日銀「展望リポート」における成長率と物価の見通しやいかに?
昨日から開催されていた日銀の政策委員会・金融政策決定会合は本日午後終了し、「当面の金融政策運営について」および「経済・物価情勢の展望 (2019年4月)」が公表されています。前者では、フォワードガイダンスについて、これまで「当分の間」としていた現在の超低金利政策の継続について「当分の間、少なくとも 2020年春頃まで」に変更した点が注目され、また、後者では、2021年度までの政策委員の大勢見通しが明らかにされています。今夜は、ごく簡単に「展望リポート」の経済見通しのテーブルを、以下の通り、引用しておきます。
見れば明らかなんですが、一応、概観しておくと、成長率見通しは2019年度を+0.8%、2020年度を+0.9%と見込み、1月時点からそれぞれ▲0.1%ポイントずつ引き下げており、2021年度は+1.2%と見通しています。今年度と来年度の成長率見通しは、今年2019年10月の消費税率引き上げにもかかわらず、昨年度2018年度の実績見込みから大きく低下しないという形になっていますが、むしろ、2018年度の成長率が潜在成長率を下回っているからであろうと私は受け止めています。物価については、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率見通しを、2019年度は+1.1%、2020年度は+1.4%と見込み、2020年度は1月時点から▲0.1%ポイント引き下げており、2021年度も+1.6%と、相変わらず、物価安定の目標である+2%には達しない、との見通しを示しています。実は、「当面の金融政策運営について」を詳しく見ると、もっともハト派色が強いと見なされている原田委員と片岡委員がそろって反対票を投じている議案があり、物価目標に届かないのであれば、さらなる金融緩和の必要性がある、との意思表示ではないかとも見受けられます。
脚注3にありますので、あるいは繰り返しになるかもしれませんが、上のテーブルのもっとも右の列である「消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除くケース」については、消費税率引き上げにより2019年度と2020年度の消費者物価への直接的な影響をそれぞれ+0.5%ポイント、すなわち、2年度分を合わせて+1.0%ポイントと、また、教育無償化政策の影響は2019年度に▲0.3%ポイント、2020年度に▲0.4%ポイントと、機械的に算出している旨が明記されています。携帯電話料金の引き下げは政策効果ではない、ということなのだろうと私は受け止めています。
| 固定リンク
コメント