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2020年12月11日 (金)

来週月曜日公表予定の日銀短観の予想やいかに?

来週月曜日12月14日の公表を控えて、シンクタンクから9月調査の日銀短観予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って、大企業製造業と非製造業の業況判断DIと全規模全産業の設備投資計画を取りまとめると下のテーブルの通りです。設備投資計画はもちろん今年度2020年度です。ただ、全規模全産業の設備投資計画の予想を出していないシンクタンクについては、適宜代替の予想を取っています。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、いつもの通り、足元から先行きの景況感に着目しています。ただし、先行きについては新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の終息次第という面があり、一部にとても長くなってしまいました。それでも、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開くか、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあってリポートが読めるかもしれません。

機関名大企業製造業
大企業非製造業
<設備投資計画>
ヘッドライン
9月調査 (最近)▲27
▲12
<▲2.7%>
n.a.
日本総研▲16
▲4
<▲3.2%>
先行き(3月調査)は、全規模・全産業で12月調査対比+1%ポイントと、小幅な改善にとどまると予想。国内外で新型コロナの感染が再拡大しており、流行の収束が見通せないなか、先行きの景況感も慎重な見方が続く見込み。
大和総研▲15
▲6
<▲2.5%>
12月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(先行き)は▲11%pt(最近からの変化幅: +4%pt)と小幅な改善を見込む一方、大企業非製造業では▲7%pt(同: #x25B2;1%pt)と小幅な悪化を予想する。
ペントアップ需要が残存し、国内外で需要が強い「自動車」などは引き続き改善が見込まれるものの、足元の感染拡大による影響を強く受ける「宿泊・飲食サービス」や「対個人サービス」では慎重な見方が強まるとみられる。
みずほ総研▲21
▲9
<▲3.5%>
製造業・業況判断DIの先行きは1ポイントの改善と、ほぼ横ばいでの推移を予測する。緊急事態宣言解除後、急速に回復してきた生産は11月をピークに持ち直しが一服し、来年1~3月期も高い伸びは期待できず、コロナ禍前(2019年平均)の95%程度の水準を横ばい圏で推移する可能性が高い。とりわけ、回復をけん引してきた輸送機械(自動車)の生産が一服するとみられる。このような生産の持ち直し一服を受けて、自動車工業のほか、鉄鋼や非鉄金属などの素材業種は小幅な改善にとどまると予想される。一方で、企業収益の悪化を受けて、設備投資は調整が続くとみられることから、生産用機械やはん用機械の業況改善は遅れる見込みだ。
非製造業・業況判断DIの先行きは1ポイントの悪化を見込む。テレワーク関連需要や非接触対応のソフトウェア投資の増加等を受けて、情報通信サービスが改善するだろう。一方で、宿泊・飲食サービスや対個人サービスは悪化する見込みだ。インバウンドの回復が見込まれないことや各種感染予防策継続の必要性に加えて、足元の感染再拡大により先行き不透明感が強まっていることから、対人接触型サービスの業況は下押しされる公算だ。
ニッセイ基礎研▲14
▲4
<▲3.4%>
先行きの景況感については、製造業と非製造業で方向感が分かれると予想。製造業では、コロナの感染が抑制されている中国を中心とする海外経済回復への期待から景況感のさらなる改善が示される可能性が高い。一方、非製造業は内需型産業が多いだけに、国内で感染拡大を続けている新型コロナへの懸念から、大企業の景況感は横ばい、中堅・中小企業では悪化が示されると予想している。なお、コロナワクチン実用化に向けた進展は前向きな材料だが、国内での普及時期も含めて依然として不透明感が強いため、影響は限られるだろう。
第一生命経済研▲7
▲5
<大企業製造業+2.2%>
12月の日銀短観は、大企業・製造業が前回比+20ポイントと大幅に改善することを予想する。
三菱総研▲13
▲7
<▲2.9%>
先行きの業況判断DI(大企業)は、製造業は▲13%ポイントと横ばい、非製造業は▲9%ポイントと小幅悪化を予測する。GoToキャンペーンの延長等の追加経済対策は明るい材料だが、製造業・非製造業を問わず、先行きの業況に対する不安は強い。新型コロナの感染拡大ペースが強まる中、医療体制のひっ迫などによる防疫措置の一段の厳格化、自粛要請の対象業種・地域の拡大、などが懸念される。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング▲17
▲6
<大企業全産業▲1.6%>
先行きについては、改善は続くものの、足元での感染再拡大への懸念が重石となり、▲12と、5ポイントの改善にとどまろう。

ということで、短観の統計としてのヘッドラインである大企業製造業の業況判断DIで見て、ラクに+10ポイントは改善し、大企業非製造業でも、さすがに、プラスに転ずることはないとしても、かなりの程度にマイナス幅が縮小する、という予想となっています。上のテーブルにある限りで、悲観論と楽観論の両極端に位置するのが悲観論のみずほ総研と楽観論の第一生命経済研です。私は圧倒的にみずほ総研に近い見方をしています。加えて、先行きの3月調査は、何といっても、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)パンデミック次第なんですが、多くのシンクタンクで12月調査から横ばいないし小幅の改善を見込んでいる一方で、私は悪化する可能性がまだまだ十分残されていると考えています。先行き3月調査の業況判断DIの方向性として、一般的には、海外市場の需要が取り込める製造業が改善幅大きく、内需に依存する割合高い非製造業では改善幅が小さい、という見方が多いのでしょう。でも、ウルトラCのニュースが出てしまう可能性高いと私は考えていて、それは「東京オリンピック・パラリンピックの中止」です。現政権は東京オリンピック・パラリンピック近くまで無理矢理にでもGoToキャンペーンを継続するという選択をしたようですが、逆目に出る可能性が高いと考えざるを得ません。そうなると、ネオリベな経済政策運営のために社会保障見直しで医療システムが疲弊しまくって、少ない感染者ながら医療逼迫度の高い日本で大きな国際スポーツ・イベントが開催できるか、という問題になります。もはや、東京オリンピック・パラリンピックは延期ですらなく、中止の一択だと私は考えています。そうなると、各種マインド調査は実体経済以上に冷え込む可能性があると覚悟すべきです。
最後に、下のグラフは日本総研のリポートから引用しています。

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