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2020年9月 1日 (火)

大きく悪化した企業活動を反映する法人企業統計とまだ悪化が続きそうな雇用統計!!!

本日、財務省から4~6月期の法人企業統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。法人企業統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は2四半期連続の減収で前年同期比▲17.7%減の284兆6769億円、経常利益も3四半期連続の減益で▲46.6%減の12兆4140億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで▲11.3%減の9兆6369億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比▲6.3%減となっています。なお、繰り返しになりますが、設備投資についてはソフトウェアを含むベースです。雇用統計については、失業率は前月からわずかに0.1%ポイント悪化して2.9%、有効求人倍率は前月から▲0.03ポイント悪化して1.08倍と、雇用は徐々に悪化を示しています。いずれも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響によるものと考えるべきです。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

全産業売上高17.7%減 4-6月、11年ぶりの落ち込み
財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計によると、全産業(金融・保険業を除く)の売上高は前年同期に比べ17.7%減の284兆6769億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大で約11年ぶりの大幅な落ち込みとなった。当面の運転資金を確保する動きが広がり、短期借入金は20.8%増と約25年ぶりの増加率となった。
売上高の減少率は20.4%減ったリーマン・ショック後の2009年1~3月期以来となる。前年同期を下回るのは4四半期連続。1~3月期もコロナの影響で7.5%減り、政府の緊急事態宣言が出た4~6月期は減少幅が広がった。
製造業は20.0%減の78兆3383億円、非製造業は16.8%減の206兆3386億円だった。財務省の担当者は「製造業は世界的な自動車販売の減少、非製造業は宿泊や飲食サービス業などの客数の減少が響いた」と説明した。
季節調整した全産業の売上高を1~3月期と比べると10.7%減った。前の四半期との比較では遡れる85年以降で最大の落ち込みとなった。
経常利益は前年同期比46.6%減の12兆4140億円だった。外出自粛による旅客の減少を受け、運輸・郵便業は8259億円の赤字となった。設備投資も11.3%減の9兆6369億円と大きく落ち込んだ。
短期借入金は20.8%増の181兆6389億円となった。1995年10~12月期以来の急激な増加となった。現金・預金も11.2%増えた。
1~3月期はコロナの影響で企業の回答が遅れ、いったん速報値をまとめたあとで時間をおいて確報値を集計した。4~6月期は7割程度の回収率となったため初めから確報値として示した。
7月の有効求人倍率1.08倍 6年3カ月ぶり低水準
厚生労働省が1日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.08倍で前月から0.03ポイント低下した。2014年4月以来、6年3カ月ぶりの低水準となった。新型コロナウイルス感染拡大を受けた雇用環境の厳しさがより鮮明になった。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。低下は1月から7カ月連続。7月は企業からの有効求人が前月から2.5%増えたものの、働く意欲のある有効求職者も6%増えた。
雇用の先行指標となる新規求人(原数値)は前年同月比で28.6%減った。製造業が40.9%、卸売業・小売業が33.4%、宿泊・飲食サービス業が44%減った。
新型コロナウイルスに関連した解雇・雇い止めにあった人数(見込みを含む)は8月28日時点で4万9467人と5万人に迫っている。厚労省が全国の労働局やハローワークを通じて集計した。
一方、総務省が1日発表した7月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント上昇の2.9%だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影を付けた部分は景気後退期なんですが、直近の2020年5月ないし4~6月期を直近の景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定しています。

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景気拡大が続いていながらも、雇用者の方はなかなか賃金が上昇しない中でも、企業部門だけは新自由主義的な経済政策による寄与もあって増収増益を続けて、利益準備金がばかり積み上がっていたんですが、やっぱり、さすがに新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響は強烈であり、ロックダウンに近い外出自粛などが実施された4~6月期には、さすがの企業部門も大きな減収減益を記録しています。上のグラフのうちの上のパネルで示したように、バブル経済末期に法人企業統計ベースで売上が300兆円を超えて以来、ほぼほぼ30年振りに売上が300兆円を下回っています。景気後退期に入ったのが四半期ベースでいうと2018年10~12月期を山と設定していますので、この景気後退期に入る直前のピークでは360兆円を超えていた売上が、直近2020年4~6月期までに累積で▲18%余り減少したことになります。経常利益の減少比率はもっと大きくて、景気後退に入る直前の2018年7~9月期の24兆円から10兆円まで半減を超える減少となっています。設備投資にしても、景気後退期に入って大きく減少しているのがグラフから見て取れます。米国サブプライム・バブル期の2006年末や2007年年初には15兆円近かった設備投資が、直近では10兆円を少し超えるレベルまで減少しています。ただし、これも上のグラフを見ても理解できるように、設備投資については人手不足への対応という観点から、売上や利益ほどの減少は今のところ見せていない、と私は受け止めています。ただし、後で見るように、生産や小売販売などは今年2020年5月を底に緩やかながら回復の兆しを見せ始めている一方で、雇用は回復軌道に戻るまでもう少し時間がかかる可能性があり、雇用、というか、人手不足との見合いで投資がどこまで底堅いかには、私もそれほどの自信があるわけではありません。最後に、来週火曜日には4~6月期のGDP統計速報2次QEが内閣府から公表されますが、直感的に、設備投資動向などを踏まえて下方修正される可能性が高いと私は考えています。また、日を改めて2次QE予想を取りまとめたいと思います。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上のパネルから順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。景気局面との関係においては、失業率は遅行指標、有効求人倍率は一致指標、新規求人数は先行指標と、エコノミストの間では考えられています。また、影を付けた部分は景気後退期です。いずれも記事にある通りですが、失業率に関して日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは先月の2.8%から7月は3.0%に上昇するという見込みだったところ、実績は底まで悪化せず2.9%だった一方で、有効求人倍率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスの通りに、先月の1.11倍から直近で利用可能な統計で7月には1.08倍に低下しています。正社員向けの有効求人倍率についても長らく1倍を上回っていましたが、4月統計から1倍を下回るようになり、本日発表の7月統計でもさらに下げています。基本的には、雇用はまだ悪化を続ける、と考えるべきです。人口動態との綱引きながら、景気と人手不足との関係で、私が懸念したように、一気に雇用が悪化するという局面ではなく、予想したよりはかなり底堅い動きながら、厚生労働省のサイト「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」を見る限り、現時点で利用可能な最新の8月21日現在集計分によれば、解雇等見込み労働者数が5万人に迫っており、その中で非正規雇用労働者数が2万人を超えていますから、決して、楽観できる状態にはありません。2018年10月が景気の山であったと内閣府の景気動向指数研究会では認定しましたが、上のグラフを見ても理解できるように、私の景気局面判断が大きく遅れたのは、雇用を重視するエコノミストとして、雇用を代表する3指標、すなわち、失業率と有効求人倍率と新規求人の3指標が3つとも、2019年いっぱいはそこそこの粘り強さを見せていた点が上げられます。雇用指標が急落したのは今年に入ってから、2020年1月の雇用統計からです。ですから、私も景気の山の認定が今年に入ってからと大きく遅れてしまいました。という言い訳でした。

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