修正されているのは国際商品市況における石油価格の上昇を反映したものですが、左側の先進国ではかなり多くの国が下方修正されている中で、右側に並べられたG20のうちで新興国や途上国では、決して多くはないものの、上方修正されている国も見受けられます。ということで、現在の世界経済の景気局面について、リポートでは、"The expansion may now have peaked." と表現されています。
加えて、「中間経済見通し」のプレゼンテーション・スライド p.3 から景気局面に関して、成長率がピークアウトしつつあり、各地域でシンクロしなくなったとのグラフを引用すると上の通りです。左側の棒グラフは成長率の停滞を示し、右側は成長率のばらつきが表されています。利上げ継続の観測が強い米国経済については、成長率は日欧と比較して高いながらも徐々に低下すると見込まれている一方で、我が国の成長率は低いながらも安定的に推移すると予想されており、欧州経済はその間を行く、といったところでしょうか。

最後に、目を国内に転じると、本日、総務省統計局から8月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月統計から緩やかに加速して+0.9%を記録しています。いつものグラフは上の通りであり、折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。
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