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2020年3月18日 (水)

中国からの輸入が激減した2月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から2月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲1.0%減の6兆3216億円、輸入額も▲14.0%減の5兆2117億円、差引き貿易収支は+1兆1098億円の黒字を計上しています。なお、新型コロナウィルス(COVID-19)に関連して注目された中国向け輸出額は▲0.4%減、輸入額は何と▲47.1%減を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を手短に引用すると以下の通りです。

2月の貿易収支、中国からの輸入額47%減 86年8月以来の減少幅 新型コロナ響く
財務省が18日発表した2月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、中国からの輸入額は前年同月比47.1%減の6734億円だった。輸入額の下げ幅は、中国政府が経済引き締め策を実施した影響が出た1986年8月(47.3%減)以来の大きさとなる。財務省は「新型コロナウイルス感染症の拡大で中国国内で生産活動の停止などの動きがみられたことから、その影響が出た可能性がある」とみる。
中国からの輸入減少に最も響いたのは、衣類・同付属品で65.7%減った。次いで携帯電話(45.3%減)、パソコンなどの電算機類(37.2%減)だった。輸出額は、半導体等電子部品などの輸出増加を支えに1兆1361億円と0.4%の減少にとどまった。
中国からの輸入額が大幅に減少した一方で、中国への輸出額は小幅減少にとどまったため、差し引きの中国との貿易収支は4627億円の黒字となった。対中国の黒字は2018年3月以来で、黒字額は過去最大となった。
対世界全体の輸出額は1.0%減の6兆3216億円と15カ月連続で減少した。輸入額は14.0%減の5兆2117億円と10カ月連続の減少で、差し引きの貿易収支は1兆1098億円の黒字となった。黒字は4カ月ぶりで、黒字額は2007年9月以来の大きさとなった。
輸出は中国向けの半導体等電子部品が増えた一方、米国向けの自動車や中国向けの金属加工機械が減少した。輸入はオーストラリアからの液化天然ガス(LNG)が減少したことが大きく影響した。
対米国の貿易収支は6268億円の黒字と2カ月連続の黒字、対欧州連合(EU)の貿易収支は183億円の赤字と8カ月連続の赤字だった。対EUは今回の統計から英国を除いた数字となっている。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で+9172億円の貿易黒字が予想されていましたので、+1兆円をやや上回る貿易黒字とはいえ、まずまず、大きなサプライズをもたらしたわけではありません。ただ、上の輸出入のグラフ、特に下のパネルの季節調整済の系列でトレンドを見ると、明らかに輸出入ともに減少のトレンドにあります。特に、2月の貿易は中国発のCOVID-19の影響で輸出入とも減少しましたし、特に、中国の輸出、というか、我が国の中国からの輸入は、引用した記事のタイトルにもあるように、激減しています。ただし、中国との貿易に関しては、中華圏の春節の影響がとても大きいですから注意する必要があり、特に、昨年2019年の春節は2月5日からスタートし、今年2020年は逆に本来は1月30日までと、1月中に収まる予定でしたので、この上下の違いは大きいと考えるべきです。すなわち、季節調整していない原系列の貿易統計をそのまま見たりすれば、輸出入ともに今年2020年1月は大幅減で、逆に、2月は大幅増、となるのが通常の動きと考えるべきです。しかし、大幅増となると想定されていた今年2月の中国との貿易は逆に減少しました。いうまでもなく、COVID-19の影響であり、我が国からの輸出額こそ▲0.4%減という小幅な減少だったものの、中国からの輸入額は▲47.1%減とほぼ半減しました。強制的に春節休暇が継続され、操業停止が解除されたのが2月中旬ですから、当然です。中国国内の生産が大きくダウンしたわけですので、中国からの我が国の輸入も激減しており、まあ、何と申しましょうかで、マスクなんかが品薄になっているのも当然です。もちろん、マスクが品薄になっているのは中国での生産停滞だけではありません。ただし、少なくとも、中国ではCOVID-19の感染拡大は終息に向かっており、むしろ、現時点では欧州の方で感染が拡大しているのが実情のようです。いずれにせよ、COVID-19の経済的な影響は、私には何とも判りかねます。

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続いて、輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数(CLI)の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ただし、OECD先行指標については、1月統計が公表されていません。OECDのプレスリリース "Release of OECD Composite Leading Indicators Cancelled for March 2020" によれば、"CLI sub-components for many countries are not yet able to capture the effects of the more widespread Covid-19 outbreak." というのが理由とされています。ということで、世界経済とともに中国の景気も最悪期を脱し、これから上向きになろうかという矢先のCOVID-19でしたので、繰り返しになりますが、ダイレクトに中国向けだけでなく、中国向け輸出比率の高いアジア諸国向けの輸出も、我が国では当然に欧米諸国などよりも割合が高く、輸出を通じた日本経済へのダメージは少なくないものと考えます。中国向けの直接の輸出だけでなく、加えて、サプライチェーンの中で中国の占めるポジションからして、部品供給の制約から貿易への影響を生じる可能性も無視できません。欧米向け輸出についても、OECD先行指数を見る限り最悪期を脱したと考えられますが、中国経済の変調とともに、欧州でのCOVID-19の感染拡大もあって、今後の動向は不透明です。

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