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2020年10月29日 (木)

前年同月比で大きなマイナスになった商業販売統計と下方修正の続く展望リポートと回復続く消費者態度指数をどう見るか?

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲8.7%減の12兆1010億円、季節調整済み指数でも前月から▲0.1%減を記録しています。消費の代理変数となる小売販売は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染再拡大で減少が続くという結果が出ています。まず、日経新聞のサイトから統計のヘッドラインを報じる記事を引用すると以下の通りです。

9月の小売販売額8.7%減、回復は足踏み
経済産業省が29日発表した9月の商業動態統計速報によると、小売業販売額は前年同月比8.7%減の12兆1010億円となった。新型コロナウイルスの感染拡大により7カ月続けて前年実績を下回った。2019年9月は翌月に消費増税を控えた駆け込み需要で自動車や家電を中心に大幅に増えたため、前年比の下げ幅が大きくなった。
4月の13.9%減を底に8月は1.9%減まで持ち直していた。季節調整した指数で比べると9月は0.1%のマイナスだった。経産省は基調判断を「横ばい傾向にある」とし、8月の「緩やかに持ち直している」から修正した。
業態別では百貨店が34.0%減、スーパーが3.0%減だった。家電大型専門店は29.0%減少した。コロナの影響で増えた在宅勤務に伴うパソコンなどの需要が一服した。品目別では自動車が16.4%減だった。
経産省は「Go To キャンペーンで飲食や外出などの需要が喚起され、財よりサービスの消費にシフトしているのではないか」と分析する。

いつものように、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのままを、それぞれプロットしています。影を付けた部分は景気後退期であり、直近の2020年5月を景気の谷として暫定的にこのブログのローカルルールで認定しています。

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まず、季節調整していない原系列の小売販売額が前年同月比で▲8.7%減と大きなマイナスを記録して点について、とてもミスリーディングなんですが、昨年2019年9月の小売販売額は引用した記事にもある通り、2019年10月からの消費税率の引上げ直前の駆込み需要のために大きくかさ上げされていますので、前年同月比でマイナスといっても、それほど悲観する必要があるとは思えません。むしろ、季節調整済み系列の前月比▲0.1%減を見て、基調判断を「横ばい」に変更したのであれば、その方が正確な見方ではないか、という気がします。この既設調整済みの指数で見れば、小売業販売は9月に103.1を記録しており、今年2020年1月の102.6や2月の103.1などの新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大前ないしごく初期と比べて、ほぼほぼ同じ水準まで持ち直している点は忘れるべきではありません。総務省統計局の家計調査と違って、この商業販売統計にはインバウンド消費が含まれるのが大きな特徴となっていますから、国内消費よりも大きな減少を見せているインバウンド消費を考え合わせると、内需の消費はまずまず堅調と考えてもよさそうな気がします。いずれにせよ、総務省統計局の家計調査と同じく、季節調整していない系列の前年同月比で見るのが商業販売統計としてのヘッドラインではあるのですが、昨年の消費税率引上げ直前の駆込み需要を考慮すれば、まずまずの回復が見られると考えていいのではないでしょうか。

  実質GDP消費者物価指数
(除く生鮮食品)
 
消費税率引き上げ・
教育無償化政策の
影響を除くケース
 2020年度-5.6~-5.3
<-5.5>
-0.7~-0.5
<-0.6>
-0.8~-0.6
<-0.7>
 7月時点の見通し-5.7~-4.5
<-4.7>
-0.6~-0.4
<-0.5>
-0.7~-0.5
<-0.6>
 2021年度+3.0~+3.8
<+3.6>
+0.2~+0.6
<+0.4>
 7月時点の見通し+3.0~+4.0
<+3.3>
+0.2~+0.5
<+0.3>
 2022年度+1.5~+1.8
<+1.6>
+0.4~+0.7
<+0.7>
 7月時点の見通し+1.3~+1.6
<+1.5>
+0.5~+0.8
<+0.7>

次に、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合では、短期金利を▲0.1%のマイナス金利を適用し、長期金利の指標になる10年物国債の利回りをゼロ%程度で推移するよう誘導する長短金利操作の維持や長期国債以外の資産の買入れ方針を賛成多数で決め、「展望リポート」の【基本的見解】を公表しています。その中から政策委員の大勢見通しを引用すると上のテーブルのとおりです。本年度2020年度については成長率、物価上昇率ともにやや下方修正され、逆に、そのリバウンドで来年度2021年度は上方修正されています。もちろん、例えば、日経新聞のサイトにある黒田総裁の会見を読むまでもなく、景気の回復は緩やかなものとなることは明らかですし、不確実性は以前に比べて格段に高く、リスクは下振れの方が可能性高い、といった点はエコノミストだけでなく、多くのビジネス・パーソンも共有していることと考えます。

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最後に、本日、内閣府から10月の消費者態度指数が公表されています。季節調整済みの系列で見て、前月から+0.9ポイント上昇して33.6と、2か月連続で前月を上回り緩やかながら着実に改善を示しています。いつものグラフは上の通りです。

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