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2019年11月13日 (水)

企業物価(PPI)の国内物価上昇率は消費税率引上げでもマイナス!!!

本日、日銀から10月の企業物価 (PPI) が公表されています。PPIのヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲0.4%の下落と、6月統計で前年同月比上昇率がマイナスに転じてから、今日発表の10月統計まで5か月連続でマイナスが続いています。何と、消費税率が引き上げられたにもかかわらず、前年同月比でマイナスが続いているわけで、消費税率引上げの影響を除くベースでは▲1.9%の下落と試算されています。9月は▲1.1%の下落でしたから、一段と下落幅を拡大していることになります。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の企業物価指数、前年比0.4%下落 薬価改定などで
日銀が13日発表した10月の企業物価指数(2015年平均=100)は102.0と、前年同月比で0.4%下落した。5カ月連続で下落した。前月比でみると1.1%上昇した。電力料金や薬価の改定などの制度的な価格の引き下げが全体を押し下げた。
円ベースでの輸出物価は前年比で6.3%下落し、6カ月連続のマイナスとなった。前月比では0.3%上昇した。輸入物価は前年比10.5%下落し、6カ月連続のマイナスとなった。前月比では0.7%上昇した。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。公表している744品目のうち、消費税を含むベースで前年から上昇したのは520品目、下落したのは213品目だった。上昇と下落の品目差は307と、9月の確報値(74品目)から233品目増えた。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。10月の消費増税の影響を除いたベースでの企業物価指数は前年同月比で1.9%下落した。5カ月連続で前年を下回った。前月比でも0.4%下落した。2カ月ぶりに下落に転じた。
消費税を除くと上昇が328品目、下落が340品目で、品目差はマイナス12品目だった。下落品目数が上昇品目数を上回るのは2017年3月以来、2年7カ月ぶり。
10月は夏季電力料金の期間が終了したほか、薬価改定で医薬品の価格が引き下げられる影響があった。日銀の調査統計局は10月の企業物価の基調について「制度的な要因が中心で、消費増税の影響はみられない」としている。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは下の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

photo

季節調整していないながら、国内物価指数の前月比は流石に消費税率引上げの影響もあって+1.1%の上昇を記録しており、寄与度で見て、輸送機械+0.26%、鉄鋼+0.12%、電気機器+0.11%などのプラス寄与が大きくなっています。国内物価指数の前年同月比では、相変わらず、石油・石炭製品が▲14.1%の下落と9月の▲11.9%から下げ幅が拡大しています。私が調べた範囲で、企業物価指数(PPI)のうちの輸入物価の円建て原油価格指数は、昨年2018年のピークが11月の142.5でしたから、このところ、今年2019年6月以降の100~110で11月も落ち着いた動きをするとすれば、次の11月統計でPPI輸入物価に現れる原油価格の前年同月比は底を打つ可能性が高いと考えられます。でも、サウジアラビアの石油施設への武力攻撃など、エコノミストには想像もできないような地政学的な何かが起こる可能性も排除できませんし、何よりも相場モノですので、先行きの価格動向は私の予想の範囲を超えています。また、国内物価指数で前年同月比の下落の大きい化学製品▲4.3%や非鉄金属▲4.5%などは、米中貿易摩擦の一方の当事者であり、ダメージが大きい方といわれている中国の景気動向に連動する部分が大きいと見なされているわけで、国際商品市況における石油価格とともに中国の景気動向にも物価が反応すると考えるべきです。ひょっとしたら、日銀金融政策よりもこういった対外要因の方が影響力大きいかもしれません。企業物価(PPI)の先行きについて考えると、少なくとも11月統計までは石油価格下落の影響が続くことは容易に想像できますし、加えて、中国をはじめとする世界経済の動向や国内景気も含めて、物価が上昇に転ずるタイミングを図るのは難しそうです。

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