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2020年5月26日 (火)

4月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)はコロナ禍で上昇率が一気に縮小!!!

本日、日銀から4月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.0%と、先々月2月統計の+2.1%、先月3月統計の+1.6%から大きく縮小しています。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率も同じく縮小し、+0.9%を記録しています。いずれも、消費税率引上げの影響を含んでいます。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の企業向けサービス価格、増税除き前年比0.8%下落 8年9カ月ぶり下落率
日銀が26日発表した4月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は104.1と、前年同月比で1.0%上昇した。上昇率は3月(1.6%)から縮小した。消費税率引き上げの影響を除くと同0.8%の下落で、下落率の大きさは11年7月以来8年9カ月ぶりの大きさだった。
新型コロナウイルスの感染拡大で訪日外国人客数が急減したり、国内で緊急事態宣言が発令されたりしたことで「宿泊サービス」の価格が大きく落ち込んだ。「テレビ広告」の下落率も大きかった。一方、航空機の減便で貨物輸送の需給が逼迫し「国際航空貨物輸送」や「国内航空貨物輸送」の価格は大きく上昇した。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2018年10月を景気の山として暫定的にこのブログのローカルルールで勝手に景気後退局面入りを認定しています、というか、もしそうであれば、という仮定で影をつけています。

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引用した記事にもある通り、消費税を含んだベースの企業向けサービス価格指数(SPPI)の前年同月比上昇率は、昨年2019年10月の消費税率引上げに伴って+2%に達した後、今年2020年に入って1月+2.1%まで+2%台を続けた後、先々月2月+1.6%、先月3月+1.0%、さらに、今月の4月統計では+1.0%まで上昇率が落ちました。引用した記事にもある通り、先月の3月統計では消費税の影響を除くベースの前年同月比上昇率が▲0.1%と下落に転じた後、4月統計では▲0.8%と下落幅を拡大しています。いうまでもなく、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)による影響と考えるべきです。サービス物価はSPPIはもちろん、CPIのコンポーネントでも、人手不足に起因して堅調と考えられていましたが、雇用がかなり怪しくなり始めた印象もありますし、宿泊サービスのように需要が「蒸発」すれば、需給ギャップに従って価格が弱含むのは当然です。4月統計のSPPIのコンポーネントである大類別について、消費税の影響を除くベースの前年同月比▲0.8%に対する寄与度を見ると、景気に敏感な広告が▲0.63%、繰り返しになりますが、需要が「蒸発」した宿泊サービスをはじめとする諸サービスが▲0.14%と、ほぼほぼ、この2つの大類別で消費税を除くベースの前年同月比の下落幅の大部分を説明できてしまいます。大類別のコンポーネントでとてもなのは、同じく消費税の影響を除くベースで、運輸・郵便が+0.18%のプラス寄与を示している点です。引用した記事の2パラめで「航空機の減便で貨物輸送の需給が逼迫」との説明が日銀からあったような印象を受けますが、輸送に使う石油の国際商品市況における価格が、COVID-19の影響で大きく下落しているんですから、4月から何かの価格改定があったのか、ここまで上昇しているのは私には理解できません。もっとも、運輸サービスの価格動向は、4月統計の消費者物価指数(CPI)とは整合的です。すなわち、総務省統計局の冊子資料で見る限り、p.12で財の前年同月比上昇率+0.7&%に対して、運輸・通信関連サービスは+2.3%の上昇と、ヘッドライン上昇率を上回る上昇率が報告されています。SPPIの企業ベースの運輸サービスとCPIの消費者の支出先である運輸サービスは、どこまで重なっているか不明ながら、どちらも連動して価格上昇が観察されるわけですから、航空機の減便だけで説明できるとは思えません。従って、石油価格の下落は運輸サービス価格の引下げをもたらしていると考える根拠がある一方で、人手不足や他の要因から4月に何らかの価格改定があったのではないかと、私は想像しています。
最後に、上のグラフのうちの下のパネルを見ても明らかな通り、財貨の価格である企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価指数は、すでに、消費税率引上げ前の水準まで下げている一方で、サービス価格指数のSPPIは、まだ、消費税率引上げ前の水準までは戻っておらず、その点だけを見れば、PPIよりもSPPIの方が下げ幅が小さいともいえます。

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