改善が続く景気動向指数と13か月連続の賃金上昇が続く毎月勤労統計!
本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも8月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差+0.5ポイント上昇して104.4を、CI一致指数も+1.4ポイント上昇して117.5を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.9%増の27万6366円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
8月の景気一致指数、4カ月ぶり上昇 自動車出荷など改善
内閣府が5日発表した8月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比1.4ポイント上昇の117.5だった。上昇は4カ月ぶり。自動車や半導体製造装置の出荷が改善した。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列のうち5系列が指数を押し上げた。耐久財消費財出荷指数が乗用車と二輪車の改善で上昇した。投資財出荷指数も半導体製造装置の好調を背景にプラスに寄与した。小売業の商業販売額も猛暑の影響でコンビニエンスストアの飲食料品を中心に増加した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は23カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.5ポイント上昇の104.4と3カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.2ポイント上昇の117.7だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
8月の名目賃金、前年比0.9%増 増加は13カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が5日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、8月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比0.9%増の27万6366円だった。増加は13カ月連続。基本給の伸びが続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.4%増の24万3809円だった。残業代など所定外給与は1.0%増。一方、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.4%減だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.6%減だった。名目賃金は増加したものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.8%増の1137円。パートタイム労働者比率は横ばいの30.70%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています

CI先行指数は3か月振りの上昇、CI一致指数も4か月振りの上昇を示し、CI一致指数は3か月後方移動平均、7か月後方移動平均とも前月のマイナスから上昇に転じています。従って、基調判断が「改善」から「足踏み」に1ノッチ下方修正される条件は、かなり機械的ながら、3か月後方移動平均の符号がマイナスかつマイナス幅が1か月、2か月、3か月の累積で1標準偏差以上ということですので、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「改善」で据え置いており、23か月連続の「改善」となっています。なお、CI一致指数のうち、プラス寄与は大きい順に、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、鉱工業用生産財出荷指数、生産指数(鉱工業)となっており、逆に、マイナス寄与の絶対値が大きい順に並べると、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)が上げられています。また、CI先行指数でプラし寄与が大きいのは最終需要財在庫率指数と鉱工業用生産財在庫率指数です。景気動向指数はかなりの程度に鉱工業生産指数(IIP)と相関が高いと私は考えているんですが、いずれにせよ、景気拡大は5年半を超えて6年に近づきつつあり、当然ながら、景気局面としては成熟化の段階に達している気がします。

続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。
最後に、9月の米国雇用統計が公表されていますが、今夜のうちに取りまとめて日を改めてアップしたいと思います。
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