来年2020年半ばくらいまでの短期経済見通しやいかに?
先週12月9日に内閣府から公表された本年7~9月期GDP統計速報2次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから来年度2020年度末くらいまでの短期経済見通しがボチボチと明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、2020年暦年上半期の東京オリンピック前くらいまで取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 2019/7-9 | 2019/10-12 | 2020/1-3 | 2020/4-6 | FY2019 |
actual | forecast | ||||
日本経済研究センター | +0.4 (+1.8) | ▲1.5 | +0.2 | +0.5 | +0.6 |
日本総研 | (▲3.7) | (+0.9) | (+2.3) | +0.9 | |
大和総研 | (▲3.8) | (+1.1) | (+1.2) | +0.9 | |
みずほ総研 | ▲1.2 (▲4.8) | +0.4 (+1.4) | +0.3 (+1.4) | +0.8 | |
ニッセイ基礎研 | ▲1.0 (▲4.0) | +0.1 (+0.4) | +0.5 (+1.8) | +0.8 | |
第一生命経済研 | ▲1.0 (▲3.9) | +0.2 (+0.7) | +0.2 (+0.7) | +0.8 | |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ▲0.9 (▲3.6) | +0.5 (+2.2) | +0.3 (+1.1) | +1.0 | |
SMBC日興証券 | ▲1.1 (▲4.1) | +0.4 (+1.8) | +0.5 (+2.2) | +0.9 | |
農林中金総研 | ▲0.5 (▲2.0) | ▲0.3 (▲1.2) | +0.2 (+1.0) | +1.0 | |
東レ経営研 | ▲1.1 | +0.2 | +0.3 | +0.8 |
一番右の列の2019年度成長率は前年度比そのままですが、四半期成長率については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。2019年7~9月期までは昨日内閣府から公表された2次QEに基づく実績値、10~12月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、日本経済研究センターのリポートでは前期比しか出されておらず、逆に、日本総研と大和総研では前期比年率の成長率のみ利用可能でしたので、不明の計数は省略しています。ということで、見れば明らかなんですが、10月の消費税率の引上げの後の動向については、足元の10~12月期はすべての機関でマイナス成長を見込んでいます。
もうひとつの観点は、消費税率引き上げのショックがどの程度長引くかで、多くの機関はマイナス成長は10~12月期の1四半期だけで、来年2020年1~3月期にはプラス成長に回帰すると見込んでいます。この点の少数意見は農林中金総研であり、2020年1~3月期までマイナス成長が2四半期連続で継続すると見込んでいます。ただ、上のテーブルを見ても明らかな通り、2四半期連続のマイナス成長とはいえ、他のシンクタンクが1四半期に大きなマイナス成長で調整速度速く回復に向かうと見ているところ、農林中金総研だけは他のシンクタンクと比較して小幅のマイナス成長が2四半期続く、と見ているように私は解釈しています。調整続度の違いだけなのかもしれませんし、加えて、農林中金総研のリポートでも2020年4~6月期にはプラス成長に回帰すると予測しています。ただし、もしも、農林中金総研の見通しが正しければ、世間では2四半期連続のマイナス成長でテクニカルな景気後退局面入りのシグナルと受け取る可能性がないでもありませんし、マインドに悪影響を及ぼす可能性は否定できませんが、まあ、2020年に入れば、東京オリンピック・パラリンピックの経済効果などもあって、それほど長くマイナス成長は続かないとの見方が多いように私は受け止めています。
なお、私の想像の限りで、三菱総研は年度ベースの短期経済見通しをひとまず出し、その後、四半期ベースの計数を調えるんだろうと思わないでもないんですが、上のテーブルには収録できませんでした。よほど、突飛なものが出ない限り、上のテーブルをアップデートしたり、引き続き短期見通しをフォローするつもりはありません。悪しからず。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のサイトから引用しています。
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