8月統計の企業向けサービス価格指数(SPPI)は消費税率引上げの影響を除けばマイナス幅拡大!!!
本日、日銀から8月の企業向けサービス価格指数 (SPPI)が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、ヘッドラインSPPIの前年同月比上昇率は+1.0%でした。消費税率引上げの影響をのぞけば、△0.8%の下落でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
8月の企業向けサービス価格、増税除き0.8%下落 マイナス幅拡大
日銀が25日発表した8月の企業向けサービス価格指数(2015年平均=100)は103.8と、前年同月比で1.0%上昇した。19年10月の消費税率引き上げの影響を除くと前年同月比で0.8%下落した。下落は6カ月連続で、下落幅は7月から拡大した。宿泊サービスや国内航空旅客輸送の下げ幅が拡大したことなどが、価格の押し下げ要因となった。
新型コロナウイルスの影響で、都市部を中心に宿泊サービスの需要が減少した。また国内航空旅客輸送では、航空会社の座席の供給量に対して需要が伸び悩んだ。不動産では賃料が売り上げや業績に連動する物件を中心として前年比で価格の下押し圧力となった。
またテレビやインターネットを通じた広告のサービス価格は依然として前年比で大きくマイナスになっている。日銀は「緊急事態宣言の解除後にみられた価格回復が足踏みしている」(調査統計局)状況としており、引き続き新型コロナによる影響を注視する姿勢だ。
企業向けサービス価格指数は輸送や通信など企業間で取引するサービスの価格水準を総合的に示す。
いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、企業向けサービス物価指数(SPPI)のグラフは下の通りです。上のパネルはヘッドラインのサービス物価(SPPI)上昇率及び変動の大きな国際運輸を除くコアSPPI上昇率とともに、企業物価(PPI)の国内物価上昇率もプロットしてあり、下のパネルは日銀の公表資料の1枚目のグラフをマネして、国内価格のとサービス価格のそれぞれの指数水準をそのままプロットしています。財の企業物価指数(PPI)の国内物価よりも企業向けサービス物価指数(SPPI)の方が下がり方の勾配が小さいと見るのは私だけではないような気がします。いずれも、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。
今年2020年に入ってからの企業向けサービス価格指数(SPPI)上昇率の推移を概観しておくと(カッコ内は昨年2019年10月からの消費税率引上げの影響を除くベース)、2月統計の+2.1%(+0.4%)の後、3月統計の+1.5%(△0.4%)で消費税率引上げを除く、いわば、「実力ベース」で前年同月比マイナスに転じ、4月統計の+0.9%(△1.0%)から5月統計は+0.5%(△1.4%)まで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響で一気に上昇率が縮小しましたが、6月統計では+0.8%(△1.0%)、7月統計でも+1.1%(△0.7%)、そして、本日公表の8月統計では+1.0%(△0.8%)の上昇とやや一服感があります。国際運輸を除く総合で定義されるコアSPPIの前年同月比上昇率も同じように縮小していましたが、前年同月比上昇率としては5月統計を底に、6月統計から7月統計にかけては消費税率引上げを除くベースで上昇幅が拡大し、あるいは、消費税率引き上げを含むベースでは下落幅が縮小していましたが、わずかに△0.1%ポイントとはいえ、SPPI8月統計では上昇幅の拡大ないし下落幅の縮小の動きは反転しました。まあ、速報ベースですし、±0.1%ポイントの動きは計測誤差範囲といえますから、それほど気にする必要はないのかもしれません。少しだけ、いくつかの項目をピックアップしておくと、先週の消費者物価(CPI)と同じことながら、宿泊サービスがGoToトラベルなどの影響により大きく下げています。消費税率の引上げを含めた前年同月比のベースで、前年同月比で7月の▲34.4に続いて、最新の8月統計でも△37.1%の下落です。大類別では景気に敏感といわれる広告が7月の▲8.0%の下落に続いて、8月も△7.1%の下落、ヘッドラインに対する寄与度でも△0.33%あります。特に、テレビ広告の下落が大きくなっています。
何度か繰り返して書きましたが、10月統計からは物価の前年同月比上昇率は消費税率引上げの影響が剥落して、大きく上昇幅が縮小ないし下落に転じる可能性が高いと考えるべきです。
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