国会図書館リポート「新型コロナウイルス感染症と学生支援」を軽く読む!!!
一昨日の10月20日に国会図書館から調査と情報No.1116として、「新型コロナウイルス感染症と学生支援」と題するリポートが公表されています。おおむね2020年8月までの情報を基に、米国、カナダ、オーストラリア、英国、ドイツ、フランスの6か国について取りまとめられています。リポートから引用しつつ、不正確になるのを容認して大胆に、私なりにナナメ読みした結果を、主要なものだけ要約すると以下の通りです。
米国では、コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)に基づき、大学等への財政支援を目的とする高等教育緊急救済基金(Higher Education Emergency Relief Fund: HEERF)が設立され、高等教育分野に合計約140億米ドル(約1兆5000 億円)の支援が行われています。また、カナダでは、カナダ緊急学生給付金(Canada Emergency Student Benefit: CESB)が設けられ、大学生のほか、大学・高校を卒業したが感染症流行の影響で職を得られていない者に対して、2020年5月から8月までの間、1か月につき1,250カナダドル(9万9000 円)、あるいは、扶養家族がいる場合や障害がある場合は2,000 カナダドル(15万8000円)を給付しています。米加では新たな制度を設けていますが、オーストラリアでは、従来からの若年者手当(Youth Allowance)の給付を上乗せする形で、第1段として、3月に一律750豪ドル(5万6000円)の一時金を決定し、また、第2段として、4月27日から9月24日までの間、2週につき550豪ドル(4万1000円)を支給する措置が取られています。このオーストラリアの措置がすごいのは、何の申請もなしで自動的に上乗せ支給している点です。欧州に目を向けると、英国では、大学に資金を配分してる学生局(Office for Students: OfS)からの資金として、4600万ポンド(62億6000万円)を経済的に困難な学生への補助金として、4~5月にかけて利用可能とした上で、6、7月にもそれぞれ2300万ポンド(31億3000万円)が追加されています。ドイツでも、国営のドイツ復興金融公庫(Kreditanstalt für Wiederaufbau: KfW)が提供する学生ローンを拡充するほか、返済不要の一時給付金を1か月当たり最大500ユーロ(61,500 円)6月から毎月申請可能としています。給付額は銀行口座の預金残高によって決まるらしいんですが、平均支給額は429ユーロ(52,767円)ですから、満額に近い印象です。フランスでは、地域圏大学学校厚生事業センター(CROUS)による特別の緊急援助のために1000万ユーロ(12億3000万円)が追加拠出され、ほかにも、高等教育機関に在籍する初期教育の学生などを対象に、1回限りながら200ユーロ(24,600円)が支給されています。
ひるがえって、我が国の学生支援に関して、リポートの冒頭ページにある表を引用すると以下の通りです。一番下の行の貸与型奨学金がダントツに多くて、対象者135万人、予算額1兆441億円に上っています。たとえ無利子であっても返済は必要なわけで、何とかならないものか、と私のような大学教員は深く考えてしまいます。
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コメント
おっしゃるとおり。また一律5万円などという案が聞こえてきますが、今度は本当に困っている人に支給すべきかと思います。個人情報と紐付ける手立てが弱いのかもしれませんが、学生や子供がいる家庭はなんとか、わからんもんですかね。私のような年金老人には不要です。まあ、もらってしまいますと、寄付にはまわさず、使ってしまうのですが。ため込むよりましかと思っています。
投稿: kincyan | 2020年10月22日 (木) 16時32分
そうなんですよね。
もちろん、授業料等減免と給付型奨学金もあるんですが、その規模は人数と予算額で見て、貸与型奨学金のほぼほぼ半分です。後から厳しく取り立てるよりも、もう少し緩めの支援が必要です。
投稿: ポケモンおとうさん | 2020年10月22日 (木) 17時13分