一進一退の続く商業販売統計の小売販売額の先行きやいかに?
本日、経済産業省から5月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+1.2%増の11兆9840億円、季節調整済み指数は前月比+0.3%増を記録しています。統計作成官庁である経済産業省では、小売業販売の基調判断を「一進一退」で据え置いています。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。
5月の小売販売額、1.2%増 好天で19カ月連続増加
経済産業省が27日発表した5月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比1.2%増の11兆9840億円だった。19カ月連続の増加。5月は好天に恵まれたことが寄与した。
業種別で見ると、9業種のうち7業種でプラスとなった。好天で夏物衣料を含む「織物・衣服・身の回り品」は4.1%増、「医薬品・化粧品」は31カ月連続の上昇となる4.8%増だった。原油価格の上昇を受けて、石油製品などをはじめとする「燃料」も上昇した。
大型小売店の販売額では、百貨店とスーパーの合計が0.2%減の1兆5632億円だった。既存店ベースでは0.5%減だった。売り場面積の縮小が響いた。コンビニエンスストアの販売額は2.8%増の1兆258億円で、75カ月連続の増加だった。
経産省は小売業の基調判断を5カ月連続で「一進一退」に据え置いた。
いつもながら、包括的に取りまとめられた記事だという気がします。次に、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。
ということで、今年2019年に入ってからの小売業販売額の季節調整済み系列の前月比を並べると、2019年1月に▲1.8%減とドカンと落ちた後、2月+0.4%増、3月+0.2%増、4月▲0.1%減の後、直近で利用可能な5月+0.3%増を記録し、2月以降は緩やかな増加を見せています。直近統計の5月では、季節調整していない原系列の小売業販売額の前年同月比が+1.2%増で、引用した記事にもあるように、19か月連続のプラスもさることながら、今年2019年に入ってからの消費者物価(CPI)上昇率はヘッドラインでも、生鮮食品を除くコアCPIでも+1%には達していませんから、もちろん、品目構成はビミョーに異なるんでしょうがそれを無視すれば、CPIでデフレートした実質の小売業販売額≅消費はプラス、ということになります。5月統計については、ゴールデンウィーク10連休の大部分が5月でしたから、家計の消費は休日が多ければそれなりに増加するという経験則は確かにあり、休日効果で増加という可能性が高そうに私は受け止めています。卸売業販売額が5月には前年同月比で▲4.1%減と大きく減ったのは問屋さんなどの会社が休みの一方で、小売店は営業していた可能性があります。来年2020年の5月統計を見ればより明らかになるんですが、それも気も長い話で現時点では何とも判断できません。あるいは、10月1日からの消費税率引き上げ前の駆け込み需要が始まっている可能性も考慮しましたが、自動車小売業や電気製品を含む機械器具小売業で、ひょっとしたら、自動車などの大型耐久消費財の駆け込み需要が始まっている可能性を感じます。ただし、家計による目立った消費の駆け込み需要はについては、額は小さいながらも日用品でも生じますので、足元で私にはまだ日用品の駆込み需要は体感としては感じられません。ですから、10月の消費増税までジワジワと駆け込み需要が発生する可能性があると考えています。
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