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2019年8月27日 (火)

7月統計から企業向けサービス価格指数(SPPI)の先行きをどう見るか?

本日、日銀から7月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。前年同月比上昇率で見て+0.5%を示しています。前月の+0.7%からこのところ上昇率が縮小しつつあるものの、引き続きプラスの伸びを続けています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率もヘッドラインと同じ+0.5%でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の企業向けサービス価格、前年比0.5%上昇 17年1月以来の低さ
日銀が27日発表した7月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は102.9となり、前年同月比0.5%上昇した。伸び率は4カ月連続で縮小し、17年1月(0.5%上昇)以来の低い伸びだった。
人件費の上昇圧力を反映し、全体としてはプラスの伸びが続いているものの、これまで相応の値上げを実施してきた運輸・郵便や情報通信などで値上げに一服感が出てきた。米中貿易摩擦を背景にした貿易取引の減少で、国際航空貨物輸送が前年比で大きくマイナスとなったことも指数を押し下げた。
前月比では0.1%上昇した。夏休みシーズンで航空運賃の値上がりを反映し、国内航空旅客輸送が前月比プラスとなるなど運輸・郵便が指数を押し上げた。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。

いつものように、コンパクトながら包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業向けサービス物価指数(SPPI)上昇率のグラフは以下の通りです。サービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)上昇率もプロットしてあります。なお、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は、昨年2018年10~11月には+1.4%を示していましたが、半年ほどで急速に上昇幅を縮小させ、最近では今年2019年4月が+1.0%とギリギリ+1%に達していたんですが、5月には+0.9%、6月は+0.7%、そして、直近で統計が利用可能な7月には+0.5%まで上昇幅が縮小しました。ただ、前年同月比に対する大類別の寄与度で見ると、相変わらず、人手不足の分野の影響は残っており、⅓強のウェイトを占める諸サービスがヘッドラインの+0.5%の上昇に対して+0.34%と⅔の寄与を示し、労働者派遣サービス、土木建築サービス、警備などが例示として上げられます。続いて、道路貨物輸送、鉄道貨物輸送、こん包が例示されている運輸・郵便が+0.14%の寄与と、ほぼこの2分野で+0.5%のヘッドライン上昇率を説明できてしまいます。従って、米中貿易摩擦などに起因する世界経済全般の減速による影響が需給ギャップに及んでいると考えるべきです。
さらに、前月の6月統計から今月への前年同月比の変化、すなわち、6月の+0.7%上昇から7月の+0.5%上昇への▲0.2%ポイントの上昇幅縮小を、大類別の前年同月比寄与度の前月差で見ると、不動産が▲0.05%、諸サービス▲0.03%と大きかったんですが、小類別ではインターネット広告の▲0.07%が目立っています。インターネット広告に限らず、新聞でもテレビでも、全般的に、広告は景気に対して敏感な項目であり、現在の需給ギャップとともに今後の景気動向を考える上で注目しています。

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