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2020年7月20日 (月)

6月貿易統計を見て先行きの道のりの長さを実感する!

本日、財務省から6月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比▲26.2%減の4兆8620億円、輸入額も▲14.4%減の5兆1309億円、差引き貿易収支は▲2688億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

6月の輸出26.2%減 3カ月連続の貿易赤字
財務省が20日発表した6月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2688億円の赤字だった。赤字は3カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は256億円の赤字だった。
輸出額は前年同月比26.2%減の4兆8620億円、輸入額は14.4%減の5兆1309億円だった。中国向け輸出額は0.2%減、輸入額は0.8%増だった。

取りあえず、コンパクトに統計のヘッドラインを取りまとめた記事を引用しています。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲350億円の貿易赤字が予想されていて、引用した記事とビミョーに違うんですが、その後、改定されたのかもしれません。いずれにせよ、前年同月の2019年6月は+5881億円の黒字を計上していましたし、季節調整していない系列で3か月連続、季節調整済みの系列で4か月連続の貿易赤字を計上しています。輸入も減少しているわけで、特に、国際商品市況で石油価格が大きく下落して、我が国の輸入原油への支払いも減っています。例えば、原油及び粗油の6月の輸入はキロリットル単位の数量ベースでは前年同月比で▲14.7%減ですが、価格とかけ合わせた金額ベースでは▲71.8%減と、何とも⅓を割り込むまで減少しています。なお、今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の経済的影響については、生産などの供給面に加えて、外出の抑制などに伴う需要面も含め、需給両面からの経済活動の下押し圧力の強まりがありますが、さらに、交易の利益が失われるというのが大きなマイナスであると私は考えています。アダム・スミスがピンの製造工程で見たように、国内でも協業に基づく分業により比較優位に基づく生産が行われていますが、いうまでもなく、交易の最大の利益は天候や天然資源をはじめとして、生産要素賦存やスキルが大きく異なる外国との交易で生み出されることは当然です。その意味で、COVID-19の経済的な影響の最大のものは貿易で生じる可能性が高い、と私は考えています。

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輸出については、このCOVID-19の感染拡大以降で、先月の5月統計が最大の前年同月比マイナスとなる▲28.3%減の後、6月統計では▲26.2%減と、わずかにマイナス幅が縮小しましたが、はかばかしい回復は見られません。上のグラフに見られる通りです。特に、輸出数量の前年同月比で見て、5月▲27.3%減から、6月でも▲27.1%減と、ほとんど変わりありません。COVID-19がこのまま終息すれば、先行きの輸出は緩やかに増加するものと私は考えています。主要な最終需要地である欧米先進国ではロックダウンなどの措置が段階的に緩和されており、経済活動を再開する動きが見られることが要因として上げられます。こうした流れが今後も継続すれば、輸出は徐々に回復すると考えられるものの、回復の足取りは鈍くCOVID-19前の水準に戻るにはかなり長い期間を要しそうです。加えて、米国では第2派の感染再拡大の懸念があり、すでに米国の一部の州では経済活動の再制限の措置が取られているのも事実です。従って、ロックダウンなどの措置が再び各地で広がれば、輸出の減少基調が継続する可能性は十分残っていると考えるべきです。要するに、COVID-19の感染拡大次第、ということです。

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