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2020年2月28日 (金)

新型コロナウィルスの影響で先行き不透明な鉱工業生産指数(IIP)と商業販売統計と雇用統計!!!

本日は月末閣議日ということで、重要な政府統計がいくつか公表されています。すなわち、経済産業省から鉱工業生産指数(IIP)商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。いずれも1月の統計です。鉱工業生産指数(IIP)は季節調整済みの系列で見て、前月から+0.8%の増産を示し、商業販売統計のヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲0.4%減の11兆7890億円、季節調整済み指数は前月から+0.6%増を記録しています。雇用統計では、失業率は前月とから+0.2%ポイント上昇して2.4%、有効求人倍率は前月から▲0.08ポイント低下して1.49倍と、いずれもタイトながら雇用は悪化のモメンタムが続いているように見受けられます。まず、日経新聞のサイトから関連する記事を引用すると以下の通りです。

鉱工業生産0.8%上昇 1月、輸出品は低調
経済産業省が28日発表した1月の鉱工業生産指数速報(2015年=100、季節調整済み)は99.6と前月比0.8%上昇した。自動車などの生産が増え、2カ月連続で伸びた。ただ半導体関連などの輸出品目は低調で、19年10~11月の大幅な低下からの戻りは鈍い。2~3月も新型コロナウイルスの影響で生産計画よりも下振れする可能性が高まっている。
1月の上昇率はQUICKがまとめた民間予測の中央値(0.2%上昇)より大きかった。業種別にみると、15業種中8業種が上昇した。上昇への寄与が最も大きかったのが自動車で前月比5.5%増えた。国内・海外向けともに増産となった。一方、半導体製造装置などの生産用機械は3.4%減、汎用・業務用機械も2.8%減となった。海外向けの生産は低調だった。
1月まで2カ月連続の上昇になったとはいえ、19年10~11月に大きく低下してからの戻りは限定的だ。経産省は「足元は上昇が続いたものの勢いは感じられない」との見方を示した。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査によると、2月は前月比5.3%の上昇、3月は6.9%の低下と見込む。経産省は基調判断を前月までの「弱含み」から「一進一退ながら弱含み」に変更した。ただ調査は2月上旬時点で、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は織り込まれていない。経産省は今後について「下振れする可能性がある」としている。
小売販売額、1月0.4%減 先行きは新型コロナ警戒感
経済産業省が28日発表した1月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比0.4%減の11兆7890億円だった。マイナス幅は前の月の2.6%から縮小し、昨年10月の消費税率引き上げの影響は和らぎつつある。ただ2月以降は新型コロナウイルスの影響が出ており、経産省は「百貨店などを中心に大きな落ち込みが予想される」とみている。
減少は消費税率を引き上げた昨年10月以降4カ月連続。自動車小売業が1.7%減と引き続き不振で、全体の重荷となった。1月は例年に比べて記録的な暖冬となり、冬物衣料やエアコンの販売も伸びなかった。
業態別にみると、百貨店が前年同月比3.2%減、スーパーマーケットが0.8%減だった。どちらも暖冬で主力の衣料品の販売が不調だった。
一方、1月は家電大型専門店の販売額が0.1%増となり、増税以来初めてプラスに転じた。パソコンや大型テレビ、レコーダーの販売が好調だった。
2月以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が最大の焦点となる。経産省のヒアリングでは「2月に入って訪日外国人客が来ない」「マスクを売りたくても商品がない」などの声が聞かれたという。1月時点では、ドラッグストアでマスクやウイルス除去製品の販売が増えるといった影響にとどまっていた。
求人倍率の大幅低下、製造業の生産低迷が影 1月1.49倍
堅調だった雇用情勢に変調の兆しが出始めた。厚生労働省が28日発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.08ポイント下がり、1.49倍だった。企業の新規求人数が前年同月に比べ16%減った。同省は「求人票の記載項目を拡充した影響が出た」とみるが、製造業で契約社員のライン工が減るなど生産低迷が影を落としており、情勢判断を下方修正した。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。1.50倍を下回るのは2017年5月以来だ。0.08ポイントの低下は公表時ベースで09年2月以来。正社員の有効求人倍率は1.07倍で前月から0.06ポイント低下した。
厚労省は雇用情勢について「改善が進む中、求人が求職を大幅に上回っている」とした。前月までは「着実に改善」としており、今回から「着実」を削除した。判断の下方修正は7年3カ月ぶり。
雇用の先行指標となる新規求人は主要産業全てで減った。特に落ち込みが大きいのは製造業で26.1%減だ。宿泊・飲食サービス業も20.6%減った。
厚労省は1月から企業の出す求人票に昇給や賞与制度の有無などを記載するよう拡充した。19年12月に「駆け込み求人があり、20年1月に反動減が起きた」と説明する。同省は、求人票見直しで有効求人倍率を0.05~0.06ポイント押し下げたと試算する。
ただ有効求人倍率の低下は2月も続く可能性がある。新型コロナウイルスによる中国人の旅行者の減少などに関連して「ハローワークや労働局に観光業や製造業から相談が来ており、今後を注視する」(厚労省幹部)。
総務省が合わせて発表した完全失業率(季節調整値)は2.4%で0.2ポイント上昇した。転職のための自発的な離職が増えた。

いくつかの統計を取り上げていますので長くなりましたが、いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上のパネルは2015年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下は輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、生産は2か月連続の増産となり、前月比で+0.8%増でしたから、ややこれを上回りましたが、レンジの上限は+1.4%増でしたので、まあ、予想の範囲内ということなのかもしれません。上のグラフの通りに、一見したところV字回復に見えなくもないんですが、生産の先行きは新型コロナウィルス次第ということで、まったく不透明です。マスクについては、電機メーカーのシャープが生産に乗り出すとか、増産の勢いが強いものの、これは例外的な見立てになりますし、一般的には、需要サイドからも供給サイドからも新型コロナウィルスは生産にはマイナスの影響としか考えられません。製造工業生産予測指数によると2020年2月は前月比+5.3%の増産の後、3月は▲6.9%の減産となっていて、2月の補正値試算後の生産指数は+2.0%の増産となっていますが、調査期日が2月10日であり、新型コロナウィルスの影響については十分に織り込まれていないおそれが強く、2~3月は予測調査から下振れする公算が大きいと考えるべきであり、1~3月期は3四半期連続の減産の高3が高くなっていると私は受け止めています。

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続いて、商業販売統計のグラフは上の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。消費の代理変数となる小売販売額を見ると、消費税率引上げの当月だった10月の前年同月比▲7.0%減から、11月は▲2.1%減、12月▲2.6%減から、今年2020年1月は▲0.4%減まで、着実にマイナス幅は縮小しました。前回2014年4月の消費税率引上げ後の動向を振り返ると、引上げ当月の4月▲4.3%減、5月▲0.4%減、6月▲0.6%減と、3か月連続マイナスを記録したものの、7月は+0.6%増とプラスに回帰しています。今回の消費税率引上げのダメージは前回の引上げ幅より小さいにもかかわらず、景気局面の違いなどから少し長引いているのかもしれません。

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続いて、いつもの雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた期間は景気後退期を示しています。ということで、失業率は2%台前半まで低下し、有効求人倍率もほぼ1.5倍くらいの高い水準を続けています。加えて、グラフはありませんが、正社員の有効求人倍率も1倍超を記録し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ2年半に渡って1倍以上の水準で推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も低い水準にあることから、雇用はかなり完全雇用に近いタイトな状態にあると私は受け止めています。ただ、モメンタム、すなわち、方向性については、失業率も有効求人倍率も、そして、特に先行指標である新規求人数を見れば、ジワジワと雇用改善が停滞する方向にあることは確かです。何度もこのブログで繰り返して表明してきましたが、本格的な景気後退局面に入れば、雇用は急速に悪化するおそれがあります。「人口減少で人手不足」なんてステレオタイプの見方は吹っ飛ぶ可能性がありますので十分な注意が必要です。

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