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2020年10月23日 (金)

消費者物価(CPI)上昇率は8月に続いて「Go To トラベル」によりマイナスに沈む!!!

本日、総務省統計局から89月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は▲0.3%の下落を示した一方で、生鮮食品とエネルギーを除く総合で定義されるコアコアCPI上昇率は前年同月と横ばいでした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

 

9月の全国消費者物価、0.3%下落 「GoTo」で宿泊料30%下落
総務省が23日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が101.3と前年同月比0.3%下落した。政府による観光需要喚起策「Go To トラベル」事業の影響で宿泊料が30.0%下落したことなどが押し下げ要因となった。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.4%下落)より下落率は小さかった。
他の品目では、電気代やガソリン、灯油などエネルギー関連の価格下落も目立った。2019年10月から始まった幼児教育無償化を受け、幼稚園や保育所の保育料も下落が続いている。
生鮮食品を除く総合で全523品目中、384品目が上昇、123品目が下落、16品目が横ばいだった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は101.6と前年同月比で横ばいだった。
生鮮食品を含む総合は102.0で横ばいだった。プラスにならなかったのは16年9月(0.5%下落)以来、4年ぶり。

 

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価(CPI)上昇率のグラフは下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIと生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI、それぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフはコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。寄与度はエネルギーと生鮮食品とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めずに有効数字桁数の大きい指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。統計局の公表数値を入手したい向きには、総務省統計局のサイトから引用することをオススメします。

 

photo

 

コアCPIの前年同月比上昇率は日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは▲0.4%でしたので、やや市場予想よりも上振れたとはいえ、ほぼジャストミートしたと私は考えています。さらに、資料はありませんが、朝日新聞のサイトNHKのサイトを見る限り、「Go To トラベル」の影響を除くと、コアCPIは前年同月と同じ水準、横ばいになると総務省統計局では試算しているようです。コアCPIの前年同月比で見て、先月8月▲0.4%の下落、直近で統計が利用可能な9月で▲0.3%の下落となった大きな理由は「Go To トラベル」による宿泊料の下落であり、8月は▲32.0%、CPI総合への寄与度は▲0.42%、9月も▲30.0%、寄与度▲0.35%ですから、8-9月のコアCPIマイナスをすべて説明してしまっています。ほかにも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響により国際商品市況で石油価格が大きく低下している点も考慮すれば、9月までの物価の基調は統計の数字に現れているほど悪くはない、ということになりそうです。ただ、言うまでもなく、日銀の物価目標である+2%からはほど遠く、加えて、10月からは昨年の消費税率引き上げの物価への影響が剥落します。ですから、コアCPI上昇率が再び大きなマイナスに落ちることは覚悟せねばなりません。また、4~6月期2次QE後のGDPギャップは、内閣府の試算によれば、▲10%を超える大きなマイナスであり、物価の基調が上向くには時間がかかりそうです。

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