大きく下降したCI一致指数から景気動向指数の先行きを考える!
本日、内閣府から6月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲1.6ポイント下降して93.3を、CI一致指数も▲3.0ポイント下降して100.4を、それぞれ記録し、基調判断は「下げ止まり」に据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
6月の景気一致指数、前月比3.0ポイント低下 5年2カ月ぶりの下げ幅
内閣府が6日発表した6月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比3.0ポイント低下の100.4と3カ月ぶりに下落に転じた。2014年4月以来5年2カ月ぶりの大きな下げ幅だった。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「下げ止まりを示している」に据え置いた。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のすべてが指数のマイナスに働いた。10連休があった5月は季節調整の関係で生産関連の統計が強めだった反動が出た。主に自動車工業が不調で「生産指数(鉱工業)」「鉱工業用生産財出荷指数」「耐久消費財出荷指数」などが低下に影響した。フラットパネルディスプレーなどの資本財を含む「投資財出荷指数」も不調だった。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比1.6ポイント下落の93.3で、2カ月連続で下落した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は2カ月ぶりの低下となる104.1(同0.4ポイント低下)だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面がビミョーな時期に入りましたので、かなり熱心に取材したのかインタビュー結果も多く、通常の月に比べてとても長い記事になっています。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

景気動向指数のうちの特にCI一致指数は鉱工業生産指数(IIP)との連動性が高い点はかねてより主張されていますが、6月統計でもその結果が確かめられたような気がします。繰り返しになりますが、CI一致指数は前月から▲3.0ポイントの下降を示しており、速報時点で利用可能なCI一致指数のコンポーネントはほぼほぼ下降となっています。CIはDIと違ってボリューム感も表現できる指標ですから、大幅な下降は景気の動向も大きく低下していることを意味する可能性があります。CI一致指数のコンポーネントのうち、マイナスの寄与度が大きい系列は、順に、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、投資財出荷指数(除輸送機械)、鉱工業用生産財出荷指数、有効求人倍率(除学卒)、などとなっています。ですから、鉱工業生産指数(IIP)に整合的な形で、6月のCI一致指数は大きく下降することは早くから予想されており、例えば、第一生命経済研のリポートなどでも指摘されていたところです。本日公表された6月統計の大きな下降で、3か月後方移動平均も一気にマイナスとなりましたので、この先2か月が連続で3か月後方移動平均マイナスを記録すれば、基調判断が再び「悪化」に逆戻りする可能性があります。ただ、私自身は可能性としてそうだというだけであり、10月からの消費税率引き上げを前に駆け込み需要があるでしょうから、7~8月のCI一致指数が連続してマイナスというのは考えにくいと受け止めています。ただ、繰り返しになりますが、あくまで可能性ながら、最短で8月統計公表時に「悪化」に逆戻りする可能性は否定できません。
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