長期経済予測はやっぱり不正確か?
先週、国際通貨基金(IMF)の短期見通しである「世界経済見通し」World Economic Outlook を、また、ニッセイ基礎研による「中期経済見通し (2019-2029年度)」を、それぞれ連続で取り上げましたが、経済産業研究所から「長期経済予測の不確実性」と題した学術論文が公表されています。森川副所長のご執筆となっています。サマリは以下の通りです。
概要
本稿は、経済学者・エコノミストの長期的なマクロ経済予測の精度を事後評価する。分析結果によれば、①経済成長率や物価上昇率の長期予測には上方バイアスが存在し、特に名目GDP成長率予測で顕著である。②TFP上昇率と実質GDP成長率の予測値の間、CPI上昇率と名目GDP成長率の予測値の間には密接な正の関係があり、結果として各変数の予測誤差相互間にも同様の関係がある。③民間エコノミストに比べて経済学者の長期的なGDP成長率予測は上方バイアスが小さい。しかし、マクロ経済学や経済成長論を専門分野とする人の成長率予測は、他の分野を専門とする人に比べて上方バイアスが大きい。経済分析の専門家にとっても、長期経済予測には大きな不確実性があることを示している。
私自身も、経済の見方については自分でも「楽観的」だと自覚しているんですが、多くのエコノミストが楽観バイアスを持っているようです。昨日のラグビーと同じで、私は代表的なバイアスを持つエコノミストだったのかもしれません。下のグラフは「長期経済予測の不確実性」の論文 p.15 から、 図1 GDP成長率の予測誤差の分布 と 図2 物価上昇率の予測誤差の分布 を引用しています。明記はしていないんですが、カーネル密度関数の推計結果ではないかと思います。楽観バイアスがよく理解できるんではないでしょうか。なお、ピークは複数あるのは、これは明記してある通り、1%とか、0.5%刻みくらいのキリのいい数字を回答した人が多いことを反映している可能性があります。
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