新型コロナウィルス(COVID-19)の影響前の機械受注と影響後の景気ウォッチャーを見比べる!!!
本日、内閣府から2月の機械受注が、また、同じく内閣府から3月の景気ウォッチャーが、さらに、財務省から2月の経常収支が、それぞれ公表されています。各統計のヘッドラインを見ると、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比+2.3%増の8,585億円と2か月連続の増加を示し、景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲13.2ポイント低下の14.2を、先行き判断DIも▲5.8ポイント低下の18.8を、それぞれ記録し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+3兆1688億円の黒字を計上しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
2月の機械受注、前月比2.3%増 市場予想2.7%減
内閣府が8日発表した2月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比2.3%増の8585億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は2.7%減だった。
うち製造業は1.7%減、非製造業は5.0%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は2.4%減だった。
内閣府は基調判断を「足踏みがみられる」で据え置いた。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
3月の街角景気、現状判断指数は2カ月連続悪化
内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は14.2で、前の月に比べて13.2ポイント低下(悪化)した。悪化は2カ月連続。家計・企業・雇用の全項目で悪化した。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は18.8で、5.8ポイント低下した。低下は4カ月連続。家計・企業・雇用が悪化した。
内閣府は現状の基調判断を「新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に厳しい状況となっている」から「新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にある」に変更した
2月の経常収支、3兆1688億円の黒字 68カ月連続黒字
財務省が8日発表した2月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は3兆1688億円の黒字だった。黒字は68カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は3兆645億円の黒字だった。
貿易収支は1兆3666億円の黒字、第1次所得収支は2兆798億円の黒字だった。
いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、前月比▲2.6%減であり、予測レンジ上限は+1.5%増でしたから、実績の+2.9%は増はレンジ上限を突き抜けています。でも、ある意味では当然ながら、世間一般のエコノミストは新型コロナウィルス(COVID-19)の影響をとても早くに織り込みましたが、政府がイベント開催などへの自粛要請を出したのは2月26日でしたし、海外でのロックダウンなどにより経済が大きな停滞に入ったとみられるのは3月以降であることから、2月時点ではCOVID-19による影響はまだ出ていないのであろうと私は受け止めています。昨日内閣府から公表された景気動向指数と同じで、1月に続いて2月も2か月連続で上向いたとはいえ、この2月の機械受注統計は「過去の数字」でしかありません。3月統計を見ない限り、2月統計にコメントしても仕方ない気がします。

続いて、景気ウォッチャーのグラフは上の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。機械受注と同じで、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。もう、グラフの通りであり、2月から3月の供給サイドのマインドはCOVID-19の影響により大きく低下しました。今年2020年1月の現状判断DIは季節調整済の系列で41.9だったんですが、2月は▲14.5ポイント低下の27.4、さらに、3月は13.2ポイント低下の14.2を記録しています。特に落ち込みが大きいのは家計動向関連のうちの飲食であり、3月はとうとう0.7まで低下しています。ほぼほぼゼロとすらいえます。4月に入って昨日7日には東京をはじめとする7都府県に緊急事態宣言が出されましたし、5月のゴールデンウィークで終結するかどうかも定かではなく、少なくとも、4月のマインドはさらに落ちる可能性が高いと考えるべきです。私が常々主張しているように、消費などの需要はマインドと所得あるいは収入で決まるわけで、どちらもかなり大きな落ち込みを見せているのは、エコノミストでなくても理解できます。どのあたりでマインドが底を打つか、現時点では、私にはまったく見通せません。

最後、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。ということで、2月単月で見ると、貿易黒字が大きく増加して、その分、経常収支黒字も膨らみました。今年の中華圏の春節は、もともと1月で収まる予定でしたが、COVID-19の影響で2月に入っても中国の生産体制が整わず、それだけ中国からの我が国の輸入が減少した結果です。まあ、何と申しましょうかで、マスクの輸入が減った分も入っていそうな気がします。いずれにせよ、機械受注と同じで、2月の統計は「過去の数字」です。
| 固定リンク
コメント