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2019年3月 9日 (土)

米国雇用統計は降雪により雇用者の伸びが急減速も労働市場の逼迫感は継続!

日本時間の昨夜、米国労働省から2月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計からわずかに+20千人増と、降雪などの気象条件悪化もあって大きく伸びが鈍化した一方で、失業率は前月から低下して3.8%を示しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の6パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy added just 20,000 jobs in February amid slowing growth, snowy weather
Hiring slowed sharply in February as employers added just 20,000 jobs amid harsh winter weather and a weakening U.S. and global economy.
That's the fewest job gains since September 2017 when employment was curtailed by major hurricanes.
The unemployment rate fell to 3.8 percent from 4 percent, the Labor Department said Friday. The partial government shutdown boosted the jobless rate in January as many federal government employees told Labor survey takers they were unemployed or on temporary leave, and so an offsetting drop was expected as those workers returned.
Economists were looking for a pullback in payroll growth last month after outsize gains in January that were inflated by unusually mild weather. Meanwhile, above- average snowfall when Labor conducted its survey in mid-February was set to reduce total employment by at least 40,000, Goldman Sachs said.
A small consolation: Job gains for December and January were revised up by a total 12,000. December's was upgraded from 222,000 to 227,000, and January's from 304,000 to 311,000.
More broadly, the U.S. economy is expected to slow this year after federal tax cuts and spending increases juiced growth in 2018. The economy grew 2.9 percent last year, the second strongest showing of the nearly 10-year-old expansion, and monthly job growth averaged a robust 223,000. But those stimulus effects are expected to fade by late this year. At the same time, the low unemployment rate is making it harder for employers to find qualified workers. Economists estimate monthly job gains will average about 170,000 in 2019.

いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ちょっとびっくりの非農業部門雇用者増の大きな鈍化でした。市場の事前コンセンサスでは、通常通りに、+170~180千人増が見込まれていたんですが、わずかに+20千人増にとどまりました。ただ、政府機関の一部閉鎖が解除されたこともあって、失業率は前月の4.0%から▲0.2%ポイント低下して3.8%となっています。+20千人増はハービーやイルマなどのハリケーン被害が大きかった2017年9月の+18千人増以来の低い伸びでした。ただし、最近の雇用統計でも天候要因による振れが大きく、今年2019年は1月が暖冬で+311千人増を記録した後、逆に2月は降雪などもあって+20千人増にとどまりました。ただ、1~2月をならしても+165千人増くらいなわけですので、2018年10~12月期には月平均で+200千人を超える増加がありましたので、今年2019年に入って雇用の伸びが鈍化しているのは事実と考えるべきです。失業率の低下も連邦政府機関の一部閉鎖の解除によるものですから、景気動向に従った失業率低下と考えるのは不適当だという気がします。2月統計の雇用者増を業種別に詳しく見ると、製造業こそ+4千人増とギリギリでプラスを維持したものの、建設業では▲31千人減を示し、小売業でも▲6.1千人減となっています。我が国は企業部門が景気の牽引をしていますが、米国では家計が景気を引っ張っており、小売業の雇用が減少するのは景気の減速ないし後退のシグナルと見なされます。従って、トランプ政権の圧力もあって、米国連邦準備制度理事会(FED)パウエル議長は、中国や欧州などの景気減速の懸念から利上げを一時停止する考えを繰り返し表明しているところですが、本格的に利上げ休止が長引く可能性も出て来たと私は受け止めています。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。雇用者像にブレーキがかかったとはいえ、米国労働市場はまだかなり逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高め、2月は前年同月比で+3.4%の上昇と、昨年2018年8月から+3%の上昇率に達して、半年以上の7か月に渡って3%台の上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いていて、利上げで物価や賃金の上昇圧力に対処すべき考えもあるとは思いますが、物価と雇用のデュアル・マンデートが異なる方向を向いており、何とも政策対応が悩ましいところです。

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