新型コロナウィルス(COVID-19)の影響は経済見通しにどのように現れているか?
今週月曜日3月9日に内閣府から公表された昨年2019年10~12月期GDP統計速報2次QEを受けて、シンクタンクや金融機関などから短期経済見通しがボチボチと明らかにされています。四半期ベースの詳細計数まで利用可能な見通しについて、年半ばの東京オリンピック・パラリンピックの後、今年2020年いっぱいくらいまで取りまとめると以下の通りです。なお、下のテーブルの経済見通しについて詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。計数の転記については慎重を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、各機関のリポートでご確認ください。なお、"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 2019/10-12 | 2020/1-3 | 2020/4-6 | 2020/7-9 | 2020/10-12 |
actual | forecast | ||||
日本経済研究センター | ▲1.8 (▲7.1) | ▲0.7 | +0.5 | +0.8 | +0.3 |
日本総研 | (▲2.7) | (+1.2) | (+5.8) | (+1.2) | |
大和総研 | (▲4.3) | (+4.9) | (+2.3) | (+0.8) | |
ニッセイ基礎研 | ▲1.1 (▲4.2) | +1.1 (+4.6) | +0.7 (+2.9) | +0.2 (+0.9) | |
第一生命経済研 | ▲0.9 (▲3.6) | +0.3 (+1.2) | +0.8 (+3.3) | +0.7 (+2.8) | |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ▲1.3 (▲5.0) | +1.2 (+5.0) | +2.8 (+11.7) | ▲0.3 (▲1.3) | |
SMBC日興証券 | ▲1.5 (▲5.8) | +0.7 (+2.7) | +1.5 (+6.1) | +0.7 (+2.9) | |
農林中金総研 | ▲0.2 (▲0.8) | +0.2 (+1.0) | +0.9 (+3.5) | ▲0.5 (▲1.8) | |
東レ経営研 | ▲1.3 | +0.6 | +0.9 | +0.6 |
各列の計数については上段のカッコなしの数字が季節調整済み系列の前期比で、下段のカッコ付きの数字が前期比年率となっています。2019年10~12月期までは内閣府から公表された2次QEに基づく実績値、今年2020年1~3月期からは見通しであり、すべてパーセント表記を省略しています。なお、日本経済研究センターと東レ経営研のリポートでは前期比の成長率しか出されておらず、逆に、日本総研と大和総研では前期比年率の成長率のみ利用可能でしたので、不明の計数は省略しています。ということで、見れば明らかなんですが、10月の消費税率の引上げの後、2019年10~12月期が大きなマイナス成長となったのに続き、足元の1~3月期もマイナス成長が確実と見込まれています。ただ、これまた、すべての機関で4~6月期にはプラス成長に回帰し、オリンピック・パラリンピックといったイベントもあることから、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大が終息すれば、年央の4~6月期や7~9月期には、かなり大きなリバウンドが予想されています。ただし、その後の101~2月期には景気は息切れし、成長率は大きく減速して、シンクタンクによってはマイナス成長を見込む機関すらあります。
我が国景気に対する私の基本的な見方は、足元の2020年1~3月期もマイナス成長を記録し、テクニカルな景気後退シグナルが発せられるとともに、景気動向指数などの指標を見るにつけ、2018年10~12月期を景気の山として、すでに我が国は景気後退局面に入っているのではないか、というものです。直近の景気動向指数CI一致指数のピークは2018年10月の104.1であり、鉱工業生産指数(IIP)でも2018年10月の105.6です。2019年3月に定年退職した私のそのあたりまでの景気の実感として、このCI一致指数やIIPのピークの2018年10月あたりが景気の山と考えるべきではないか、という気がしています。それにしては、景気後退の落ち方のスロープが従来のパターンに比べて緩やかなんですが、人手不足を背景とした雇用が国民生活の安定を支えたことに加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要、さらに、緩和の続く金融政策が経済活動を下支えしている、といったあたりが理由と考えられます。ただ、何としても不透明な要因として、新型コロナウィルス(COVID-19)の流行拡大があります。多くのシンクタンクなどの見通しでは、一部繰り返しになるものの、~6月期に終息し、年央は東京オリンピック・パラリンピックで景気も盛り上がり、年末にかけて息切れする、というのが基本シナリオなんですが、東京でのオリンピック・パラリンピックの開催がそもそも不可能となり、一気に景気が奈落の底に突き落とされる、という可能性もゼロではありません。まあ、何としても避けたいシナリオであることは間違いありませんが、私ごとき専門外のエコノミストには予測のしようがありません。
下のグラフは、ニッセイ基礎研のリポートから引用しています。
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