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2019年1月 9日 (水)

統計として疑問あるも毎月勤労統計から何が読み取れるか?

本日、厚生労働省から昨年2018年11月の毎月勤労統計が公表されています。従来からのサンプル・バイアスとともに、調査上の不手際もあって、統計としては大いに信頼性を損ねたんですが、足元では同一ベースで統計を作成しているとのことです。統計のヘッドラインとなる名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+2.0%増の28万3607円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

18年11月の名目賃金、前年比2.0%増 増加は16カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が9日発表した2018年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、11月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比2.0%増の28万3607円だった。増加は16カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.6%増の24万4981円だった。残業代など所定外給与は1.1%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は9.7%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は1.1%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.7%増の1134円。パートタイム労働者比率は0.31ポイント低下の30.71%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
毎月勤労統計は、一部の対象について調査手法が規定と異なっていたことが明らかになっている。厚労省は原因について「調査中」とするとともに、11月分については「調査手法は変えていない」としている。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、毎月勤労統計のグラフは下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。

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引用した記事の最後のパラにも見られる通り、何分、統計としての信頼性が著しく毀損した統計ですので簡単に我が国雇用の方向性だけコメントしておきたいと思います。まず、景気に敏感な所定外労働時間については、ほぼ生産とシンクロして増減していおり、全体として、2014年の消費税率引き上げ後はほぼ横ばいで推移しています。消費増税が経済の停滞をもたらした点は疑いありません。賃金については、かなり完全雇用に近い労働市場動向のため、最近時点でようやく本格的な上昇が始まったと考えてよさそうです。しかし、まだ前年同月比で+1%を少し上回ったところであり、消費者物価(CPI)の上昇率を十分に上回る段階には達していません。その意味で、消費拡大には力不足の気がします。最後に、完全雇用に近いとはいえ、まだ、フルタイムよりもパートの伸びが高い状況であり、正社員の有効求人倍率が1倍を超えているとはいえ、より安定した雇用の実現がまだ課題といえます。半年余り先の消費税率引き上げに向けて、まだ雇用の拡大が十分かどうか、私は自信が持てないところです。

最後にどうでもいいことながら、私もその昔に統計局の担当課長として、毎月の統計公表の記者会見をやっていた経験があるんですが、今日の毎月勤労統計の公表会見なんて、ホントに針のむしろもかくや、というカンジだったのではないかと勝手に想像しています。

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