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2019年11月 1日 (金)

本日公表の雇用統計から景気悪化の兆しはどこまで読み取れるか?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも9月の統計です。失業率は前月から0.2%ポイント上昇して2.4%、有効求人倍率も前月から▲0.02ポイント低下して1.57倍と、いずれもタイトな雇用環境がうかがえるものの、指標は雇用の悪化を示し始めているように見受けられます。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインをコンパクトに報じている記事を引用すると以下の通りです。

求人倍率1.57倍、失業率2.4% 9月の雇用指標が悪化
厚生労働省が1日に発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント低下し、1.57倍だった。全体では堅調な雇用情勢が続くものの、米中貿易戦争の影響を受けた製造業などで陰りが出ている。総務省が同日発表した9月の完全失業率(同)は前月比0.2ポイント上昇し2.4%となった。新たに職探しをする人が増え4カ月ぶりに悪化した。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。正社員の有効求人倍率は0.01ポイント低下の1.13倍、雇用の先行指標となる新規求人倍率は0.17ポイント低下の2.28倍で、前月より悪化した。
新規求人数は前年同月比1.5%減の91万7174人だった。産業別でみると製造業が前年同月比11%減と、8カ月連続で減少した。サービス業や卸売・小売業なども減少が続いた。
完全失業者数は同6万人増の168万人だった。新規の求職者が5万人増えた。就業者数は53万人増の6768万人。ただ、正社員が9万人減の3481万人と2カ月連続で減少した。インターネット直販の浸透などで卸売・小売業の販売が落ち込んでおり、正社員が27万人減った影響が大きい。

いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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失業率は2%台前半まで低下し、有効求人倍率も1.5倍超の高い水準を続けています。加えて、グラフはありませんが、正社員の有効求人倍率も1倍超を記録し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ2年余りに渡って1倍以上の水準で推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も低い水準にあることから、雇用はかなり完全雇用に近いタイトな状態にあると私は受け止めています。ただ、問題はモメンタム、すなわち、方向性であって、失業率も有効求人倍率も雇用悪化の方向にあることは確かです。もっとも、雇用は生産の派生需要であり、生産が鉱工業生産指数(IIP)で代理されるとすれば、基調判断は「弱含み」であり、先行き、現在の景気回復・拡大が賃金上昇に直結するかどうかはビミョーなところであり、賃金が本格的に上昇する前に景気局面が転換してしまう可能性も排除できません。
また、マインド指標についても、昨日10月31日に取り上げた消費者態度指数の4つのコンポーネントのうち、「雇用環境」だけが前月差でマイナスでしたし、企業マインドでは、中小企業の代表的な景況感である日本政策金融公庫の中小企業景況調査についても、一昨日10月29日公表の「中小企業景況調査 (2019年10月調査)」の結果にも見られる通り、今年2019年に入ってから従業員判断DIが急速な勢いで低下し、中小企業で人手不足感が大きく縮小し始めています。まだDIそのものはプラスで人手不足感の方が大きいんですが、1990年代前半のバブル経済崩壊後はいうに及ばず、サブプライム・バブル崩壊後の景気後退局面でも、雇用が急速に悪化したのを忘れるべきではありません。

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