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2020年8月 3日 (月)

内閣府による「中長期の経済財政に関する試算」と財政のサステイナビリティやいかに?

先週金曜日の7月31日に開催された経済財政諮問会議に内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」が提出されています。

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主な試算結果のうち、国・地方のPB(対GDP比)及び国・地方の公債等残高(対GDP比)をリポートのp.5から引用すると上の通りです。緑色で明示してありますが、2025年度にプライマリー・バランス(PB)ゼロを目標としているわけですが、現在進行中の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対策のための財政支出がかなり膨大なものとなり、基礎的財政収支の均衡達成はほぼほぼ不可能との試算結果です。
何度過去のブログにも書きましたが、長崎大学に出向した際に私が最初に書いた紀要論文のひとつが財政の持続可能性に関するもので、財政のサステナビリティに関する時系列分析方法をサーベイしています。ただし、この論文でも強調していますが、無条件に財政がサステイナブルになるケースが2つあります。ひとつは、バロー的なリカード等価定理が成立する場合です。リカード等価定理が成立している場合には、家計はもちろん、企業などの政府以外の他の経済主体の行動が政府の財源調達とは独立となり、何らの影響を受けることがありません。すなわち、政府が租税により政府支出の財源を調達しても、公債により調達しても、政府以外の経済主体の経済行動に影響を与えませんから、財政は無条件に持続可能となります。これは明白です。もうひとつが、動学的効率性が満たされない場合、もしくは、同じことながら、動学的非効率に陥っている場合です。すなわち、公債金利が成長率を下回っている場合であり、直感的には、無限先の将来における1人当たり、あるいは、GDP比で見た公債残高が発散するほど大きくなることはないという意味で、財政は持続可能となります。私自身は、後者の意味で、すなわち、日本経済は動学的非効率に陥っており、その結果として、財政が持続可能となっていると考えています。逆にいえば、成長率がさらに低下したり、あるいは、公債金利が上昇して、その結果として、動学的効率性が満たされるようになれば、日本も財政の持続可能性を回復する政策に本格的に取り組む必要があります。この点は忘れるべきではありません。
別の観点として2点付け加えれば、まず、現代貨幣理論(MMT)については、私はまだちゃんと勉強していないので、MMTのバックグラウンドにあるモデルについて十分な知識はありませんが、自国通貨を発行できる中央銀行があればインフレにならない限り財政赤字は問題とならないとしているようですから、動学的効率性の観点から日本の財政が持続可能であると考える私の結論は、このMMTの見方とは違います。次に、私が紀要論文でサーベイした財政の持続可能性に関する検定の中で、ある意味、もっとも緩やかな検定はボーン教授の検定なんですが、直観的にはプライマリー・バランスが赤字でも、その赤字幅が縮小していれば持続可能と判断されます。ですから、上のグラフのうちの上のパネル、すなわち、国・地方のPB(対GDP比)を見る限り、2009年度から2018年度にかけては、日本は財政が持続可能であったと考えられるかもしれませんし、加えて、2022年度以降も同じことです。その意味で、プライマリー・バランスの均衡を政策目標とするのかどうかについても、もう一度議論する必要があるのかもしれません。場合によっては、プライマリー・バランスの赤字幅の縮小も政策目標となり得るんではないか、と私は考えています。もちろん、純粋に経済学の理論的な考えであり、見方によっては「目標後退」とした反対論が持ち上がる可能性は十分あります。

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