「悪化」の基調判断が続く景気動向指数ながら、経済対策による財政出動に期待!
本日、内閣府から9月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月から+0.3ポイント上昇して92.2を、CI一致指数も+2.0ポイント上昇して101.0を、それぞれ記録し、前月に続いて「悪化」に据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
9月の景気一致指数、2.0ポイント上昇 基調判断は「悪化」据え置き
内閣府が8日発表した9月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.0ポイント上昇の101.0と2カ月ぶりに上昇した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「悪化」で据え置いた。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち5系列が指数のプラスに寄与した。自動車や医薬品などに消費増税前の駆け込み需要が膨らみ「商業販売額(小売業)」や「商業販売額(卸売業)」などが伸びた。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.3ポイント上昇の92.2となった。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は前月比1.8ポイント低下の102.9だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

先行指数、一致指数とも2か月ぶりに前月差でプラスとなっています。一致指数の系列ごとに寄与度をみると、商業販売額(小売業)(前年同月比) +0.83、投資財出荷指数(除輸送機械) +0.75、商業販売額(卸売業)(前年同月比) +0.65、 などとなっており、前月差の+2.0ポイントはかなり大きいように見えるんですが、実は、商業販売統計に現れた消費税率引き上げ直前の駆け込み需要に起因する上振れが大きいと考えるべきです。9月当月の前月差がプラスであるにもかかわらず、基調判断が「悪化」に据え置かれているのは、後方7か月移動平均がマイナスを続けているためであり、来月のCI一致指数がもしも駆け込み需要に対する反動減の影響でマイナスを示せば、3か月連続での「悪化」ということになる可能性もあります。私自身は日経新聞のサイトを見ましたが、今朝の閣議で安倍総理大臣から3年振りの経済対策策定の指示が出されたと報じられています。「財政支出は5兆円規模」という報道もありますが、too little too late と評価されないような対策が必要です。2012年暮れに安倍内閣が発足して以来、当初の2012~13年度を別にすれば、経済運営は日銀の金融政策の比重が高く、財政政策は緊縮気味に運営されてきただけに、私は反緊縮の機運はかなり盛り上がっているように感じています。

最後に、例の統計不正から長らく取り上げるのを差し控えていた厚生労働省の毎月勤労統計の9月速報が公表されています。統計のヘッドラインとなる名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.8%増の56万7151円となっています。グラフは上のパネルから順に、景気に敏感な所定外労働時間指数の季節調整済みの系列、真ん中のパネルが季節調整していない原系列の現金給与指数と決まって支給する給与、一番下が季節調整済みの系列の現金給与指数と決まって支給する給与となっています。影をつけた期間はいずれも景気後退期を示しています。下2枚の賃金のグラフで、昨年2018年12月から今年2019年1月にかけて大きな段差が生じているのは、例の統計不正によるものですが、久し振りに書いてみると、どうしようもなく所定外労働時間のグラフがヘンに見えるのは私だけでしょうか。
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