労働政策研究・研修機構(JILPT)緊急コラム「コロナショックの雇用面への影響は、特定の層に集中」に見る非正規雇用の現状やいかに?
先週金曜日の10月9日に、労働政策研究・研修機構(JILPT)から「コロナショックの雇用面への影響は、特定の層に集中 -女性、非正規の雇用動向を引き続き注視-」と第する緊急コラムが公表されています。タイトル通りに、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の雇用への影響に付き簡単な分析をした上で、女性や非正規への影響を注視する必要があると指摘しています。グラフをいくつか引用して簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、上のグラフは、労働政策研究・研修機構(JILPT)のサイトから、図表5 正規・非正規別雇用者の対前年同月差の推移 を引用しています。雇用者は、COVID-19の感染拡大が観察された今年2020年3月でもまだ前年同月差で伸びていたんですが、3月時点でもすでに女性の非正規雇用がかなりの幅で減少に転じているのが見て取れます。4月初旬には緊急事態宣言が出て、その後、直近統計が利用可能な8月まで男女ともに非正規雇用が大きく減少しているのが見て取れます。非正規雇用の中でも女性の減少男性より大きくなっている点は明らかです。もちろん、これは、女性の方が非正規雇用の比率が高い、という背景も考慮する必要があります。
次に、上のグラフは、労働政策研究・研修機構(JILPT)のサイトから、図表6 産業別雇用者数の対前年同月差の男女、正規・非正規別にみた要因 (2020年8月) を引用しています。もっとも雇用者の減少が大きかったのは製造業なんですが、男女の性別と正規・非正規の4つのセグメントすべてが減少を示しています。製造業に続くのが、宿泊業、飲食サービス業であり、COVID-19から最大の影響を受けた業種のひとつといえます。男性の正規雇用は小幅に増加している一方で、女性は正規・非正規とも、男性非正規も減少していることが見て取れます。3番めに減少幅が大きいのは建設業なんですが、やっぱり特徴的なのは卸売、小売業と考えるべきです。緊急事態宣言が出た直後は食料品などの買い物でスーパーが賑わっていたりしたんですが、8月の猛暑のころには外出を控える人も少なくなく、女性の正規雇用こそ増加したものの、男女の非正規雇用や男性正規雇用が減少しています。
この緊急コラムでは、「今回の新型コロナウイルスの影響については、対人業務が中心の産業を始め、大きな影響を受ける分野とそれ以外の分野の差が大きいことが指摘されているが、雇用面においても女性、非正規といった層への影響が統計上も現れており、今後も懸念される」と締めくくっています。まさにその通りです。
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