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2020年11月12日 (木)

下げ止まりつつある機械受注と消費税率引上げの影響が剥落した企業物価指数(PPI)!!!

本日、内閣府から9月の機械受注が、また、日銀から10月の企業物価 (PPI) が、それぞれ公表されています。機械受注のうち、変動の激しい船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注は、季節調整済みの系列で見て前月比▲4.4%減の7193億円と、まだまだ受注額は低水準ながら、プラスの伸びを記録し、企業物価指数(PPI)のヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は▲2.1%の下落を示しています。まず、長くなりますが、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の機械受注、前月比4.4%減 市場予想0.9%減
内閣府が12日発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額(季節調整済み)は前月比4.4%減の7193億円だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値は0.9%減だった。
うち製造業は2.0%増、非製造業は3.2%増だった。前年同月比での「船舶・電力を除く民需」受注額(原数値)は11.5%減だった。内閣府は基調判断を「下げ止まりつつある」で据え置いた。
同時に発表した7~9月期の四半期ベースでは前期比0.1%減だった。10~12月期は前期比1.9%減の見通し。
機械受注は機械メーカー280社が受注した生産設備用機械の金額を集計した統計。受注した機械は6カ月ほど後に納入されて設備投資額に計上されるため、設備投資の先行きを示す指標となる。
10月の企業物価指数、前月比0.2%下落 石油製品が下押し
日銀が12日発表した10月の企業物価指数(2015年平均=100)は99.9と、前月比0.2%下げ、2カ月連続の下落となった。9月中旬から10月にかけてのドバイ市況の悪化で石油製品の価格が下げ、物価を下押しした。前年同月比では2.1%の下落だった。
企業物価指数は企業同士で売買するモノの物価動向を示す。10月は夏季電力料金の適用期間が終了したことも下押し要因となった。
円ベースで輸出入物価をみると、輸出は前年同月比1.7%下落し、前月比では0.1%下げた。輸入は前年同月比で10.6%下落し、前月比では0.1%下がった。
企業物価指数は消費税を含んだベースで算出している。消費増税の影響を除くベースでの企業物価指数は前年同月比で2.1%下落し、前月比では0.2%下落した。
日銀は「新型コロナウイルスの感染拡大は国際商品市況と国内需要の両面から企業物価に大きな影響を与え続けている」と指摘。そのうえで「国内外の実体経済の動向を注意してみていきたい」としている。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、機械受注のグラフは下の通りです。上のパネルは船舶と電力を除く民需で定義されるコア機械受注とその6か月後方移動平均を、下は需要者別の機械受注を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、このブログのローカルルールで勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。

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まず、コア機械受注に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは、中央値で前月比▲0.9%の減と報じられています。レンジはそこそこ広くて▲3.2%減~3.8%増、ということでしたが、その下限を下回る減少でしたが、ギリギリでそれほどのサプライズにはならなかったような気がします。ひとつの要因は、季節調整の綾で、産業別に見て製造業と船舶・電力を除く非製造業の両方で前月比プラスとなった点が上げられます。また、この四半期の7~9月期でさかのぼること2か月の7月+6.3%増、8月+0.2%増と2か月連続の前月比プラスの後の9月▲4.4%減ですから、もともとが単月で見た振れの激しい統計だけに、ならしてみてトントン、というカンジなのかもしれません。ただし、四半期でならすと、景気後退に入っているので当然という気もしますが、2019年4~6月期に前期比プラスを記録した後、直近で統計が利用可能な7~9月期まで6四半期連続の前期比マイナスが続き、しかも、引用した記事にもある通り、10~12月期見通しも▲1.9%減が見込まれていますから、7四半期連続、1年半超のマイナスが続くことはほぼほぼ確実です。コア機械受注の水準も低迷しており、景気後退局面入り前には1兆円を超えていた月もありましたが、4月の緊急事態宣言からは7000億円カツカツの水準となっています。細かい産業を見ても、自動車・同付属品が底堅いのは、リーディング・インダストリーとして頼もしかったのですが、9月統計では4か月ぶりの前月比マイナスでした。今後も、設備投資が盛り上がるとは思えませんし、しかも、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)第3波の増加が始まっている可能性も高くて、設備投資の動きが本格的に回復するのはまだ先なのかもしれません。基調判断の「下げ止まりつつある」に意義を申し立てるつもりこそありませんが、機械受注、ひいては、設備投資の本格回復までは時間がかかりそうです。

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次に、企業物価(PPI)上昇率のグラフは上の通りです。上のパネルは国内物価、輸出物価、輸入物価別の前年同月比上昇率を、下は需要段階別の上昇率を、それぞれプロットしています。色分けは凡例の通りであり、影を付けた部分は景気後退期なんですが、機械受注と同じように、このブログのローカルルールで勝手に直近の2020年5月を景気の谷として暫定的に認定しています。ということで、まず、企業物価(PPI)のヘッドラインとなる国内物価に関する日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは、中央値で前月同月比▲2.0%の下落、ということでしたので、やや下落幅が大きい印象があります。ひとつの要因は、引用した記事にもある通り、国際商品市況で9月中旬から10月にかけてドバイの石油価格が悪化したことであり、いつも書いているように、金融政策よりも国際商品市況、それも石油価格にひときわ敏感な国内物価の特徴が出ています。加えて、前々から理解されていたように、10月統計では昨年の消費税率の引上げの影響が剥落しますので、下げ幅が一段と大きく出ています。物価もこの先どこまで低迷が続くのか、COVID-19の第3波の影響もある中、なんとも見通すのが難しくなっています。

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