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2020年3月 9日 (月)

下方修正された10-12月期GDP統計2次QEから現在の景気局面を考える!!!

本日、内閣府から昨年2019年10~12月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は▲1.8%、年率では▲7.1%と消費税率引上げ直後の反動を受け、大きなマイナスを記録しています。新型コロナウィルスの感染拡大前から、日本経済が消費税率引上げなどを契機に停滞に入っていたということが明らかになりました。1次QEからも下方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

19年10-12月期GDP改定値、年率7.1%減に下方修正
内閣府が9日発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算では7.1%減だった。速報値(前期比1.6%減、年率6.3%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。
QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比1.7%減、年率6.6%減となっており、速報値から下振れすると見込まれていた。
生活実感に近い名目GDPは前期比1.5%減(速報値は1.2%減)、年率は5.8%減(同4.9%減)だった。
実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比2.8%減(同2.9%減)、住宅投資は2.5%減(同2.7%減)、設備投資は4.6%減(同3.7%減)、公共投資は0.7%増(同1.1%増)。民間在庫の寄与度はプラス0.0%(同プラス0.1%)だった。
実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス2.3%(同マイナス2.1%)、輸出から輸入を引いた外需はプラス0.5%分(同プラス0.5%)だった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてプラス1.2%(同プラス1.3%)だった。
10~12月期は世界経済の減速が尾を引き、消費税率の引き上げもあった。財務省が2日発表した法人企業統計によると、全産業(金融・保険業を除く)の設備投資は前年同期比3.5%減で、16年7~9月期以来13四半期ぶりのマイナス。これまで設備投資をけん引してきた非製造業も13四半期ぶりのマイナスに転じていた。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2018/10-122019/1-32019/4-62019/7-92019/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.6+0.5+0.0+0.0▲1.6▲1.8
民間消費+0.4+0.0+0.6+0.5▲2.9▲2.8
民間住宅+1.7+1.5▲0.2+1.2▲2.7▲2.5
民間設備+4.4▲0.4+0.8+0.2▲3.7▲4.6
民間在庫 *(+0.0)(+0.1)(▲0.0)(▲0.2)(+0.1)(+0.0)
公的需要+0.3+0.1+1.7+0.8+0.4+0.3
内需寄与度 *(+1.0)(+0.1)(+0.8)(+0.3)(▲2.1)(▲2.3)
外需寄与度 *(▲0.4)(+0.5)(▲0.3)(▲0.3)(+0.5)(+0.5)
輸出+1.6▲1.9+0.4▲0.7▲0.1▲0.1
輸入+4.3▲4.3+2.0+0.7▲2.6▲2.7
国内総所得 (GDI)+0.4+0.9+0.5+0.2▲1.5▲1.7
国民総所得 (GNI)+0.6+0.7+0.6+0.2▲1.6▲1.8
名目GDP+0.2+1.1+0.6+0.4▲1.2▲1.5
雇用者報酬+0.5+0.5+0.8▲0.4▲0.3▲0.4
GDPデフレータ▲0.6+0.1+0.4+0.6+1.3+1.2
内需デフレータ+0.2+0.3+0.4+0.2+0.7+0.7

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された昨年2019年10~12月期の最新データでは、前期比成長率が大きなマイナス成長を示し、需要項目別寄与度では、赤の消費と水色の設備投資がマイナスの寄与を示している一方で、黒の外需(純輸出)がプラスの寄与となっているのが見て取れます。

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>まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスが中央値で前期比▲1.7%、年率▲6.6%でしたし、レンジ内に入っていますし、予想された範囲のマイナス成長、と見えます。もっとも、このGDP統計を見て、新型コロナウィルスの感染拡大前から、日本経済が消費税率引上げなどを契機に停滞に入っていたということが明らかになりました。足元の2020年1~3月期も消費税率引上げの反動減の影響は和らぐ一方で、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響からマイナス成長はほぼほぼ確実であり、2四半期連続のマイナス成長という形で、テクニカルな景気後退シグナルが明らかになるだけでなく、私をはじめとする一定数のエコノミストは2018年10~12月期を山として日本経済はすでに景気後退局面に入っている、という見方も徐々に広まるような気がします。上のテーブルを見ても、GDP需要項目ほぼほぼすべてで前期比マイナスを記録しています。例外は公的需要だけですが、まさに、こういった景気局面こそ政府支出による景気の下支えが必要です。また、ややトリッキーな現象ながら、輸出入ともに減少する中で、輸入の減少の方が大きいために外需寄与度がプラスを示しています。消費税率引上げなどの国内要因に基づく景気停滞ですので、外需に依存する景気拡大はアリだと私は考えています、というか、ある意味で必要かもしれません。先行きの日本経済については、COVID-19の感染拡大の終息次第なんでしょうが、年央の東京オリンピク・パラリンピックに向けた需要の盛り上がりは見込めるものの、COVID-19の感染拡大が想定外に大きく進めば、オリンピック・パラリンピックの中止や延期も可能性がゼロとはいい切れず、何とも不透明であることはいうまでもありません。また、COVID-19の影響は国内での需要停滞とともに、海外、特に中国を含むサプライ・チェーンの断絶という形で現れる可能性高く、中国人観光客のインバウンド消費という需要サイドからの影響だけではなく、供給サイドから企業活動に影響を及ぼす可能性もあります。加えて、企業活動に伴う需要サイドの設備投資の抑制だけでなく、雇用者所得の抑制につながれば家計の消費の回復にも水を差しかねません。繰り返しになりますが、何とも先行きは不透明です。ただ、私は何ら根拠なく、4~6月期にはCOVID-19の感染拡大は終息するんではないか、と見込んでいたりします。

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GDP統計のほか、本日は、内閣府から2月の景気ウォッチャーが、また、財務省から1月の経常収支も、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲14.5ポイント低下の27.4を、先行き判断DIも▲17.2ポイント低下の24.6を、それぞれ記録しています。ここまで大きな低下は2011年3月の東日本大震災以来ではないかと思います。おそらく、水準の低さも同じだという気がします。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+6,123億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。なお、景気ウォッチャーのグラフで影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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