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2019年12月30日 (月)

本年最後の読書感想文でジャレド・ダイアモンド『危機と人類』を読む!

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先週借りておいたジャレド・ダイアモンド『危機と人類』上下(日本経済新聞出版社) を読みました。隣国ソ連に侵攻された1930~40年代のフィンランド、江戸末期にペリー来航などで欧米列強から開国を迫られた日本、世界で初めて選挙によって社会主義アジェンデ政権が誕生した後に軍事クーデターとピノチェトの独裁政権に苦しんだチリ、クーデター失敗と大量虐殺を経験したインドネシア、東西分断とナチスの負の遺産に向き合ったドイツ、白豪主義の放棄とナショナル・アイデンティティの危機に直面したオーストラリア、の6カ国を題材にしたケーススタディです。先月は本書の出版宣伝なのかどうか知りませんが、来日公演会の開催などがあったようです。私の目から見て、かなり著者の専門分野から外れた問題意識を展開しているような気がして、どこまで信頼感を持って読み進めばいいのか不安だったんですが、さすがに、それなりの仕上がりにはなっています。米国まで含めても、せいぜいが200年間の7か国が対象ですし、著者の12項目のクライテリアをもってしても、結論を一般化するのはとても難しい気がしますが、さすがに、エピローグで著者ご自身がナラティブで定性的な議論の展開から、定量的な手法の導入をいわざるを得なくなっていたりします。評価項目の7番目に公正な自己評価というのがありますが、要するに、自分自身あるいは自国を客観的に評価するということだろうと私は理解していて、これがもっとも難しいのだろうと想像します。もうひとつ難しいのは、本書には現れませんが、評価関数の設定です。経済学では、トレードオフという概念があって、要するに、コチラを立てればアチラが立たず、という相反する2つの目標があったりします。そこまでいかなくても、リソースの不足から2つ以上の複数の目標達成は困難で、プライオリティに従ったリソース配分を必要とする場合も少なくありません。いずれにせよ、第3部第10章の日米が直面する高齢化や政治的分裂といった危機に加えて、最後のエピローグ前の第3部第11章に示された危機意識、すなわち、人類全体の危機として核、気候変動、エネルギー、格差が指摘されていて、本書の問題意識はそれなりに重要だと直感的には私なりに理解するんですが、失礼ながら、単なる無責任な問題意識の表明であればともかく、著者ご自身にどこまで解決策を示す能力があるのかどうか、言葉を変えれば、どこまで行っても著者には結論を出せない問題に入り込むような不安が残ります。

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