1次QE後の短期見通しやいかに?
先週2月17日に内閣府から公表された昨年10~12月期GDP統計速報1次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから短期経済見通しがボチボチと明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、2020年半ばのの東京オリンピックの後、今年2020年いっぱいくらいまで取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 2019/10-12 | 2020/1-3 | 2020/4-6 | 2020/7-9 | 2020/10-12 |
actual | forecast | ||||
日本経済研究センター | ▲1.6 (▲6.3) | ▲0.2 (▲0.7) | +0.5 (+1.9) | +0.7 (+2.6) | +0.3 (+1.0) |
日本総研 | (+1.8) | (+2.4) | (+2.3) | (+1.2) | |
大和総研 | +0.3 (+1.3) | +0.6 (+2.6) | +0.3 (+1.0) | +0.2 (+0.9) | |
みずほ総研 | +0.2 (+1.0) | +0.3 (+1.3) | +0.3 (+1.4) | +0.5 (+2.1) | |
ニッセイ基礎研 | ▲0.3 (▲1.0) | +0.7 (+2.9) | +0.5 (+2.2) | +0.2 (+0.8) | |
第一生命経済研 | ▲0.3 (▲1.3) | +0.2 (+1.1) | +0.7 (+2.7) | +0.5 (+2.0) | |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +0.2 (+0.8) | +0.3 (+1.1) | +0.5 (+2.0) | +0.2 (+0.5) | |
三菱総研 | +0.2 (+1.0) | +0.4 (+1.5) | +0.4 (+1.7) | +0.1 (+0.6) | |
SMBC日興証券 | +0.5 (+2.1) | +0.5 (+2.2) | +0.6 (+2.3) | +0.2 (+0.7) | |
農林中金総研 | ▲0.0 (▲0.0) | +0.2 (+0.9) | +1.0 (+4.0) | ▲0.1 (▲0.3) | |
東レ経営研 | ▲0.4 | +0.3 | +0.6 | +0.5 |
各列の計数については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。2019年10~12月期までは内閣府から公表された1次QEに基づく実績値、今年2020年1~3月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、日本経済研究センターのリポートでは前期比年率の成長率しか出されておらず、逆に、東レ経営研では前期比の成長率のみ利用可能でしたので、不明の計数は省略しています。ということで、見れば明らかなんですが、10月の消費税率の引上げの後の動向については、足元の1~3月期はマイナス成長予測とプラス成長予測が拮抗している一方で、目先の4~6月期はすべての機関がプラス成長回帰を予想しています。また、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの経済効果などがありますが、最終四半期の10~12月期には息切れを見込む向きも少なくないように私は受け止めています。
我が国景気に対する私の基本的な見方は、足元の2020年1~3月期もマイナス成長を記録し、テクニカルな景気後退シグナルが発せられるとともに、景気動向指数などの指標を見るにつけ、2018年10~12月期を景気の山として、すでに我が国は景気後退局面に入っているのではないか、というものです。直近のCI一致指数のピークは2017年12月であり、鉱工業生産指数(IIP)で見ると2018年10月です。2019年3月に定年退職した私のそのあたりまでの景気の実感として、このIIPのピークの2018年10月あたりが景気の山と考えるべきではないか、という気がしています。それにしては、景気後退の落ち方のスロープが緩やかなんですが、人手不足を背景とした雇用が国民生活の安定を支えたことに加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要、さらに、緩和の続く金融政策が経済活動を下支えしている、といったあたりが理由と考えられます。ただ、何としても不透明な要因として、新型コロナウィルスによる肺炎の流行があります。多くのシンクタンクなどの見通しでは、4~6月期に終息し、年央は東京オリンピック・パラリンピックで景気も盛り上がり、年末にかけて息切れする、というのが基本シナリオなんですが、極論としては、ロンドンが東京の代替案として浮上しているように、新型コロナウィルスが猖獗を極めて東京でのオリンピック・パラリンピックの開催がそもそも不可能となり、一気に景気が奈落の底に突き落とされる、という可能性もゼロではありません。まあ、限りなくゼロに近いとは思いますし、東京で新型コロナウィルスが猛威を振るえば、おそらく、私の引越し先である関西方面ではもっと大規模なパンデミックに陥っている可能性が高いわけですから、何としても避けたいシナリオであることは間違いありません。
最後に、下のグラフは、ニッセイ基礎研のリポートから引用しています。実質GDP成長率の推移(四半期)です。
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